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2005年 12月 21日 [ トピックス ]

No.227-2:全国に広がる富山の教育


 富山県の「社会に学ぶ『14歳の挑戦』」、兵庫県の「地域に学ぶ『トライやる・ウィーク』」をモデルした文部科学省の「キャリア教育実践プロジェクト −−キャリア・スタート・ウィーク」が全国に広まっている。「14歳の挑戦」は、富山県内の全公立中学校の2年生が連続5日間学校を離れ、中学校区を中心とした地域社会へ出て、職場体験活動や福祉・ボランティア活動などを行う学習活動。

●将来の自分の生き方を考えるきっかけに
 富山県の「社会に学ぶ『14歳の挑戦』」、兵庫県の「地域に学ぶ『トライやる・ウィーク』」をモデルした文部科学省の「キャリア教育実践プロジェクト −−キャリア・スタート・ウィーク」が全国に広まっている。同プロジェクトは、生徒の勤労観、職業観を育てるために中学校で5日間以上の職場体験を行う学習活動だ。

 富山県の「14歳の挑戦」は、県教育委員会が平成11年に県内公立中学校27校で始め、13年には全公立中学校85校に拡大。昨年16年に参加した中学2年生は9,910名、生徒の受入先は3,241事業所にのぼる。

 内容としては、生徒が連続5日間学校を離れ、中学校区を中心とした地域社会へ出て、地域の人々の協力を得ながら、職場体験活動や福祉・ボランティア活動などを行う学習活動。活動場所は、農家や魚市場、スーパーマーケット、コンビニ、警察署、役所、飲食店、保育所・幼稚園、新聞社、病院、福祉施設、美術館・博物館など多岐にわたる。生徒は4名ほどの班単位で、1日あたり7時間ほど活動する。

 生徒は、活動を通じてあいさつの必要性、相手への思いやりの心、規範意識の大切さなどに気づくようだ。また、大人から仕事や生き方に対する考えを聞くことができ、「自分の人生や生き方を考えるきっかけになった」という声も聞かれる。

 生徒を受け入れる地域の人々にとっては、地域の子どもは地域で育てようとする輪を広げることにつながっている。「中学生の初々しさや爽やかなあいさつなどで職場や地域が明るくなった」という声もある。家庭では、「事業所での体験が親子共通の話題となり、会話の機会が増え、子どもの成長ぶりを実感」、「子どもの教育に対する家庭の役割を自覚」といった声が寄せられている。教師にとっては、生徒の新しい姿を知り、つながりを深めることができるというほか、職場の様子を知ることで教師自身が視野を広げることにもつながっている。生徒にとっての挑戦だけでなく、教師や保護者、地域社会にとっても挑戦する事業となっているようだ。

●理数大好きっ子の育成を図ろう
 教育に関する話題をあと2つ紹介しよう。県教育委員会は「理数大好きモデル地域事業」をスタートさせた。同事業は、科学の好きな児童・生徒を育成しようと、県内の小学校14校と中学校4校の合わせて18の指定校が、富山大学、富山県立大学、立山カルデラ砂防博物館、富山県中央植物園、富山市天文台など、県内にある11の教育資源(科学施設)と連携し、知的好奇心や探究心を高める教育を実践するもの。指定校では、大学から理科や数学の講師を招いて授業をしてもらったり、科学施設のイベントに児童・生徒を参加させたりする。

 同事業は、独立行政法人科学技術振興機構の指定を受け、今年度から3年間実施される。事業の一つとして「理数大好きミュージアムめぐり」が始まっている。県博物館協会の理工・自然史系加盟館18館を見学し、カードにスタンプを押すミュージアムめぐりだ。スタンプを集めることが目的ではなく、あくまで児童・生徒に館内を見てまわらせ、理数に興味を抱かせるようにするのがねらい。富山県は、ノーベル化学賞を受賞した田中耕一さんの出身県。第二、第三の田中耕一さんの出現を期待したい。

 来春合併して新市となる黒部市と宇奈月町が「国際化教育特区」に認定されたこともニュースだ。来年度から新黒部市の小中学校で英会話が正式教科となる。英会話の年間授業数は小学1、2年生で10時間、3〜6年生で35時間。中学校では全学年でいずれも35時間。黒部市には世界で事業展開する建材・ファスナーメーカーの事業所がある関係で帰国児童生徒が多い。一部の小学校が文部省(当時)の帰国児童生徒の教育研究校に指定されたこともあり、特色ある英語教育を進めてきた。近年、黒部峡谷や宇奈月温泉を訪れる外国人観光客が増え、語学力が求められる機会も多くなっている。早くから英語に親しんだ子どもたちの将来の活躍が楽しみだ。




問い合わせ
●富山県教育委員会 学校教育課
TEL.076-444-3452
FAX.076-444-4437
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/3003/kj00001004.html

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