イベント

アーカイブ

2006年 6月 28日 [ イベント ]

No.254-1:芸術の秋に美しい音色----こしのくに音楽祭2006開催


 今秋、「こしのくに音楽祭2006」が県内で開催される。富山を愛し、最晩年を立山山麓で過ごした世界的バイオリニストで指揮者の故シモン・ゴールドベルク氏(1909〜1993)を顕彰し、精神的な遺産を県内の文化振興に生かすことを目的に、9月から11月までメモリアルコンサートやセミナー、コミュニティキャラバンなどが行われる。

●シモン・ゴールドベルク氏の精神的な遺産を富山から世界へ発信

 今秋、「こしのくに音楽祭2006」が県内で開催される。富山を愛し、最晩年を立山山麓で過ごした世界的バイオリニストで指揮者の故シモン・ゴールドベルク氏(1909〜1993)を顕彰し、精神的な遺産を県内の文化振興に生かすことを目的に、9月から11月までメモリアルコンサートやセミナー、コミュニティキャラバンなどが行われる。

 ゴールドベルク氏は、ポーランド出身のユダヤ系米国人で、1909年にポーランド・ブロスラチェクの裕福な家庭に生まれる。6歳でヴァイオリンを習い始め、わずか16歳でドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の史上最年少のコンサートマスター、指揮者フルトヴェングラーの招きで19歳でベルリンフィルのコンサートマスターに就任するなど、若くして才能を開花させた。第二次大戦後、オランダ室内管弦楽団・常任指揮者兼音楽監督を長く務め、1978年にヨーロッパからアメリカへ移住。ニューヨークのジュリアード音楽院、フィラデルフィアのカーチス音楽院などで教えた。晩年は東洋医学の治療を受けるために富山へ移住し、妻でピアニストのゴールドベルク・山根美代子氏とともに立山国際ホテルに滞在した。ゴールドベルク氏が奏でる音色は美しさと優しさに満ち、今日でもその芸術性は高く評価されている。

 音楽祭の各企画には音楽監督として山根氏や、ゴールドベルク氏に薫陶を受けたニコラス・キッチン氏、ヴェスナ・スタンコーヴィチュ氏ら著名な演奏家が参加。音楽祭を通して、新しい芸術文化の創造や、若い世代への音楽の普及、地域文化の担い手の育成などを目指す。

●名器バロン・ヴィッタの音色に酔うひとときを

 音楽祭は、ゴールドベルク氏が最期の日々を過ごした立山山麓での前夜祭から始まる。9月8日(金)、立山博物館・遥望館を会場に1時間ほどのコンサート(入場無料:要整理券 ※詳しくは下記問い合わせへ)が行われ、カーチス音楽院で指導を受けたニコラス・キッチン氏が、ゴールドベルク氏の愛器「バロン・ヴィッタ」でJ.S.バッハのシャコンヌなどを演奏する。立山国際ホテルではパネル展、氏が滞在した471号室が公開される<9月1日(金)〜8日(金)>。
 
 オープニングコンサートは9月9日(土)、富山市民プラザ・アンサンブルホールにて(開演18:00)。出演者はキッチン氏(バイオリン)とゴールドベルク・山根美代子氏(ピアノ)で、ベートーベンのバイオリンソナタ第5番などを演奏する。1991年に富山で行われたゴールドベルク氏の最後のコンサートと同じ場所、同じ曲目、同じ共演者(山根氏)となっており、ファンにとってまさにメモリアルな時間となる。

 コンサート開演1時間前のプレコンサートレクチャーも楽しみ。イタリア人のマルコ・コッピアルディ氏を講師に迎え、「グァルネリ・デル・ジェスは誰だっかのか?」をテーマに、もうひとりのクレモナ(イタリア クレモナ県の県都でヴァイオリン類の生産地。アントニオ・ストラディバリが活動した地)の名工とバロン・ヴィッタの来歴について語る。コッピアルディ氏は宮内庁からの依頼で皇太子のヴィオラを製作したことで知られる弦楽器製作家。7月1日(土)に打ち合わせのために来県し、県立近代美術館で会見も予定されている。ゴールドベルク氏が愛用した名器バロン・ヴィッタは、イタリアの名工、グァルネリ・デル・ジェス(1698〜1744)の製作といわれ、ゴールドベルク氏が亡くなる直前まで手元に置いていた。没後は米国スミソニアン博物館に所蔵されていたが、音楽祭のために富山へ帰り、美しい音色を奏でることになる。

 メモリアルコンサートは10月1日(日)富山県民会館(富山市)と、11日(水)高岡文化ホール(高岡市)で開かれる。富山会場での演奏者の一人、スタンコーヴィチュ氏は現在ウィーン・フォルクスオパーのコンサートミストレス、高岡会場で演奏するイダ・ヘンデル氏は78歳で現役の女性バイオリニスト。ゴールドベルク氏の精神的なレガシー(遺産)を受け継ぐ2人がどのような演奏を聴かせてくれるか楽しみだ。

 オープニングコンサート、メモリアルコンサートの入場チケット(各3,000円)は、7月22日(土)からローソンチケットで全国発売される。また、企業メセナ(文化支援)として企業、個人の賛助会員も募集している(詳しくは下記問い合わせへ)。

 こしのくに音楽祭2006の実行委員会事務局では「一般を対象にしたコンサートをはじめ、若手音楽家を対象にしたメモリアルセミナー、小学校での教室コンサート、アートと地域を繋ぐアート・コーディネーターのための基礎講座なども行います。ゴールドベルク氏の精神的なレガシーを富山から日本、世界へと発信する絶好の機会。国内外からの交流人口の拡大につなげ、富山の自然や味覚などの素晴らしさもアピールしたいですね」と話している。


▲在りし日のシモン・ゴールドベルク氏(右)と、
ゴールドベルク・山根美代子氏


問い合わせ
●こしのくに音楽祭2006 実行委員会事務局
TEL.076-432-5040
FAX.076-432-5516
http://www.koshinokuniongakusai.com/

コメント

その他のイベント

ページの先頭へもどる↑