仕事もしていない、学校にも通っていない、職業訓練もしていない、「ニート」と呼ばれる若者無業者。富山県では、こうした若者に対する支援として、昨年 10月から、若者の就業支援や職業能力の開発に取り組むNPO法人と連携し、「若者自立チャレンジトレーニング事業」を実施している。

●NPOと連携し、若者の就労支援へ
　仕事もしていない、学校にも通っていない、職業訓練もしていない、「ニート」と呼ばれる若者無業者。労働経済白書によれば全国で約64万人にも達しており、今後の日本社会に与える影響が懸念されている。

　県では、こうした若者に対する支援として、昨年10月から、県が若者の就業支援拠点として開設している「ヤングジョブとやま」(富山市)において、「若者自立チャレンジトレーニング事業」を実施している。「ヤングジョブとやま」のカウンセリング利用者のうち、すぐに就職活動に踏み出すことが困難な若者を対象に、就労体験や社会適応訓練の場を提供する事業だ。

　事業での支援の流れとして、若者の職業観や興味などをカウンセリングし、各人に合ったいくつかの支援メニュー(就労体験など)を企画・提案。本人の希望に応じ、企業などでの活動の場を提供(チャレンジトレーニング：1〜2週間ほど)。その後、若者の受け入れ先の企業を訪問し、企業と若者の双方と面談して就労について調整する。企業での体験・訓練にすぐに参加することが困難な場合は、地域団体やNPO法人、ボランティア団体での地域奉仕活動の場も設けている。若者への支援メニューの提案や助言、受け入れ企業の開拓、調整などは、若者の就業支援や職業能力の開発に取り組むNPO法人「マイジョブクリエイションズ」が担当。これまでにチャレンジトレーニングに参加した若者は13名で、その職場体験によって、就労意欲が芽生え、2名が就職を果たしている。

　県では、若者の自立支援に関する情報の集約、効果的な対策を総合的に進めるため、「富山県若者の自立支援に関する庁内連絡会議」を昨年12月に発足。就労支援だけでなく、学校や家庭での教育、心の健康対策など、さまざまな面からアプローチしていく考えだ。

●農作業を通して働くことの喜びを
　厚生労働省では、ニート対策として、若者に働く意欲と自信を身につけてもらい、就労などにつなげることを目的に、合宿形式で生活訓練を行う「若者自立塾」事業を全国20カ所で行っている。北陸では、県内に実施場所をもつ「NPO法人　北陸青少年自立援助センター(法人所在地：富山市万願寺)」と、「NPO法人　教育研究会＜宇奈月若者自立塾＞(法人所在地：横浜市港南区丸山台」の2団体が若者自立塾に認定されている。

　北陸青少年自立援助センターでは、不登校や引きこもり、非行などの若者に共同生活寮「ピースフルハウスはぐれ雲」での共同生活の場を提供。また、農作業、アルバイトなどの就労体験の機会を提供することで、若者に社会的な自立を促している。直木賞作家・乃南アサ氏の作品『ドラマチックチルドレン』は、このピースフルハウスはぐれ雲を舞台に執筆されたノンフィクション小説だ。

　はぐれ雲での「若者自立塾」事業の内容として、はぐれ雲と、デイサービスセンターの機能をもつ北陸の郷(くるがのさと)での共同生活、農作業や介護などの就労体験、IT関連検定(情報セキュリティ検定、CAD検定など)の取得に向けてのプログラムなどが挙げられる。若者たちが3カ月の合宿・共同生活によって基本的な生活習慣を改善させたり、農作業を通して就労意欲を高めたりできる環境を提供しようというのが特色だ。

　宇奈月若者自立塾は、温泉郷・宇奈月温泉で生活、就労体験を共にしながら、人間関係づくり、就労に必要な資格・ノウハウを学んでいく施設。「若者自立塾」事業の内容として、温泉街の観光ホテルやビルメンテナンス会社での職場体験、寮での共同生活による基本的な生活習慣の改善など。

　富山県労働雇用課では「ニートと呼ばれる若者にできるだけ早く就労意欲や自信を取り戻してほしい。県として今後もNPOなどの民間団体、市町村、経済団体など様々な関係機関と連携を図りながら、若者の就労支援、自立支援に取り組んでいきたい。厚生労働省の若者自立塾に認定されている県内の2つの施設の活動にも大きな期待を寄せており、今後も連携を図っていきたい。」と話している。




問い合わせ
●富山県商工労働部労働雇用課
TEL.076-444-8897
FAX.076-444-4405
http://www.pref.toyama.jp/cms_cat/203010/

●ヤングジョブとやま(富山県若者就業支援センター)
TEL.076-445-1996
FAX.076-445-1997
http://www.youngjob-tym.jp/