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2017年 2月 15日 [ トピックス ]

No.794:チューリップの県育成品種、EUで品種登録

 チューリップの球根出荷量が日本一の富山県。県育成チューリップ品種「赤い糸」、「春の火まつり」、「なごり雪」が初めて欧州連合(EU)で品種登録された。いずれも花壇植えに適しており、ヨーロッパ市場での「富山ブランド」の発信に期待が高まっている。

●日本一の球根産地・富山から世界へ発信


▲なごり雪

 チューリップ球根の栽培面積79.5ha、出荷量1,887万球(平成26年度)と、富山県は日本一のチューリップ王国。愛らしいチューリップは県花として、県民に親しまれている。春ともなれば、チューリップ畑に色鮮やかな花の絨毯が現れる。国内有数の規模を誇る花のイベントとして知られる「となみチューリップフェア」では、700品種、300万本のチューリップが咲き誇る。今年は4月21日(金)~5月5日(金・祝)、砺波チューリップ公園で開催される。

 さて、EUで登録された「赤い糸」、「春の火まつり」、「なごり雪」の3品種はいずれも富山県農林水産総合技術センター園芸研究所が開発した。平成26年4月、チューリップ海外展開品種戦略検討会(県、球根農協、オランダ関係者出席)で、EU向けの有望品種として3品種を選定。27年5月、オランダCNB(球根卸売市場)で3品種のプレゼンテーションと市場調査を実施し、いずれも市場性が高いとの評価を得た。同年8月に欧州共同体植物品種庁(CPVO:本部フランス・アンジェ)へ登録申請し受理。28年12月15日に品種登録が完了した。


▲春の火まつり(左)
▲赤い糸(右)

 3品種を紹介しよう。「赤い糸」(EU登録番号45192)は一重咲き。咲き始めはほとんど白色で、咲き進むと花弁の縁だけが赤色に発色する。その幅が咲き終わりまで広がらない、極めて珍しい品種。富山県での開花期は5月上旬。茎葉が強く、草姿の揃いが良いことから、花壇植えに適している。

 「春の火まつり」(EU登録番号45193)は八重咲きの中では珍しい赤色と白色の2色系。咲き進むにつれて赤色部が拡大する。富山県での開花期は4月下旬~5月上旬。茎葉が強く、草姿の揃いが良いことから、花壇植えに適している。また、3月出荷の切り花生産にも適している。

 「なごり雪」(EU登録番号45194)は、極めて珍しい八重のユリ咲きで、花色は淡黄色。富山県での開花は4月下旬。花茎が強く、枝咲きも多いことから花壇植えに適している。また、2~3月出荷の切り花生産にも適している。

 品種登録によって、育成者の知的財産権が守られ、育成者の許可がなければ、第三者は生産や販売ができない。また、国際的な評価の高まりにより県内チューリップ球根産地の活性化にもつながる。

 なお、県ではこれまでチューリップの本場・オランダで、一重咲きの大輪の花を咲かせる「黄小町」、純白色に淡いピンクの縁取りの「初桜」、白色の大輪の花を咲かせる「白雲」、ユリ咲きで濃い紫色の「夢の紫」の4品種を登録。現地の取扱業者と許諾契約を結んでいる。

●県産チューリップ、海外で高評価

 昨年4~10月、トルコ共和国アンタルヤ市で開催された「2016年国際園芸博覧会トルコ・アンタルヤ」の切り花コンテストでは、上記の「なごり雪」が金賞、「春の火まつり」が銀賞を受賞している。

 このほか、円筒形の花型で、浅赤味がかった紫色の「春乙女」、八重咲きの白色の花で、花冠の中央部が盛り上がる珍しい花型の「春のあわゆき」が金賞、ユリ咲き品種としては珍しい濃赤色の花を咲かせる「炎の恋」が銀賞を受賞するなど、県産のチューリップは海外で高く評価されている。

 富山県農産食品課では「富山県は雪、水、土と、チューリップが育つ好条件が揃っています。EUでの品種登録をきっかけに、富山のチューリップの魅力を世界に発信していきたい」と話している。

問合せ
●富山県農林水産部 農産食品課
TEL.076-444-3284
FAX.076-444-4410
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1613/

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