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2007年 7月 18日 [ イベント ]

No.309-1:世界の舞台芸術に出会う夏! 利賀フェスティバル2007開催


 8月17日(金)〜25日(土)、世界演劇祭「利賀フェスティバル2007」が南砺市利賀村・富山県利賀芸術公園で開催される。国内外の第一線で活躍する演劇人が静寂に包まれた緑豊かな山里を舞台に繰り広げる世界の舞台芸術は、利賀ならではの魅力に溢れ、観客の心を捉えて離さない。

▲「新版 世界の果てからこんにちは」

●利賀の自然を舞台に、インド、イタリア、日本の演劇人が競演

 “世界は日本だけではない、日本は東京だけではない、この利賀村で世界に出会う”をキャッチフレーズに、世界演劇祭「利賀フェスティバル2007」が8月17日(金)〜25日(土)に南砺市利賀村・富山県利賀芸術公園で開催される。静寂に包まれた緑豊かな山里を舞台に、国際的に優れた舞台芸術を紹介する先駆的な役割を果たしてきた利賀フェスティバル。利賀演出家コンクールや利賀演劇塾、大学生創作ワークショップ、高校生夏期演劇講習など多彩なプログラムを繰り広げる「利賀サマー・アーツ・プログラム2007」の中心イベントとして、今年は、国内外の第一線で活躍する演劇人が放つ、「いま」を問いかける7作品をラインアップ。海外からインド演劇界の巨匠 ラタン・ティヤム、イタリア人の気鋭の演出家 M.S.ジョルジェッティ、日本からは鈴木忠志のほか、これまでの利賀演出家コンクールで優れた成果を残した演出家の中島諒人、億土 点、長野和文の演出作品が上演される。
 
 作品を紹介すると、ラタン・ティヤムが演出を手掛ける「マイ・アース、マイ・ラブ」(出演:コーラス・レパートリー・シアター)は日本初演となる作品。7人の精霊とひとりの老人が地球上で実際に起きた戦争やホロコースト(大虐殺)をめぐる時空を超えた旅を通じ、人間の本質とは何かを問いかける。2005年の利賀フェスティバルで強烈な存在感を放ったM.S.ジョルジェッティの「夢遊病者たち」(出演:チェントロ・アットーリ・ラ・コンテンポラーニャ)は、父親の死後、遺産をめぐって近親者の間に渦巻く人間不信と悲劇を描くもので、ジョルジェッティの最新作となる。
 
 鈴木忠志は「シラノ・ド・ベルジュラック」と「新版 世界の果てからこんにちは」の2作品を演出する。「シラノ・ド・ベルジュラック」は、フランスの劇作家、エドモン・ロスタンの原作にサムライ姿の日本人を登場させ、男の生き方と死に方をイタリアの音楽に乗せて描く。新しい演出で5年ぶりに利賀フェスティバルに登場する「新版 世界の果てからこんにちは」は、山と池を背景に、壮大な仕掛け花火を打ち上げ、古代ギリシャ風の野外劇場を祝祭空間に変える作品。暗闇に炸裂する花火の閃光が観る者の心を華麗に染め上げる。

 このほか、大富豪の老婦人が巨額の寄付と引き換えに自分を裏切ったかつての恋人を殺すことを市民に要求する「老貴婦人の訪問」(演出:中島諒人、出演:鳥の劇場)、米国社会の暗部を痛烈にあぶり出した問題作をブラック・ファンタジーで描く「二十七台分の棉花」(演出:億土点、出演:Power Doll Engine)、闇と光を操り、幻想的で詩情あふれる舞台を繰り広げる「犬神」(演出:長野和文、出演:池の下)が上演される。

 また、利賀フェスティバルの余韻も冷め止まぬ9月1日(土)<予定>、3年ぶりの日本開催となる日中韓共同演劇祭「第14回BeSeTo演劇祭」が利賀で開催。中国、韓国の現代劇の傑作を堪能したい。

 なお、利賀フェスティバルのチケット料金は「マイ・アース、マイ・ラブ」、「夢遊病者たち」、「老貴婦人の訪問」、「二十七台分の棉花」、「犬神」が各3,000円、「シラノ・ド・ベルジュラック」が4,000円、「新版 世界の果てからこんにちは」が5,000円。現在、(財)舞台芸術財団演劇人会議利賀事務所などで電話予約を受付中だ。

●演劇の聖地・利賀芸術公園/「高校生舞台芸術鑑賞会」募集中<7月20日(金)まで>

 利賀芸術公園では、多くの人に利賀の舞台芸術に触れてもらおうと、8月18日(土)・25日(土)20:00開演の「新版 世界の果てからこんにちは」、23日(木)20:00開演の「シラノ・ド・ベルジュラック」に合わせて、富山駅北口と高岡駅南口から利賀芸術公園へ直通バスを運行<要予約:利賀芸術公園TEL.0763-68-2028>。料金は、バス往復運賃と夕食代込みで3,000円。また、富山県内の高校生とその保護者を対象に、芸術の普及・教育事業として「高校生舞台芸術鑑賞会」を8月23日(木)に開催する。鑑賞作品は「シラノ・ド・ベルジュラック」で、高校生は鑑賞料無料、付き添いの保護者は2,000円。富山駅と高岡駅から無料送迎バスが運行される。鑑賞会への参加申し込みは、7月20日(金)までに富山県生活環境文化部文化振興課へ(詳細はhttp://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1718/で確認を)。

 利賀フェスティバルの会場となる利賀芸術公園について紹介しよう。県南西部に位置する利賀村は、緑濃い山々に囲まれた秘境ともいえる雰囲気を残す村。1976年に鈴木忠志が早稲田小劇場(現・SCOT)の本拠地をこの利賀村に移してから約30年、1982年の第1回世界演劇祭「利賀フェスティバル」の開催から25年の歴史を経て、利賀芸術公園は世界の演劇人から「演劇の聖地」と呼ばれる場所になった。園内には、池を配した本格的な野外劇場や合掌造り家屋を劇場として改造した利賀山房などが点在し、公園を含む一帯の地区は昨年3月に全国で初めての芸術特区「舞台芸術特区TOGA」に認定。劇場等における消防法の規制(誘導灯の設置義務)の特例緩和などを受けている。
 
 利賀芸術公園では、演劇祭の開催などに加え、世界的に著名な劇場との舞台芸術作品の国際的共同制作が進められていることも話題だ。2005年に制作された「リア王」がモスクワ芸術座の定期上演演目になっていることや、今年は同じくロシアのタガンカ劇場と「エレクトラ」の共同制作が予定されており、利賀芸術公園で生まれた舞台芸術作品の世界発信が楽しみ。また、利賀芸術公園を本拠地に、鈴木忠志が劇団SCOT(Suzuki Company Of TOGA)を再始動させることになっており、今後の利賀芸術公園での活動に注目したい。


▲「シラノ・ド・ベルジュラック」
(撮影:谷古宇正彦)


問い合わせ
<「利賀フェスティバル2007の公演スケジュール・チケット」について>
●(財)舞台芸術財団演劇人会議・利賀事務所
TEL.0763-68-2356
FAX.0763-68-2912
http://www.jpaf.or.jp/

<「富山県利賀芸術公園や直行バス」について>
●富山県利賀芸術公園
TEL.0763-68-2028
FAX.0763-68-2926
http://www1.tst.ne.jp/togapk/

<「高校生舞台芸術鑑賞会」について>
●富山県生活環境文化部 文化振興課
TEL.076-444-3455
FAX.076-444-4438
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1718/

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