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2021年 1月 27日 [ トピックス ]

No.985:「とやま×伝統工芸×ジュエリー」の新商品を発表

県は、今年度新たに、「とやま伝統工芸ジュエリープロジェクト」と銘打ち、全国初の試みとして、若手職人(特に、女性)とジュエリーメーカーとのコラボレーションによる伝統工芸の技術を活かした新商品の製作を進めてきた。富山県が誇る長い歴史と高度で優れた技法を有する伝統工芸の魅力や美しさを活かしながら、さらに新たな可能性に挑戦する、全国でも先駆的な試みだ。このほど、伝統工芸の美技が映える珠玉のジュエリーが完成。若き職人の新たな挑戦が始まる。

●富山県が誇る伝統的工芸品、高岡銅器と高岡漆器


▲(有)モメンタムファクトリー・Orii
(職人:井ノ口鈴)×(株)桑山(左)
▲しろがね屋裕翠(職人:髙田裕蒼)×
(株)桑山(中央)
▲(有)武蔵川工房(職人:武蔵川剛嗣、裕実)×
(株)桑山(右)

富山県には、国指定の伝統的工芸品が6品目あり、なかでも、全国的にも有名なものが、高岡市の、高岡銅器と漆器だ。

高岡銅器は、加賀藩主前田利長公が町の繁栄を図るため、1611年に高岡の地(金屋町)に7人の鋳物師を呼び寄せたことがはじまり。400年余りの伝統に培われた国指定伝統的工芸品だ。ブロンズ像やお寺の梵鐘、仏具、美術品、インテリア用品など、多彩な商品が作られている。銅合金の鋳物では日本のトップシェアを誇る。原型製作・鋳造・彫金・着色などの工程ごとに、高い技術を持った職人たちが分業制で仕上げる。今では、銅や亜鉛、鉛、錫の合金のほか、錫100%、アルミなどの素材を使った新しいものづくりが盛んに行われている。また、着色技術にも優れ、テーブルウェアなどの分野へ進出するなど国内外における販路拡大が期待されている。

高岡漆器は、1609年加賀藩前田利長公が高岡城を築き、武具や膳等を作らせたのが始まりで、勇助塗、彫刻塗、青貝塗など多彩な技術が生み出された。なかでも、アワビ貝などの貝を0.1㎜ほどに薄く削り、漆を塗った面に貼っていく螺鈿の技法は、漆の黒が薄い貝を通して透けると青く見えることから、高岡では「青貝塗」と呼ばれ、その美しさが知られている。

最近では、アクセサリーやスマホケース、箸など現代のライフスタイルに合った漆器が数多く作られ、新たな魅力となっている。

●高岡銅器、高岡漆器の若手職人と総合ジュエリーメーカーとのコラボ

そしてこの、富山県が誇る長い歴史と高度で優れた技法を有する伝統工芸の魅力や美しさを活かしながら、さらに新たな可能性に挑戦するため、県が今年初めて取り組んだのが、この「とやま伝統工芸ジュエリープロジェクト」だ。伝統工芸の参入が難しかったジュエリー分野への進出を図るとともに、若手職人の技術向上や活躍を後押しするのが目的で、全国でも先駆的な試みとして話題を呼んでいる。

同プロジェクトには、高岡銅器から(有)モメンタムファクトリー・Oriiの井ノ口鈴さん、しろがね屋裕翠の髙田裕蒼さん、高岡漆器から(有)武蔵川工房の武蔵川剛嗣さん、裕実さん夫婦の3組と、日本を代表する総合ジュエリーメーカーで、魚津市に主力工場を構える(株)桑山(東京都)が参加し、昨年6月から製作を進めてきた。

コロナ禍に加え、異業種のマッチングには、双方にとって想定外の、技術面を含めた幾多の難題があった。また、新型コロナの影響を受け、ものづくりに必要な、実際に作品を触りながらの対面での議論ができず、オンラインによる打合せは困難を極めた。それらを一つひとつクリアし試作を重ね、いずれも富山県の伝統工芸の手仕事の精緻な表現と美しさ、そして(株)桑山の最新テクノロジーが見事に融合した新商品がいよいよ完成した。

●伝統工芸の美技が映える珠玉のジュエリー


▲国際宝飾展の(株)桑山ブース(左)
▲(有)モメンタムファクトリー・Orii
(職人:井ノ口鈴)×(株)桑山(中央左)
▲しろがね屋裕翠(職人:髙田裕蒼)×
(株)桑山(中央右)
▲(有)武蔵川工房(職人:武蔵川剛嗣、裕実)×
(株)桑山(右)


▲井ノ口鈴さん(右)


▲髙田裕蒼さんの既存商品


▲武蔵川剛嗣さん(右)

お披露目は、令和3年1月13~16日の日本最大の国際ジュエリー展である「第32回国際宝飾展」<東京ビッグサイト青海展示棟、(株)桑山ブース>。ジュエリー界にこれまでなかった数々の作品に、来場者は興味津々、高い評価を得た。

 作品の一部を紹介しよう。(有)モメンタムファクトリー・Orii は、1950 年の創業以来、高岡銅器の着色を専門とし、2000 年には厚さ 1 ㎜以下の銅板・真鍮板(圧延板)への着色に成功したことで建築建材やクラフト品など、さまざまな分野での商品開発が可能になった。その中でも一際美しい青色は“Oriiブルー”と名付けられ、温かで深みのある色が印象的。今回は、井ノ口鈴さんが桑山の最先端技術で作るカットリングに着色。シャープなカットリングと伝統的な色の融合が新たな表情を見せるリングや、着色された銅や真鍮の色の美しさを色石のように活かしたネックレスやイヤリングなどを完成させた。

しろがね屋裕翠は、打ち出しから象嵌、彫金まで金属を自在に操り、大胆かつ繊細な加工を施す。磨き上げられた高い技術で高岡御車山(国の重要有形・無形民俗文化財、ユネスコ無形文化遺産)の錺金具の修理に携わっている。今回は、髙田裕蒼さんが錺金具に使われる伝統的な模様をモダンにアレンジしたファッションジュエリーや、しろがね屋裕翠の彫金の繊細さと(株)桑山のダイナミックさとを組み合わせたブレスレットやピアスなど、職人の繊細な加工技術をトレンドに落とし込んだジュエリーを作り上げた。

(有)武蔵川工房は明治43年に初代が創業してから110年余りの歴史を持ち、代々高岡漆器の青貝塗(螺鈿)を専門としてきた。青貝塗は薄さ 0.1 ㎜に削った貝に彩色を施し、そのさまざまな色が貝の淡い輝きを通して映りこむことで繊細ながらも華やかな美しさを表現する。今回は、伝統工芸士の武蔵川剛嗣さん、裕実さん夫婦が伝統的な青貝塗りの美しさを活かしながら、工芸品の枠を超えるデザインを求めて試行錯誤。ジュエリーという小さな世界に施された青貝塗の美しさは、今のトレンドにもマッチする新たな螺鈿・蒔絵ジュエリーとして可能性を感じさせる商品に仕上がった。伝統的な美しさとジュエリーとしての美しさ、その繊細かつ華やかな美しさを堪能できる。

県では、来たる令和3年2月9日(火)から14日(日)まで、日本橋とやま館において展示会<初日9日(火)に参加者を限定した「新商品発表・展示商談会」を予定>を開催予定。3月には富山県内商業施設において展示会を予定しており、この新商品を間近に見ることができる。県では、その後も県内外のさまざまな機会に展示会等を開催し、新商品の受注拡大や魅力の発信に取り組んでいく予定だ。

富山県経営支援課では、「このプロジェクトが大きく実を結び、本県の伝統工芸の魅力の向上につなげ、ノウハウや成果を県内の伝統工芸産地へ波及させていく。そして、将来を担う若手職人の皆さんの活躍を後押ししていきたい」と話している。

問合せ
●富山県商工労働部 経営支援課
TEL.076-444-3249
FAX.076-444-4402
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1300/

[とやまの伝統工芸]
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1300/kj00018425.html


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