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2020年 12月 9日 [ イベント ]

No.980:ガンダム、立山を臨むー「富野由悠季の世界ーガンダム、イデオン、そして今」

アニメ界の巨匠、富野由悠季氏に焦点を当てた「富野由悠季の世界ーガンダム、イデオン、そして今」が富山県美術館で開幕した。アニメーション映画監督や脚本家、作詞家としてさまざまな作品に関わった富野氏の創作の軌跡をたどる企画展。富山でガンダム、イデオンの世界に触れられる。2021年1月24日(日)まで。

●ファン必見!半世紀余りの軌跡


▲冒頭で与圧服が迎えてくれる(左)
▲絵コンテやイラスト原画、
映画ポスターなどを展示(中央)
▲『無敵鋼人ダイターン3』の模型と
一緒に記念撮影(右)

 富野由悠季氏は、『機動戦士ガンダム』(1979年)などのガンダムシリーズの他、『伝説巨神イデオン』(1980年)、『聖戦士ダンバイン』(1983年)といった数多くのオリジナルアニメーションの総監督を務め、国内外のアニメシーンに多大な影響を与えてきた。

 1941年11月、3人兄弟の長男として神奈川県小田原市に生まれた富野氏。父の喜平は旧日本軍関連の軍需工場で与圧服の研究・開発に携わっていた。自宅に残っていた与圧服の写真は宇宙服を連想させ、富野少年の視覚的原体験となり、宇宙への憧れを強くさせた。富野氏にとって宇宙旅行はいつも身近にあったようだ。アメリカのSF映画「月世界征服」のロケットのイメージに魅力され、手塚治虫の漫画のSF的ストーリー構成にも強く感銘を受け、物語や映画についての関心を深めていった。

 本展は、第1部「宇宙(そら)へあこがれて」<海のトリトン/勇者ライディーン/無敵超人ザンボット3>、第2部「人は変わってゆくのか?」<機動戦士ガンダム/伝説巨神イデオン>、第3部「空と大地の間で逞しく」<無敵鋼人ダイターン3/戦闘メカ ザブングル/OVERMAN キングゲイナー/ラ・セーヌの星/しあわせの王子/闇夜の時代劇・正体を見る>、第4部「魂の安息の地は何処に?」<聖戦士ダンバイン/ガーゼィの翼/リーンの翼/重戦機エルガイム>、第5部「刻の涙、流れゆく その先へ」<機動戦士Zガンダム/機動戦士ガンダムZZ/機動戦士ガンダム 逆襲のシャア/機動戦士ガンダムF91/機動戦士Vガンダム/ブレンパワード>、第6部「大地への帰還」<∀ガンダム/リング・オブ・ガンダム/ガンダムGのレコンギスタ>の6部で構成されている。

 虫プロダクションに入社して『鉄腕アトム』制作にかかわったころから、初監督作品『海のトリトン』、出世作となった『機動戦士ガンダム』、『ガンダムGのレコンギスタ』までの55年間に渡る富野氏の仕事を、直筆の絵コンテや、仕事を共にしたクリエーターたちのデザイン画、原画、撮影に使われたセル画など作品資料約3,000点とともにたどることができる。

 特に、虫プロダクションで手掛けた『鉄腕アトム』の絵コンテや、『機動戦士ガンダム』の企画書など貴重な直筆資料を目にすることができる。ロボットアニメで重厚な人間ドラマを描き、人類の未来に警鐘を鳴らしてきた富野氏のメッセージを受け止めてみよう。

●『機動戦士ガンダム』のテーマは愛


▲『機動戦士ガンダム』関連の展示

 代表作『機動戦士ガンダム』を紹介しよう。同作では、メカアニメ史上初めて人類同士の「戦争」を想定。架空世界でありながら、実際の科学的知識と架空の科学を重ね、その中で巨大ロボット=モビルスーツを通常兵器として描き出したことで、過去のアニメをしのぐSF的リアリティに富んだ世界観を獲得した。こうした舞台設定を背景に、少年少女たちの青春群像劇を展開。主人公のアムロ・レイが戦いの中でさまざまな人物と出会い、成長していく姿を描いた

 脇を固める登場人物も人間らしく魅力的に演出。ジオン軍の士官、シャア・アズナブルは陰影のある人物として設定され、ドラマ展開のもう1つの軸となった。また、主要登場人物に、戦争という状況で現実にありそうな愛情のドラマを描き、その積み重ねによってリアリティが増していった。それが青春群像劇であるガンダムの世界に豊かな情感を与えた。

●アニメキャラクターが「富富富」のパッケージに


▲第6部の展示(左)
▲お土産に「富富富」をどうぞ(右)

 会場内には、メインビジュアルの看板や『無敵鋼人ダイターン3』の模型と一緒に撮影できるコーナーもあるので記念の一枚を。特設のミュージアムショップでは、本展開催記念米として、富山米「富富富(ふふふ)」(約2合)などを販売。富野作品を彩るキャラクターがパッケージにデザインされたユニークな土産品だ。

 富山県美術館では、「本展は、全国(6つ)の公立美術館の学芸員の熱心なアプローチで実現しました。貴重な資料を実際に見ることができる機会です。冬休みにぜひ家族連れでお楽しみください」と話している。

問合せ
●富山県美術館
TEL.076-431-2711
FAX.076-431-2712
https://tad-toyama.jp/

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