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2021年 1月 20日 [ トピックス ]

No.984:茅採取の技術、ユネスコ無形文化遺産に登録

「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」がユネスコの無形文化遺産に登録されることが決まった。伝統技術は、富山県南砺市・五箇山の合掌造りなどの茅葺屋根の材料になるススキやヨシを育てて採取する「茅採取」、「建造物修理」、「左官(日本壁)」、「畳製作」など17技術。併せて、相倉合掌造り集落、菅沼合掌造り集落のライトアップの話題もクローズアップ!

●五箇山で息づく茅採取の技術


▲茅葺の三角屋根で豪雪に耐える合掌造り(左)
▲ライトアップされた相倉合掌造り集落(右)


▲合掌造りの屋根の葺き替え

 茅採取の技術保存団体として、一般社団法人日本茅葺き文化協会(茨城県つくば市)が登録された。同協会は2010年の設立以来、日本の茅葺き文化と技術の継承、振興を図る活動に取り組んできた。五箇山の世界遺産、相倉合掌造り集落の茅採取の技術の継承を担っている(公財)世界遺産相倉合掌造り集落保存財団、菅沼合掌造り集落の越中五箇山菅沼集落保存顕彰会の両団体は日本茅葺き文化協会に加盟している。

 合掌造りの屋根の葺き替えは15~20年程度で一度行われる。相倉合掌造り集落の茅の自給率はここ10年、ほぼ100%で推移。茅を育てる茅場は同保存財団、住民、地元森林組合が維持・管理している。2019年度、計4.7haの茅場で6,209束(1束周囲60㎝、直径25㎝ほどに束ねたもの)の茅を採取した。茅場は同集落から車で10分ほどの近距離の急斜面に広がる。集落は人が住む世界遺産であり、人が茅場近くに住んでいるからこそ、茅場の手入れが行き届くというわけだ。

 茅場の仕事は、春から秋へと続く。刈る、結う、運ぶ作業があり、作業量は多い。まず6~7月に藤を切りはらい、下草を刈り取り、茅を育てる。10月下旬に茅を刈り取り後、一束分を集めて、手返しして天日で干す。11月上旬、茅を結い、束を突いて揃え、担ぎ出して、茅保管庫に収納するといった流れだ。同保存財団では、ボランティアの受入れや、児童・生徒が茅刈りを体験するなどの普及活動にも取り組んでいる。

 相倉合掌造り集落保存財団事務局の中島仁司さんは、「茅採取の技術が世界に認められてうれしい。今後の活動の励みになります。自給率ほぼ100%は国内に現存する茅葺集落としては非常に稀な数字。茅採取は地道な作業で重労働です。登録が技術継承に力を尽くす個人・団体の助けになる施策・法整備につながってほしい。そして、次世代に技術を継承していきたい」と話す。

●雪深い五箇山のライトアップ、冬ならではの風景を

 日本有数の豪雪地帯、五箇山は、多い年で4~5mの積雪がある。今冬、記録的な積雪に見舞われ、茅葺屋根の雪下ろしは欠かせないが、純白の雪に覆われた合掌造り集落も情緒がある。特に夜のライトアップは必見だ。相倉合掌造り集落では、2月20日(土)・21日(日)日没~21:00、「雪原に浮かぶ日本の原風景」として、ライトアップが行われる。合掌造りなど24棟の茅葺家屋が建ち並ぶ集落に橙色の光が灯り、家屋が幻想的に浮かびあがる。

 9棟の合掌造りが点在する菅沼合掌造り集落では2月6日(土)・7日(日)に「四季の五箇山 雪あかり」、2月20日(土)、27日(土)、3月6日(土)日没~20:30には「春待ちライトアップ」が行われる。暗闇の中に降り積もる純白の雪と茅葺の大屋根、橙色に染まった障子窓を見ていると、時が止まったような錯覚に陥るほど。心静かに山里の風景を愉しみたい。

問合せ
●(公財)世界遺産相倉合掌造り集落保存財団
TEL.0763-66-2123
FAX.0763-66-2180
http://www.g-ainokura.com/

●五箇山総合案内所
TEL.0763-66-2468
FAX.0763-66-2469
https://gokayama-info.jp/gokayamainfo/


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