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2021年 3月 31日 [ トピックス ]

No.993:勝興寺、よみがえった江戸時代の壮麗な伽藍

浄土真宗本願寺派の古刹、雲龍山 勝興寺(高岡市)の伽藍が23年にわたる“平成の大修理”でよみがえった。唐門、本堂、書院など壮麗な寺院建築は圧巻! 4月11日(日)に竣工式、9日(金)~11日(日)には竣工記念イベントが開催される。

●境内に点在する計12棟の国指定重要文化財


▲本堂(左)
▲唐門(右)


▲奥書院


▲文化財資料展示室

 奈良時代に越中国庁跡、中世には武家居館など、歴史が重層する高岡市伏木古国府に位置する勝興寺(しょうこうじ)。文明3年(1471)、本願寺八世の蓮如(れんにょ)上人が越中国礪波郡蟹谷庄土山<現在の南砺市土山(どやま)>に草堂<土山御坊(どやまごぼう)>を建て、次男蓮乗(れんじょう)を住職として越中布教の拠点としたのが起源だ。その後、幾多の変遷を重ね、天正12年(1584)に戦国武将・佐々成政から古国府の寺地の寄進を受けたことから現在の地での歴史が始まった。越中の一向一揆の一大拠点ともなった歴史もあり、現在も土塁と濠で囲まれ、城郭寺院の面影をとどめている。江戸時代には加賀藩・前田家との結びつきを強めた。

 建造物群の配置は、概ね江戸時代後期の伽藍配置を今日まで継承し、近世の境内景観をほぼ完璧に残す、全国的にみても貴重な例として価値が高いと評価されている。

 “平成の大修理”は本堂を半解体修理する第1期工事が1998年に始まり、2004年に完工。2005年からの第2期工事では、寺の住居機能を担う本坊(大広間、式台、書院・奥書院・御内仏、台所)4棟、総門、唐門、式台門、御霊屋、鼓堂、宝蔵、経堂の諸門及び諸堂7棟、合計11棟の修理が行われ、2020年度中に完工した。

 本堂は、勝興寺の住職から加賀藩11代藩主となった前田治脩(はるなが)の支援を受け、寛政7年(1795)に西本願寺の阿弥陀堂を模して建築。間口39.4m、奥行37.5m、棟高23.5mの巨大な木造建築物で、国内の国宝・国指定重要文化財の建築物の中でも面積は8番目の規模を誇る。堂内でもっとも太い柱は直径54cm。長さ最大約9mの柱が122本も立っている。

 本堂に向かう位置にある唐門は華やかな雰囲気で、特別な存在感を放っている。明和6年(1769)に京都の興正寺で建立され、明治26年(1893)に勝興寺へ移築された。高さ10.2m、間口6m、屋根の横幅10.4mと大規模の四脚門で、前後の軒に曲線を連ねた唐破風(からはふ)付きの切妻造り。彫刻や金具などの装飾が随所に施されている。

 本坊の中では、「金之間」と呼ばれる奥書院も見ごたえがある。壁や建具に金箔が貼ってあり、絢爛豪華なしつらえに思わず溜息がもれる。技術の粋を凝らした引手金具や釘隠しも必見だ。また、書院には、洛中洛外図(レプリカ)や菊花文蒔絵花見弁当、落葉吹寄せ文蒔絵煙草盆、蒔絵将棋盤、蒔絵碁盤など、勝興寺所蔵の宝物が展示されている。

 このほど開設された文化財資料展示室には、江戸中期から明治期までの和くぎ約140本や、修理のために試作されたこけら葺き屋根の施工模型、茅と竹を縄で編み、藁を混ぜた土壁に組み込んだ施工模型を展示。匠たちの息遣いが聞こえてきそうだ。

●ライトアップで幻想的に浮かびあがる本堂


▲天から降った石

 4月11日(日)に竣工式(※招待者対象)、9日(金)~11日(日)には一般を対象にした竣工記念イベントが行われる。本堂や渡り廊下などを約50基のLED照明でライトアップする「灯りの勝興寺」や映画上映、万葉衣装のファッションショー、夜間見学会が予定されている。

 寺には、「実ならずの銀杏」、「天から降った石」、「水の涸れない池」、「屋根を支える猿」、「魔除の柱」、「雲龍の硯」、「三葉の松」の七不思議が伝わっている。万葉を代表する歌人・大伴家持の歌碑や越中国府跡の碑も建つ。往時に思いを馳せながら、壮麗な伽藍、職人たちの技を見てみよう。

 (公財)勝興寺文化財保存・活用事業団の高田克宏専務理事は、「近世の大寺院の規模と形式を備え、荘厳な雰囲気を漂わせている伽藍を是非ご見学ください」と話している。

問合せ
「拝観」について
●雲龍山 勝興寺 寺務所
TEL.0766-44-0037
FAX.0766-44-0210

「勝興寺保存修復工事」について
●(公財)勝興寺文化財保存・活用事業団
TEL.0766-45-0008
FAX.0766-54-5772
http://www.shoukouji.jp

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