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2005年 9月 21日 [ トピックス ]

No.214-1:人とクマとの共生を目指して

 行楽の秋到来。心地よい秋風に誘われて「飛越探訪ドライブラリー'05」(開催期間9月〜12月:日本の心のふるさとを守り育てる飛越協議会)に参加してみよう。スタンプを集めると抽選で飛越地域の特産品がプレゼントされる。公共交通機関での観光には、「南砺市観光周遊バス」を。市内の代表的な観光施設や温泉施設などを結ぶもので、11月6日(日)までの毎週土曜・日曜と祝日に運行されるのでご利用を。

●「富山県ツキノワグマ保護管理暫定指針(ガイドライン)」策定
 昨年秋、北陸を含む日本海側の地域を中心に、人里や市街地にツキノワグマが異常出没し、人身被害は全国で111名にものぼった。このうち富山県では24 名が被害に遭った。異常出没の原因は、エサとなる堅果類(ドングリなど)の猛暑や台風による凶作、過疎化・高齢化による里山の環境変化などとされているが、明確な因果関係はわかっていない。

 ツキノワグマは、国内の数少ない森林性大型哺乳類であり、繁殖率が低く、適切な保護管理が必要とされている。富山県では、自然界を構成する大切な一員であるクマと人との共生を図るため、「富山県ツキノワグマ保護管理暫定指針(ガイドライン)」を策定した。(冊子(A4判:75頁)、別冊「当面の調査研究について」(A4判:10頁)、概要版(A4判:4頁)を作成。)

 暫定指針では、「被害防除」、「生息環境管理」、「固体群管理」を総合的に推進することを挙げているが、特に、被害防除対策に重点をおいており、
・人身被害防止のための注意喚起や出没予測、体制整備などの「警戒システムの構築」
・関係機関と地域住民の役割分担を明確にし、被害防除対策や出没対策を迅速に実施する「県、市町村、関係機関及び地域住民の役割分担」
・クマの生息域や行動域に応じて市町村を4地域に区分し、その区分に応じた被害防除対策、捕獲方法を整理した「地域区分に応じた被害防除対策」
・クマが出没した場合に県や市町村が緊急的に対応できるよう整理した「ツキノワグマ出没時の対策マニュアル」
が盛り込まれている。

●今秋は、県内で「異常出没の恐れは少ない」と発表
 さて、今年は県内で異常出没の恐れがあるのか? 先述の「警戒システム」の異常出没予測では、山間部でクマの好むブナの実が豊作、ミズナラやコナラも平年並みに実をつけていることから、「異常出没の恐れは少ない」と発表(9月14日)され、注意報の発令は見送られた。ただし、今後山際やそれに続く平野部・市街地などでクマが出没した場合や、人身被害があった場合は「警報」が発令される。

 県自然保護課では、山中に入る場合の注意事項として、以下を呼び掛けている。
・ラジオや鈴、笛などで人の存在をアピールする。
・必ずグループで行動する。
・クマの行動が活発な朝夕は、山中での行動は避ける。
・周囲の状況に十分気を配り、子グマやクマの糞などを見つけた場合などは引き返す。
・ 生ゴミなどの誘引物を持ち帰る。

 ちなみに、富山県では9月11日に「自然と人間との共生シンポジウム−ツキノワグマとの共生、森づくり−」を開催し、暫定指針の解説や、研究者らがツキノワグマの生態、森林の機能などを紹介し、豊かな森づくりや、人と野生鳥獣との共生策などを探った。

 基調講演では、イギリス出身の作家、C.W.ニコル氏が、900年以上前にクマが絶滅したイギリスの例を挙げ、クマが生息できる日本の豊かな森に感動した話や、長野県の黒姫高原に居を構え、荒れた森を購入し復元した取り組みなどを紹介した。続いて行われたパネルディスカッションでは研究者らにより、社会科学からみた森林の費用対効果や森林環境税などについて討議が行われるなど、参加者が共生のため身近にできることは何かを考える場となったようだ。




問い合わせ
●富山県生活環境部自然保護課
TEL.076-444-3397
FAX.076-444-4430
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1709/
ツキノワグマに関する情報
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1709/kj00001551.html

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