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2005年 6月 22日 [ トピックス ]

No.201-1:豊かな森林づくりへの取り組みがスタート


●県民参加で森林づくりへ、ボランティア募集

 富山県では、県土面積(42万ha)の67%にあたる28万haの森林が広がり、植生自然度は本州一と評価されている。多種多様な動植物を育む豊かな森林は、洪水や山崩れ、雪崩などの災害から人の暮らしを守ってきた。森林から流れ出す清浄で豊潤な水は、飲料水や農業・工業用水として利用され、また川となって富山湾へと注ぎ、豊かな水産資源を育んできた。近年では、地球温暖化防止として、森林のもつ二酸化炭素の吸収機能も大きくクローズ・アップされている。

 富山県では、豊かな森林を次代へと引き継ぐために、森林の保全・整備のあり方と、それを社会全体で支える仕組みについて検討する「とやま水と緑の森づくり検討委員会」が設置された。今年10月を目途に、富山県の森林特性にあった森づくりのガイドライン等が示される。

 また、手入れの必要な民有林を森林所有者とボランティアが一緒に整備する「県民参加の森林づくり事業」を今夏から3年計画でスタートさせる。県内の各森林組合が主体となり、整備する場所の設定やボランティアへの技術指導を行うもので、ボランティアの募集を夏から始め、秋から活動を行う予定だ。作業は、枝打ちやつる切り、植林、歩道新設などが中心で、全体で24haの森林の整備を目指す。


●全国的に荒廃が進む人工林

 森林づくり事業に取り組む背景には、水資源のかん養、生物多様性の保全、地球温暖化防止など、森林の持つ機能に注目が集まる一方で、森林の荒廃が広がっていることがあげられる。特に富山の森林の19%にあたるスギを中心とした人工林(5.3万ha)では、外材輸入による国産材価格の低迷によって林業の採算性が悪化し、生産者の意欲低下につながっており、手入れの行き届かないところが多く発生している。人工林の荒廃は全国で進んでおり、林業そのものが転換期を迎えているといえる。

 また、里山の広葉樹も炭やまきの生産が減って放置されるようになり、それが昨年のクマの異常出没の要因の一つにもなったとされる。手入れされた里山が、クマなどの動物が棲息する奥山と、人里とを分ける緩衝地帯となり、両者を共存させてきたというわけだ。

  県森林政策課では、「放っておけば、山は荒れていきます。事業によって、森林に目を向けてもらい、豊かな森林づくりへの意識を高めたい。そして、森林所有者だけでなく、県民参加で豊かな森づくりを進めていきたいですね」と話している。




問い合わせ

●富山県農林水産部森林政策課
TEL.076-444-3387
FAX.076-444-4428
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1603/index.html

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