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2022年 8月 1日 [ イベント ]

No.1053:立山の観光史を鉄道から仰ぐ。特別企画展、立山博物館にて開催中。

富山県[立山博物館]では、令和4年度前期特別企画展「いざ、立山へ!―鉄道にみる立山観光―」を開催中。「立山黒部アルペンルート」を軸に、戦前・戦後の旅客輸送に活躍した鉄道などに関わる貴重な資料などから、富山および立山の観光の歴史を辿る展示内容となっている。この記事では本企画展の立ち上げのきっかけや目的、見どころについて、企画展担当者に聞く。

●交通目線で立山を眺める、ありそうでなかった企画展


▲企画展の会場入り口


▲企画展看板を掲げた立山博物館(外観)

立山黒部アルペンルートを軸とする “観光開発”が、「富山県総合開発計画」によって始まったのは昭和27年、70年も前に遡る出来事だ。その2年後には「立山ケーブルカー」が開通し、室堂までの道路が整備され、「黒部ケーブルカー」「立山ロープウェイ」「立山トンネル」が次々に完成。「立山駅」から「扇沢駅」までの全線が繋がった昭和46年以降は、国際的観光ルートとしてはもとより、富山と長野を繋ぐ交通路の一つにもなっている。そして、この開発に至るには、明治時代からエリアを拡大してきた「鉄道」の存在が不可欠で、アルペンルート開通時には、大阪と名古屋から「立山駅」までの直通列車も走るなど、立山へ人々を運ぶ重要な役割を果たしてきた。

今企画展を担当したのは、立山博物館の鈴木副主幹。彼がかねて抱いていた、立山黒部アルペンルートは、何故、どのようにしてつくられたのか、どうして様々な乗り物を乗り継ぐ経路なのか、といった“率直な疑問”をきっかけに、事実関係の整理と資料収集から導き出した、歴史の「線」を繋ぐ展示になっている。

●あらゆる世代を魅了する、見ごたえたっぷりのレイアウト


▲展示室中央を飾る鉄道模型


▲ヘッドマークや行先表示板もケースに展示


▲撮影スポットは親子連れに好評

展示館1階の企画展示室を舞台に、4章構成で展開され、戦前の状況を示す観光資料などが集う第一章「そうだ、立山行こう!」から、富山と立山の鉄道の歴史を捉えた第2章「鉄道がやってきた!」、山岳地域の観光開発とアルペンルートの歴史をまとめた第3章「立山を開発せよ!」、立山へ人々をいざなった観光史を鉄道関連の実物資料から実感する第4章「いざ、立山へ!」と、段階的に理解が深まる構成となっている。

各章のエリアの壁面には様々な史実が図表や要約文でまとめられ、展示ケースには、明治時代のものも含めた観光マップやパンフレット、時刻表、行政資料まで、このために集められた品々が配置されている。特に第4章のエリアに集められた急行「立山」のヘッドマークや行先表示板などの実物は鉄道ファンにとっても魅惑の品だ。半世紀以上前のものも含む乗車券、立山黒部アルペンルート全通記念入場券など、実使用による使用感や経年劣化もまた、味わい深い。

実は、リアリティ溢れる“実物“資料の多くは、個人所有の“お宝”を各所から借り集めたもので、鈴木さん自身が購入したきっぷも含まれているという。年配者は懐かしみ、昔を知らない若い世代は意外性に食い入り、中央を飾る鉄道模型や急行「立山」を模した撮影スポットなどは親子のふれあい、思い出作りに最適…まさに唯一無二の空間にまとめあげられているのだ。

●8月中旬、下旬には鈴木さん自身による解説会も!

なお、8月13日(土)と8月27日(土)には、企画を担った鈴木さん自身による企画展の解説会を予定。「じっくり語りつくせば1時間半はかかります。」という濃厚な魅力が、30分に凝縮して披露される。鈴木さんは、「鉄道など交通インフラという側面から立山を考えてみるという内容ですが、立山信仰とも無縁ではないことも感じていただけると思います。富山にしかない観光の魅力を、ぜひ再確認しに来てください。」と呼びかける。

なお、解説会は、両日とも14時から14時30分までと、14時40分から15時10分までの2回開催されるが、この間の入場は解説会の参加者のみに制限される。「聞きたい」方は整理券の入手方法をホームページなどでチェック、「見るだけ」を希望の方は、前後の時間帯に観覧するなど、注意が必要なのでお忘れなく。

【問合せ先】
●富山県[立山博物館]
TEL:076-481-1216
FAX:076-481-1144
企画展の詳細はこちら

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