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2020年 8月 19日 [ イベント ]

No.966:ゆったりとした時間を…企画展「山中暦日」

富山県水墨美術館で企画展「山中暦日 ささやかな日常のきらめき」を開催中<2020年9月6日(日)まで>。同美術館の収蔵作品から、山紫水明、雪月風花など4つのテーマに分けて作品を展示する。金島桂華の≪楼閣柳蔭≫など初披露作品も鑑賞できる。

●自然の輝き、厳しさに心揺さぶられて


▲菱田春草≪四季山水≫明治29年


▲冨田渓仙≪三保の富士≫
制作年不詳(左)
▲山元春挙≪松二富士山≫
制作年不詳(中央)
▲金島桂華≪楼閣柳蔭≫大正13年(右)

 「山中暦日(さんちゅうれきじつ)」とは、人里から離れ山奥でのんびりと暮らすことを表す。山奥で暮らすと月日が経つのも忘れてしまうという意味だ。企画展開催には、さまざまな困難と向き合って暮らす現代、現実の不安やストレスを癒し、ゆったりとした時間を過ごしてほしいとの願いが込められている。企画展は3カ月ぶりとなる。

 約700点の収蔵作品の中から42点を選んで、「山紫水明」「雪月風花」「一切衆生」「晴耕雨読」の4つのテーマに分けて紹介する。自然の景観が澄み切って美しいことを表す「山紫水明」では、作家たちが偉大なる自然の輝きや厳しさに心を揺さぶられ、その姿を描き残してきたことが分かる。冨田渓仙の≪三保の富士≫(紙本墨画着彩・屏風二曲一隻)、山元春挙の≪松二富士山≫(紙本墨画・屏風六曲一双)は、富士山が印象的。≪三保の富士≫では、群青と緑青で着色された背の高い富士山が目に飛び込んでくる。屏風に描かれた≪松二富士山≫は松の間から顔をのぞかせる富士山の構図がユニークだ。

 金島桂華の≪楼閣柳蔭≫(絹本着彩・軸装)は蘇州・虎丘の雲岩寺塔と周辺の水辺を描いたとされ、俯瞰する広がりのある構図が特徴だ。

●遠近法と大気の表現…菱田春草

 「雪月風花」は四季を楽しみ、愛でる風流な生活のこと。作家はわずかずつ進む季節の歩みを捉えている。菱田春草の≪四季山水≫(紙本墨画淡彩・軸装)は地平線を意識した遠近感のある風景画で、春夏秋冬の風景を描いた4点が揃う。もやっとした春、澄み切った冬など、大気の表現を変えることで四季の情趣、季節の移ろいを捉えようと試みた初期の代表作だ。


▲横山白汀≪北風≫昭和26年


▲川合玉堂≪渓村雪霽図≫大正14年頃

 堅山南風の≪鳰沼(におぬま)≫(紙本墨画・軸装)は、2羽の鳰(カイツブリ)と浮き草、水中にゆらめく藻と、透明感と清涼感に満ちた作品。大井見太郎の≪晩秋模様蒔絵硯箱≫(蒔絵)は、古くから秋の野の模様として定着してきたウズラと秋草の萩を蒔絵で表現。ふたの裏側は月夜に羽を輝かせる鈴虫だ。

 「一切衆生」は、この世に生きる、すべてのものを示す。横山白汀の≪北風≫(漆・屏風三曲一隻)は、卵の殻を使って作られた柔らかい乳白色地の上に、銀線の縁取りでツキノワグマが表現されている。昭和20年代の作品とは思えないほど現代的にデザイン化された作品だ。

 「晴耕雨読」とは、世間のわずらわしさから離れて、心静かにのんびりとのどかに暮らすこと。作家たちは自然と共に生きる人々を描いている。川合玉堂の≪渓村雪霽図(けいそんせっせいず)≫紙本墨画淡彩・軸装)では、雪がやみ、集落から馬を引いてゆく人の姿が見える。雪は、白く塗り残して表現されている。

 富山県水墨美術館では、「外出自粛、ステイホームと、新型コロナウイルスの影響で気分も落ち込みがち。日本の自然や風土、風流に思いをはせ、作品と対話しながら心を癒してみませんか」と話している。

問合せ
●富山県水墨美術館
TEL.076-431-3719
FAX.076-431-3720
http://www.pref.toyama.jp/branches/3044/3044.htm

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