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2004年 8月 18日 [ トピックス ]

No.157-2:富山県工業技術センター・生活工学研究所、低温型保冷剤を開発


●マイナス15℃へ、急速に冷やす

 富山県工業技術センター・生活工学研究所が、高岡市の民間の保冷剤メーカーと共同で、マイナス15度の低温型保冷剤を開発した。従来の保冷剤は、水を主原料に凍結させたもので、本体の温度が0℃までしか下がらなかった。
 そこで、同研究所では、水に塩類や有機化合物などを混ぜるとより低い温度で凍る現象に注目し、マイナス15℃になる保冷剤を誕生させた。この結果、気温 20℃で7.5リットルのクーラーボックスに500gの保冷剤を一個使う場合、従来型では7〜8℃にまでしか下がらなかったが、今回開発した保冷剤ならば 30分ほどで2〜3℃にまで下がる。保冷剤の数を増やせば、ボックス内を0℃以下にすることも可能だ。
 ちなみに、同研究所ではマイナス20℃の保冷剤も開発済みだったが、一般家庭に普及している冷蔵庫の能力ではマイナス18℃までしか冷やすことができないため、今回、マイナス15℃タイプの保冷剤を商品化することとした。
 なお、この研究は、県のベンチャー創生等支援共同研究事業の指定を受けたもので、商品は「ガツンとこおるクン」の名称で全国のホームセンターで販売されている。


●深層水氷の製造研究を生かす

 「この開発には、過去に行った、鮮魚保存用に富山湾の海洋深層水で氷をつくる研究が役に立ちました。ここで集めたデータが今回の保冷剤の開発に生かされています」と同研究所の九曜(くよう)英雄主任研究員は語る。
 なお、深層水氷の製造研究は、「凍結法による海洋深層水の脱塩濃縮研究」、さらには「膜分離法による海洋深層水の脱塩濃縮装置の開発」に発展していった。この装置は、樹脂膜を使い、ポンプで圧力を加えることで深層水を脱塩水と濃縮水に分離させるもの。分離方法には凍らして分離する方法や蒸発させて分離する方法があるが、いずれも膨大なエネルギーが必要で、樹脂膜を用いることで効率面でも格段に向上した。製造される塩分濃度15%の濃縮水は、みそやしょうゆの原料に使うことができるなど、幅広い活用が期待されている。来年初めには滑川市の海洋深層水施設でこの装置の使用が始まる予定だ。




問い合わせ
●富山県工業技術センター・生活工学研究所
TEL.0763-22-2141
FAX.0763-22-4604

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