トピックス

アーカイブ

2022年 11月 2日 [ トピックス ]

No.1065:県で四半世紀ぶり2例目の、国宝指定!平成の大修理を終えた「勝興寺」の今に迫る。

▲「勝興寺」の「本堂」
▲「勝興寺」の「本堂」
高岡市(伏木古国府)の「勝興寺」は10月12日、境内の中心建築物2棟について、国宝指定の答申を受けた。富山県内での国宝指定は、瑞龍寺(高岡市)以来25年ぶり、2例目となる。今記事では、「勝興寺」の歴史や国宝指定に至った理由、訪れた際の最注目ポイントを深堀りするべく、現地を訪れ、「勝興寺文化財保存・活用事業団」高田専務理事に話を聞いた。

●平成の大修理後、重要文化財から国宝へ!


▲勝興寺の本堂、
奥右手には大広間及び式台


▲見上げれば、木組みや彫刻など
細かい装飾も目を引く


▲本堂内は豪華絢爛で開放的

高岡市伏木古国府に佇む「勝興寺」は、戦国時代、越中一向一揆の拠点となった場所としても知られる「浄土真宗本願寺派」の寺院。境内の12棟の建造物はもとより重要文化財に指定されており、昨年春には “平成の大修理”を完了させている。そして2022年10月、12棟の建造物の内、「本堂」とその横に隣接するかつての僧侶の住居部分である「大広間及び式台」の2棟が、文化審議会において国宝指定の答申を受けた。県内での国宝指定は、同じ高岡市内の「瑞龍寺」の指定以来25年ぶり・2例目となるが、高田専務理事の語る歴史的価値を聞けば、今回の国宝指定が必然である根拠がより明確に見えてきた。

●江戸時代の境内がそのまま残る、国内有数のレアスポット


▲右手が「式台」、左手が「大広間」で
本来は別棟。最奥は「本堂」


▲「式台」から「大広間」への
アプローチ

まず「勝興寺」の境内の建築物のほとんどが江戸時代に建立されたもので、新しく建築されたものは必要最小限にとどまっているそう。国宝指定の公式理由について、実際の経緯を知る高田専務理事の言葉を要約すると「江戸時代の境内がそのまま現存するという、全国を見渡しても稀少価値の高いスポット」であったことが決め手のひとつであるようだ。なお、「本堂」の建立は1795年だが、「大広間及び式台」の「大広間」についてはさらにその150年前に建立された勝興寺に現存する最古の建築物で、23年の期間と70億円の費用をかけた半解体と組み直しを主とする大修理では、「史実を根拠に古い仕様に戻す」部分改修も敢行。結果、現在の境内は、過去最大に「江戸時代そのもの」の景色が広がっているのだ。

●建立の背景、維持される秘密もまた、国宝級


▲「勝興寺」の「唐門」

高田専務理事は、昔の寺院を「そのまま維持する」ことが難しい理由について、「藩主導など、寺院の多くが歴史上の栄枯盛衰にさらされやすかった背景」にあると解説する。一方で「勝興寺」は、あくまでも「浄土真宗本願寺派」の地元民や門信徒によって支えられた寺院であり、社会背景はおろか、天災や戦災にも見舞われずに維持された結果 “奇跡的な不変”が成立しているのだそう。また「本堂」の建立については、京都の「西本願寺」を手掛けた大工が設計を、加賀藩のお抱え大工が監督を、地元高岡の大工が施工を担った史実が残っており、この3組のコラボもまた、国宝に相応しい歴史的価値があるそうだ。

●非日常を味わえる、リフレッシュスポットとして

国宝指定の情報が開示されて以降、「勝興寺」にはかつてない数の来場者を記録している状況で、登録中の16人の観光ガイドについても増員を模索しているそうだ。「観光資源として注目されることで、県や市の盛り上がりも期待したい」と語る高田専務理事からは、「平日ならまだ混雑は回避可能」「建造物の写真撮影は逆光にならない午前中がベスト」などといった嬉しいアドバイスも。最後に、「非日常が味わえますので、いつでも江戸時代にタイムスリップに来てください。御朱印も人気ですよ!」と県民に呼びかけた。

【問合せ先】
(公財)勝興寺文化財保存・活用事業団
高岡市伏木古国府17-1
TEL:0766-45-0008
HP:https://www.shoukouji.jp/

コメント

その他のトピックス

ページの先頭へもどる↑