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2009年 8月 12日 [ イベント ]

No.416-1:夏休み、お盆には、立山山麓にある博物館の企画展へ


 映画「劔岳 点の記」が観客動員200万人を突破するなど、剱岳、立山が全国的に注目を浴びるなか、立山山麓にある立山カルデラ砂防博物館では、登山者たちの活躍を支える山岳ガイドをクローズアップした企画展「立山をめぐる山岳ガイドたち」<9月13日(日)まで>を開催している。また、立山博物館で開催中の企画展「夏風に舞う−高山蝶と森の蝶ゼフィルス」<8月30日(日)まで>も好評だ。

●立山カルデラ砂防博物館の「立山をめぐる山岳ガイドたち」

 前人未踏とされた剱岳の測量に挑んだ測量官・柴崎芳太郎や山岳ガイド・宇治長次郎ら、明治の男たちの生きざまを描いた映画「劔岳 点の記」。観客動員200万人を突破するなど、剱岳、立山が全国的に注目を浴びるなか、立山カルデラ砂防博物館では、登山者たちの活躍を支える山岳ガイドをクローズアップした企画展「立山をめぐる山岳ガイドたち」を9月13日(日)まで開催している。
 
 標高3,000m級の山々が連なる国内有数の山岳県、富山。北アルプス・立山周辺では、経験や知識、技術をもとに登山に貢献し、登山史に名を残した多くの山岳ガイドの存在が知られている。企画展では、立山ガイドの歴史や名ガイドを紹介し、現代にいたるまでの栄光と悲劇を伝える。
 
 同博物館に入ると、大正末期に設けられ、立山登山案内組合と大山登山案内組合の受付があった富山県営鉄道・粟巣野駅前をイメージした特別セットが迎えてくれる。会場には、立山ガイドの歴史を紹介するとともに、実際に使用された案内人証やバッジなどを展示した「立山をめぐる山岳ガイドの記録」、映画「劔岳 点の記」に登場する宇治長次郎の生い立ちや生涯をまとめた「剱岳登頂を支えた山岳ガイド」、スキー登山のパイオニア・板倉勝宣の悲劇を紹介した「松尾峠の近代登山最初の遭難」、第1次南極観測隊に参加した佐伯富男らを取り上げた「立山から南極・ヒマラヤへ」など、8つのブースがある。解説や写真パネルのほか、立山山麓の村・芦峅寺でも屈指の名ガイドとして今も語り継がれる佐伯宗作の栄光と遭難、第1次南極観測隊の記録などを紹介したビデオ上映も好評だ。

 立山カルデラ砂防博物館では「名峰への登山記録。その陰には登山者を支える山岳ガイドの姿があった。また、立山ガイドは登山者の案内だけでなく、遭難救助でも活躍し、その技術と知識は富山県警察山岳警備隊へと引き継がれている。山岳ガイドたちの存在や活躍をぜひ知ってほしい」と話している。

●立山博物館の「夏風に舞う−高山蝶と森の蝶ゼフィルス」

 立山博物館で開催中の企画展「夏風に舞う−高山蝶と森の蝶ゼフィルス」<8月30日(日)まで>もぜひ観賞したい。富山県は、海抜0mの海岸から3,000mの高山帯まで、多様な植生に育まれ、県内では8種の高山蝶と18種のゼフィルス(ミドリシジミ類)を含む110種を超えるチョウが生息している。同館の澤田昭芳学芸課長が2年ほどかけて北アルプスと周辺の森林に生息するチョウを調査。今回の企画展では、高山蝶とゼフィルスに焦点をあて、27種のチョウの標本と140点の写真を展示している。自然の中に生息するチョウの生態を学び、その可憐な姿を見つめたい。
 
 まず、高山蝶の「タカネヒカゲ」は、標高2,400m以上の高山帯に生息することから「ハイマツ仙人」とも呼ばれる。高山植物の根際で摂食中の幼虫や、高山帯の強風に吹き飛ばされないように羽を横に寝かせて岩陰に身を寄せる成虫の姿などを写真とパネルで紹介している。高層湿原や湿性の草原に生息する「ミヤマモンキチョウ」は黄色のあでやかな“衣装”が印象的。高山植物の花から吸蜜する姿など、いきいきとした姿をとらえた写真が並ぶ。このほか、渓谷地帯に多く生息し、羽に鮮やかなオレンジ色の斑紋を持つ「クモマツマキチョウ」(富山県の種指定の天然記念物)や黒衣をまとった「ベニヒカゲ」、弥陀ケ原に生息する「アサマシジミ」なども紹介している。
 
 山岳地域にしか分布がみられない高山蝶に対し、ブナやミズナラなどの樹林に広く生息するゼフィルス。ギリシャ神話に現れる西風の神「ゼピュロス」を語源とする。メスアカミドリシジミやウラゴマダラシジミなど、緑や青などに輝く美しい羽を持つ種が多く、森に彩りを添える。年1化(年に1回成虫となる)のチョウで、県内の低山では6月初旬から成虫が現れ、標高1,000m付近では7月上旬~中旬が最盛期となる。

 澤田学芸課長は「富山の森の中を歩くと、意外と多くのゼフィルスに出会うことができる。この企画展が高山や森、渓谷などに生息するチョウの生態を知り、厳しくも豊かな自然の中へ足を運ぶきっかけになればうれしい」と話している。


▲(左)クモマツマキチョウ(右)メスアカミドリシジミ


問い合わせ
企画展「立山をめぐる山岳ガイドたち」について
●立山カルデラ砂防博物館
TEL.076-481-1363
FAX.076482-9101
http://www.tatecal.or.jp

企画展「夏風に舞う−高山蝶と森の蝶ゼフィルス」について
●富山県[立山博物館]
TEL.076-481-1216
FAX.076-481-1144
http://www.pref.toyama.jp/branches/3043/

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