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2004年 6月 9日 [ トピックス ]

No.147-2:剱岳の再測量で標高が変わる?−測量100周年を記念し山頂に三角点設置


●剱岳の標高を再測量

 北アルプス・立山連峰の主峰・雄山(おやま)から北へ約5km。アルピニストの憧れの山として知られる2,998mの名峰・剱岳が、鋭い岩峰と黒い岩肌の独特の景観を見せながらそびえる。
 2007年(平成19年)は、この剱岳に国土地理院の前身、陸地測量部の柴崎測量官らが三角測量のために登頂して100年という節目の年。国土地理院ではこの平成19年度までに、「剱岳測量100周年」記念事業として記念地図の発行、講演会・地図展の開催などを計画しているが、その一つとして、今夏7〜 8月に剱岳山頂に測量のための三角点を復旧・設置する。
 剱岳に測量官が始めて登頂したのは1907年(明治40年)7月。しかし、地形の険しさから標石と測量の機材を頂上まで搬入できず、周囲の山々からの測量により3,003mと計測。その後、1968年(昭和43年)の写真測量で2,998mに改めたという経緯がある。今回は、標石を置き、三等三角点 (10km区間に1箇所設置)とする計画で、GPS(衛星利用測位システム)など、最新の技術を使って標高を再測量する。その結果次第では、剱岳の標高が変わる可能性もある。

●測量の歴史を新たに刻む高校生たち

 三角点は緯度、経度、標高を正確に測量するための標石で、小豆島産の花崗岩でできた高さ約80cm、幅約20cm四方、重さ約60kgの標柱。埋設後は上部約20cmが地上に現れる。設置区間の違いによって1等から4等までにわけられ、全国に約10万ヶ所、富山県内では約1,000ヶ所に設けられている。
 国土地理院では、標石を7月下旬に剱岳山頂へ運ぶ計画だが、標高2,450mの室堂平からの一部区間を、富山県内の高校山岳部の生徒らに背負って運んでもらう企画を進めている。実施に向けて、6月21日(月)から運搬ルート調査のためのチームが入山する予定だが、測量部の山田明部長は、「柴崎測量官の夢の実現は大変意義のあること。若者に剱岳測量の歴史にぜひ参加してもらい、よい思い出を作ってほしい」と話している。
 なお、柴崎測量官らが登頂を果した2年後の1909年(明治42年)7月、日本山岳会の吉田孫四郎、福光町の日本画家・石崎光瑤らの登山グループが、宇治長次郎ら山岳ガイドの案内によって民間人として初めて剱岳に登頂した。トップに掲載した写真は、石崎家に残されている、頂上に立つメンバーを撮影した「剱岳 登頂記念写真」(石崎光瑤撮影)。人物の背後に立つ棒状の標柱は、柴崎測量官らが測量のために設置したものと思われる。この写真は剱岳の測量の歴史と民間人初の剱岳登頂の瞬間を収めた貴重なものである。またガラス乾板によって撮影された写真としても、明治期のものとしては珍しいものだという。




問い合わせ
●国土地理院北陸地方測量部
TEL.076-441-0888
FAX.076-441-0889

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