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2017年 6月 14日 [ トピックス ]

No.810:高志の国文学館 常設展示室がリニューアル!

 富山ゆかりの文学や映画、アニメ、漫画、先人などを紹介する「高志の国文学館」(富山市舟橋南町)。開館から5年で入館者が60万人を超える富山の人気スポットとなっているが、このほど常設展示室がリニューアルした。寄贈・寄託された作品を企画展示する「特別コレクション室」、大伴家持の世界を紹介する「映像ブース 越中万葉の歌四十首」などの新設で魅力もアップ。平成29年6月11日(日)に開幕したばかりの開館5周年記念企画展「上橋菜穂子と〈精霊の守り人〉展」の話題も併せて紹介しよう。

●竹久夢二の世界へ


▲「知の蓄積」の前に新設した
「クローズアップコーナー」

 高志の国文学館(こしのくにぶんがくかん)は2012年7月に開館。今年7月6日(木)に開館5周年を迎えるのに合わせ、常設展示室をリニューアルした。5月29日(月)には、全国植樹祭の式典へのご臨席のため、富山県を訪問されていた天皇皇后両陛下がご視察されたことも記憶に新しい。6月11日(日)には、来館者数60万人を達成するなど、県内外から文学ファンが訪れる、富山を代表する人気の施設となっている。

 新設の「特別コレクション室」は寄贈・寄託された作品や資料などを春と秋の年2回、テーマを設定して紹介するコーナーだ。10月2日(月)まで、「夢二が描いた『婦人グラフ』の女性たち」と題し、昨年寄託を受けた竹久夢二作品約430点の中から、雑誌『婦人グラフ』の表紙絵や挿絵26点を展示中。女性たちは、20代から40代と見られ、服装は洋装、和装とりどり。色彩豊かに描かれており、当時の流行や伝統的な様式など時代背景が感じられる。絵を眺めていると、夢二独特の美しい女性たちがいまにも語りかけてきそうだ。


▲特別コレクション室(左)
▲デジタルサイネージ
ゆかりの文学者たち(右)

 「デジタルサイネージ ゆかりの文学者たち」は、タテ140cm、ヨコ80cmの大型タッチパネル3台で、芥川賞作家の柏原兵三や堀田善衞、直木賞作家の源氏鶏太、作家で歌人の辺見じゅんら県ゆかりの作家23人の略歴や画像資料を紹介。画面をタッチすると、プロフィールやエピソード、代表作品などを見ることができる。

●家持の歌、四十首を映像ブースで鑑賞

 書籍で埋め尽くされた壁(「知の蓄積」)の前に、ガラスケースを設けた「クローズアップコーナー」もお目見え。県ゆかりの作家や作品に焦点を当てて、詳しく紹介する。現在は「富山のうた人たち」と題し、富山を詠んだ名歌や秀句、「うた」を表現する場となった刊行物をクローズアップ。黒部市生地ゆかりの詩人、田中冬二や、富山市出身の国文学者・俳人、角川源義の色紙などを展示している。

 万葉歌人、大伴家持の生誕1300年を記念して、映像ブース「越中万葉の歌四十首」も加わった。「立山に降り置ける雪を常夏に 見れども飽かず神からならし」…家持が詠んだ歌の中から四十首を収め、映像と音声で鑑賞できる。題材となった富山の美しい景色などを映像で楽しみたい。


▲クローズアップコーナー

 大型の資料を展示できる高さ2.5mの「大型ウォールケース」も新設した。富山県[立山博物館]と連携し、立山曼荼羅「最勝寺本」(複製)を展示。同作品は、愛知県知多郡阿久比町に位置する天台宗最勝寺に伝わる立山曼荼羅である。通常、立山曼荼羅は、剱岳から浄土山までの立山を描き、地獄谷に地獄の相をあらわす地獄絵、そして佐伯有頼と矢疵の熊(矢疵の阿弥陀如来)を配した立山の開山伝説を描く。同作品は、他の立山曼荼羅に比べると特異な構図をとるが、軸裏に「立山和光大権現画伝」とみえ、「立山曼荼羅」に規定される。愛知県知多での立山信仰の広まりが知られる作品である。

●上橋菜穂子氏の独創的な物語世界へ

 高志の国文学館開館5周年記念企画展「上橋菜穂子と〈精霊の守り人〉展」が6月11日(日)に開幕した<7月10日(月)まで>。同展は、昨年世田谷文学館(4~7月)からスタートした全国巡回展で、富山は5会場目となる。

 上橋菜穂子氏は、『精霊の守り人』、『獣の奏者』、『鹿の王』などの著作で知られるベストセラー作家。2014年に児童文学における最高の賞・国際アンデルセン賞作家賞、15年に『鹿の王』で本屋大賞を受賞した。多様な価値観や、文化的背景の異なる人々が織り成す世界を鮮やかに描きあげる作品は、世界的に高く評価されている。16年春から『精霊の守り人』シリーズがNHK放送90年大河ファンタジーとしてドラマ化。今年11月から最終章が放送予定。

 同展は、『精霊の守り人』シリーズに描かれる多文化共生を軸として、その卓越した物語世界を紹介する大規模な展覧会。会場は、Step1「さまざまな境界、その向こう側」、Step2「生と死の境界、究極のサバイバル」、Step3「<守り人>の世界、その多様性」、Step4「物語とともに生きる」、Step5「境界、そこはフロンティア」の5つに分かれており、シリーズ関連資料やテレビドラマ、アニメ、マンガの関連資料、文化人類学の研究資料、登場人物の相関図、インタビュー映像などで作品の魅力に迫る。

 代表作『鹿の王』の初稿、挿画、ドラマイメージボード、ワープロといった愛用の品々、オーストラリアの原住民アボリジニのブーメラン、ドラマ『精霊の守り人』に登場したバルサ、チャムグ、イーハンの衣装など、貴重な資料を展示している。なかでも『精霊の守り人』の初稿、高校時代に書いた創作劇の脚本は、富山会場が初公開となる貴重な資料だ。


▲上橋菜穂子と〈精霊の守り人〉展(左)
▲バルサなどの衣装と
一緒に記念撮影もできる(中央)
▲企画展の会場風景(右)

 『虚空の旅人』の表紙画を描いた佐竹美保氏(挿絵画家:高岡市出身)のワークショップ「もうひとつの世界<ナユグ>を描こう」<7月1日(土)14:00~15:30>、「NHK大河ファンタジー『精霊の守り人』制作秘話」<7月9日(日)14:00~15:30>、新ヨゴ皇国、カンバル王国などの紋章を集める「<精霊の守り人>スタンプラリー」といった関連イベントもある。参加申込み方法など、詳細は高志の国文学館のホームページ(http://www.koshibun.jp/)にアクセスを。

 高志の国文学館では、「家持から現代作家まで、ふるさとの文学をより広く深く、学んでもられるように常設展示室をリニューアルしました。企画展『上橋菜穂子と〈精霊の守り人〉展』では、ファンタジーや児童文学の枠をはるかに超えた比類のない“本物の物語”の面白さを、ぜひご堪能ください」と話している。

 なお、「上橋菜穂子と〈精霊の守り人〉展」のチケットを抽選でペア5組10名様にプレゼントします。プレゼント応募フォームに、プレゼント内容「高志の国文学館企画展チケット」・氏名・郵便番号・住所・メールアドレス・電話番号・記事を読んでのご感想をご記入のうえ、お送りください。<6月18日(日)締切。発表は発送をもって代えさせていただきます。>

→プレゼント応募フォームはこちら

問合せ
●高志の国文学館
TEL. 076-431-5492
FAX. 076-431-5490
http://www.koshibun.jp/

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