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2017年 5月 31日 [ トピックス ]

No.808:鋳物作りの現場へ! 能作で産業観光を楽しもう

 伝統工芸の技が生きるまち・高岡市に新たな産業観光の拠点が誕生した。鋳物メーカー「能作(のうさく)」で平成29年4月に完成した新社屋では、木型を使ったディスプレーや、富山の観光地を映し出すプロジェクションマッピング、鋳物体験コーナーなど、ものづくりの工場ならではの音やにおい、熱を感じてほしい。

●職人の技を間近で


▲新社屋の外観(左)
▲木型倉庫と
プロジェクションマッピング(中央)
▲鋳物場(右)

 平成27年4月、文化庁が創設した「日本遺産」に、高岡市の「加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡―人、技、心―」が認定された。国宝・瑞龍寺や高岡城跡、高岡御車山(みくるまやま)、金屋町重要伝統的建造物群保存地区など30の有形、無形の文化財で構成されている。
 また、この「高岡御車山祭の御車山行事」は、平成26年12月には、「ユネスコの無形文化遺産」にも登録。平成27年に開館した高岡御車山会館では、金工や漆工など工芸技術の粋を集めた御車山を通年展示しており、先日、富山県で開催された全国植樹祭に際しては、天皇皇后両陛下が御視察されたのも記憶に新しい。

 その高岡に、新たな産業観光の施設が誕生した。高岡の金属産業は、加賀藩主前田利長が産業振興策のひとつとして、慶長16年(1611年)に現在の金屋町に鋳物発祥の地である7人の鋳物師達を招き、鋳物工場を開設したことに始まる。
 以来400年余の歴史を持つ高岡鋳物の伝統技術を生かしながら、錫100%を素材にした曲がる片口やぐい呑み、テーブルウェア、真鍮製でデザイン性の高い風鈴など、ヒット商品を生み出してきたのが、株式会社能作(高岡市オフィスパーク8-1)。創業101年目の今春、産業観光をテーマにした新社屋がオープンした。金属を溶かす炉の炎をイメージした赤銅色の屋根が印象的な建物には、見学が可能な工場のほか、鋳物製作体験コーナー「NOUSAKU LAB」、観光案内コーナー「TOYAMA DOORS」、ショップ「FACTORY SHOP」、カフェ「IMONO KITCHEN」などがある。

 400枚の真鍮の板で装飾した正面玄関を抜けると、高岡で活動する100人の職人の手による100本の花器「そろり」がお出迎え。精緻な技に職人魂の熱が伝わってくるようだ。エントランスホールに入ると、壁一面を覆い尽くす木型(鋳型を製作するときに使用する型)が圧巻。ガラス越しの倉庫には、約2,500枚の木型が収納されている。木型は手がけた職人別に色分けされており、すべて実際の製造に使われているという。

 実際の製造現場の見学「FACTORY TOUR」では、砂に水や粘土を混ぜ、押し固めて成型する生型鋳造法の作業工程や、金属を型に流し込む鋳造の作業、ろくろ作業、仕上げ作業などを職人と同じ環境、目線で見られる。炉から立ちのぼる煙と熱、におい、金属を磨く音と、工場ならではのライブ感、空気感がたまらない。吹き抜けの大きな工場には作業工程を示す「鋳」「錫」「銅」「炉」「削」「轆」などの文字・サインが下がる。案内者の解説もあり、鋳物製造の工程がよくわかる。


▲「轆」の工程(左)
▲NOUSAKU LAB(右)

 「NOUSAKU LAB」では、砂で型を製作する生型鋳造法を体験(有料)できる。砂の感触を楽しみながらの鋳型の造型、金やすりや紙やすりを使った製品の仕上げ、刻印打ちなど、子どもはもちろん、大人も思い出に残る時間となるだろう。体験メニューは、ぐい呑みや小鉢、トレー、箸置き、昆虫チャーム、ペーパーウェイト。所要時間はペーパーウェイトが約30分。それ以外は約90分。高温の錫(250度以上)を流し込む作業は、能作のスタッフが行う。

●富山の観光情報を発信

 ホールの「TOYAMA DOORS」では、富山県の形をしたテーブルをスクリーンにしたプロジェクションマッピングが楽しめる。黒部ダムやホタルイカなど富山の観光スポットや名物、祭りなどが投影されている。床には、真鍮製の日本地図が埋め込まれており、地図と一緒に写真におさまるのもおもしろい。能作社員おすすめの県内観光スポットや宿、飲食店、祭りなどを紹介したカードを手にすることもできる。富山観光の参考にしよう。

 ショップ「FACTORY SHOP」には、錫製の箸置きや酒器、花器、真鍮製の風鈴のほか、新社屋限定品として工場道具をかたどったマドラー、47都道府県の形をしたペーパーウェイト兼お香立て、キーホルダーやピンバッジ、富山の老舗和菓子メーカーとコラボしたお菓子、職人が着用しているTシャツと同デザインのオリジナルTシャツなどがずらりと並ぶ。産業観光のお土産にぴったりだ。

 カフェ「IMONO KITCHEN」では、県産野菜、県産全粒粉を使ったベーグルをはじめ、富山米のおにぎりや大門素麺など地元素材にこだわったメニューを能作の器で味わえる。ランチやコーヒータイムに利用しよう。


▲TOYAMA DOORS(左)
▲能作の器に盛られた
「大門素麺とおにぎりセット」(中央)
▲ショップに並ぶ風鈴(右)

 なお、工場見学と鋳物体験は予約が必要だが、カフェやショップは事前予約なしで利用できる。休みは、年末年始のみ。ただし、工場見学は、日曜・祝日は休業(土曜は月により変更あり)。

 能作では、「製作現場を見学したり、鋳物づくりを体験していただくことで、伝統技法と職人の志を五感で体感いただけます。富山の観光情報も発信しています。4,000枚の錫の板で外観を装飾したフリースペースNOUSAKU CUBEではパネルや立体模型を展示した“能作ができるまで展”を催しています。気軽にお立ち寄りください」と話している。

問合せ
●高岡市観光協会ポータルサイト
TEL. 0766-20-1547
FAX. 0766-20-1497
http://www.takaoka.or.jp/

●能作
TEL.0766-63-5080
FAX.0766-63-5510
予約問合せ TEL.0766-63-0001
www.nousaku.co.jp

●高岡御車山会館
TEL. 0766-30-2497
https://mikurumayama-kaikan.jp/

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