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2004年 12月 28日 [ イベント ]

No.176-2:新年恒例、下村・加茂神社の「鰤読み神事(鰤分け神事)」


●ブリを高々と捧げ持ち、声高らかに

 毎年1月1日(土・祝)、下村にある加茂(かも)神社で「鰤読み神事(鰤分け神事)」が行われる。新年慶賀祭として、加茂神社の毎年恒例の行事だが、ブリを使った全国でも珍しい神事として知られる。
 朝10時。けがれを取り除いた塩ブリ6本が拝殿に敷かれたむしろの上に並べられる。「加茂、小杉、柳瀬‥‥」。羽織、袴姿に威厳を正した読み上げ役がブリのエラをたて、右手で頭、左手で尾の付け根を持ち、高々と捧げ持ち、ブリを献納した地区を声高らかに読み上げて、神前に報告していく。ブリは富山湾で水揚げされてすぐに塩を施し、1月1日の登場となったもの。12〜13kgもある堂々としたものが選ばれ、厳かな神事の場にふさわしい雰囲気を放っている。加茂地区から4本、小杉、柳瀬地区からそれぞれ各1本が献納されている。
 読み上げが終わると、「料理」に移る。口紙をした料理役が鮮やかな包丁さばきでブリを三枚におろし、片身ずつ等分に切っていく。加茂地区からの4本は、約230戸の氏子の数に切り分けられて各家々に分配される。小杉、柳瀬地区のものは切らずに1本そのままを地区の当番に引渡し、地元に持ち帰って分配される。


●“神様からの授かりもの”としてみんなで分け合う

 この日は鏡開きも行われ、切り分けられたブリと鏡餅は、“神様からの授かりもの”として各戸に届けられる。各家庭では、頂戴したブリと鏡餅を火にあぶり、家族みんなで取り分けていただき、1年間の無病息災、家内安全を願うのが習わしとなっている。
 この神事は、今から940年ほど前に京都の下鴨神社から伝わってきたものとされている。ただし、京都では本来の姿が残されていないという。加茂神社の野上克裕宮司は「この神事が地方で長い間守り伝えられてきたことに、京都の下鴨神社から見にいらした方も驚かれます。加茂神社では、神人同食といって、神様にお供えしたものと同じものいただく習わしがあります。地方の特産などを神様にお供えするわけですが、富山では昔から富山湾でたくさんのブリが獲れたことと、氏子のみなさんの信仰心の篤さからこのような形を守り伝えることができたのではないでしょうか。また、出世魚のブリにあやかりたいという気持ちもあったからでしょう」と話している。




問い合わせ
●下村・加茂神社
TEL.0766-59-2654
http://www.vill.shimo.toyama.jp/wn/wn1.html

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