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2007年 6月 6日 [ イベント ]

No.303-1:シモン・ゴールドベルク記念音楽祭2007、今秋開催


 富山を愛し、最晩年を立山山麓で過ごした20世紀を代表するバイオリニスト、シモン・ゴールドベルク(1909〜1993)。彼の精神を顕彰し、富山から世界に羽ばたく演奏家を育成することを目的に、「シモン・ゴールドベルク記念音楽祭2007」が9月に開催。メモリアル・セミナーをはじめ、講師によるメモリアル・コンサート、公開レッスン・特別講座、セミナー受講者による成果発表コンサートなどが行われる。現在、音楽祭への個人支援・協力を呼びかけている。

▲写真提供: EVELYN HOFER

●ゴールドベルクの音楽性・芸術性を受け継ぐ若手音楽家の育成

 富山を愛し、最晩年を立山山麓で過ごした20世紀を代表するバイオリニスト、シモン・ゴールドベルク(1909〜1993)。彼の精神を顕彰し、富山から世界に羽ばたく演奏家を育成することを目的に、「シモン・ゴールドベルク記念音楽祭2007」が9月に富山市と魚津市で開催される。

 ユダヤ系ポーランド人として1909年に生まれたゴールドベルクは、指揮者フルトヴェングラーの招きにより19歳でベルリンフィルのコンサートマスターに就任するなど、若くして才能を開花させた。1934年、ナチスの迫害を逃れ、ドイツから脱出し世界各地で演奏。戦後、アメリカの市民権を獲得し、オランダ室内管弦楽団の創設やアメリカ国内の主要音楽院で教鞭をとるなど活躍した。1988年、ピアニストとして国際的に活躍した山根美代子と結婚。1992年に新日本フィル常任指揮者に就任、立山山麓・立山国際ホテルへ移り住み、翌年84歳の生涯を閉じる。ゴールドベルクの音楽は美しさと優しさに満ちており、今日でもその芸術性は高く評価されている。

 夫人のゴールドベルク・山根美代子はゴールドベルクと死別後も富山に居住し、各地での演奏活動や、ゴールドベルクの音楽性・芸術性を受け継ぐ若手演奏家の育成にあたった。昨秋富山で開催された「こしのくに音楽祭2006」では音楽監督を務めていたが、会期中に病気のため急逝。このため、「シモン・ゴールドベルク記念音楽祭2007」では、ゴールドベルクの芸術的遺産や、夫妻の音楽への情熱、想いを次代を担う演奏家に伝えようと、若手室内楽演奏家養成のための「メモリアル・セミナー」に重点が置かれている。音楽祭の会期中には、このメモリアル・セミナーをはじめ、講師によるメモリアル・コンサート、公開レッスン・講座、セミナー受講者による成果発表コンサートなどが行われる。

 セミナーは、9月10日(月)〜21日(金)、魚津市にある新川学びの森・天神山交流館で実施される。対象は、演奏家を目指す音楽大学大学院生もしくは修了者(同等の能力のある者)で、バイオリン、チェロ、ビオラなどの弦楽器とピアノ、ピアノトリオ、弦楽三重奏(四重奏)などに参加できる者。富山県出身など、富山にゆかりのある方の参加を歓迎。受講料は1人30,000円で、定員は20名ほど。受講希望者は受講申請書をダウンロードし、必要事項を記入して郵便、FAX、電子メールのいずれかの方法で6月30日(土)までに、シモン・ゴールドベルク記念音楽祭実行委員会メモリアル・セミナー事務局<〒937-0013 魚津市天神野新147-1 新川学びの森・天神山交流館内TEL.0765-31-7001、FAX.0765-31-7009 、電子メール:manabi-t@nice-tv.jp info@szymon-goldberg.jp>へ。申込み者多数の場合、書類選考のうえ、受講者を決定する。

 セミナーでは、アメリカのバイオリニストのニコラス・キッチン氏(ニューイングランド音楽院・ファカルティ(教員))、旧ユーゴスラビア出身のチェロ奏者 サンドラ・ベリッチ氏(ベオグラード音楽院主任教授)、台湾出身のピアニスト マンチェ・リュウ氏(カーティス音楽院・ファカルティ)、新日本フィル管弦楽団主席オーボエ奏者の古部賢一氏、アメリカのボロメーオ弦楽四重奏団など、ゴールドベルク夫妻ゆかりの演奏家が講師となり、個別レッスンや公開講座を担当する。公開講座は、生前の演奏テープやレコード、講義録からゴールドベルクがベートーベンなどの作品をどのように解釈していたかを探るなど、ユニークな内容となっている。         

●ゴールドベルク氏の美術品コレクションを一般公開

 講師陣が演奏を担当するコンサートも楽しみだ。プログラムとして、「前夜祭」<9月9日(日)18:00〜、立山国際ホテル>、「メモリアル・コンサート」<9月20日(木)19:00〜、富山市民プラザ>、「メモリアルセミナー・コンサート」<9月21日(金)18:00〜、新川文化ホール>、「美術館コンサート」<9月22日(土)14:00〜、県立近代美術館>などが企画されている。ホテルチャペルを会場にした前夜祭では、ゴールドベルク氏に捧げる曲としてニコラス・キッチン氏がJ.S.バッハの無伴奏ソナタを、サンドラ・ベリッチ氏がチェロ組曲を演奏する。21日(金)のメモリアルセミナー・コンサートは、セミナー受講者の成果発表の場として聴きごたえのあるコンサートとなるだろう。同コンサートの午後の部では、魚津市内の小学生(4年生以上)を対象にしたアウトリーチ(芸術普及活動)が実施され、講師らがベートーベンの音楽をわかりやすく紹介する。 
                                  
 美術館コンサートとともにぜひ鑑賞したいのが、6月12日(火)〜9月30日(日)に県立近代美術館で開催される展覧会「音楽家からのおくりもの−−シモン・ゴールドベルク&山根美代子コレクション」。ゴールドベルク・山根美代子から寄贈されたゴールドベルクの美術品コレクションを一般公開するもので、絵画や彫刻など全19点が鑑賞できる。寄贈作品の多くはドイツを活動の拠点とした芸術家のもの。女性彫刻家ケーテ・コルビッツ、画家のパウル・クレーなど、ゴールドベルクと同じようにナチスによって夢や希望を打ち砕かれながらも、創作の自由を求めた芸術家の魂が作品に宿っている。
 
 なお、実行委員会事務局では、音楽祭の運営資金として一人一口20,000円以上の個人支援・協力を呼びかけている。支援すると、一口につき1名、メモリアル・コンサートやセミナー・公開講座などに招待される(詳細は下記のホームページ参照)。いずれも定員があるため、応募者多数の場合は抽選。また、支援者数をみながら、一般への整理券配布も予定されている。


▲ボロメーオ弦楽四重奏団


問い合わせ
●シモン・ゴールドベルク記念音楽祭実行委員会事務局
TEL.076-413-2956
FAX.076-413-2804
http://www.szymon-goldberg.jp/

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