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2019年 11月 6日 [ トピックス ]

No.932:「富山デザインコンペティション2019」、受賞作品決定!

富山を代表するデザインイベント「富山デザインウエーブ」の中核となる「富山デザインコンペティション2019」。このたび準グランプリ2点、審査員特別賞1点が決定した。若手デザイナーの登竜門として全国から注目されるデザインコンペ。今後の商品化、プロジェクト化に期待が高まる。

●コトのデザインに応募対象を拡大

 デザインの振興に早くから着目し、デザイン性に優れた商品の共同開発や販路開拓の支援、デザイン人材の育成など、幅広い取組みを進めてきた富山県。「富山デザインコンペティション」は、1994年に全国初の「商品化」を前提としたデザインコンペとしてスタートし、これまでに多くのヒット商品を生み出してきた。今年4月現在で36点が商品化されている。


▲トレー「Pel(ぺル)」(左)
▲「富山の売薬式 防災プロジェクト」の
防災ボックス(中央)
▲製氷器「鋳物を学ぶ機会のデザイン」(右)

 26回目を迎えた今年から商品(モノのデザイン、量産可能なプロダクト製品)だけでなく、プロジェクトプラン(コトのデザイン、近い将来に実現可能なプロジェクトのプランニング)に応募対象を拡大した。全国から255点の応募があり、第一次審査を通過した10点の最終審査で、準グランプリに荒俣琢椰さん(東京都)のトレー「Pel(ぺル)」、三島大世さん(東京都)の「富山の売薬式 防災プロジェクト」、審査員特別賞に原田一穂さん(神奈川県)の製氷器「鋳物を学ぶ機会のデザイン」が選ばれた。グランプリは該当作品がなかった。

 コンペの2019年のテーマは、「編みなおす」。素材、技術、文化などを組み合わせる、融合する、再編集するなど、さまざまなものを“新しく編みなおす”ことによって、新たな価値を創造する商品やプロジェクトプランを募集した。

●編みなおした作品、アイデア光る

 各賞に輝いた作品を紹介しよう。荒俣さんの「Pel(ぺル)」は、網戸に使用される防虫ネットとラバースプレーを素材として掛け合わせたトレー。軟らかさと軽やかさ、強度を併せ持ち、光を不規則に透過させる。ネットのグリッド上にランダムに付着した塗膜により、ピクセルのような影が出現するのも特長だ。荒俣さんは、見慣れたものから新たな可能性を探り、感性を刺激するものづくりを目指している。

 三島さんの「富山の売薬式 防災プロジェクト」は富山の売薬の「行商」や「先用後利」を編みなおして、防災意識を広げるプロジェクト。防災ボックスには富山県産のスギを使用しており、普段はスツールとしても使える。行商人が定期的に訪問し、防災用品を交換することを想定している。これにより、保管場所も防災についても忘れずにいられることをねらう。

 原田さんの製氷器「鋳物を学ぶ機会のデザイン」は鋳型を模した製氷器を使い、流し込んだ水が型の形状に充填されていく様子を観察できるプロダクト。疑似体験を通して、高岡銅器の本物の鋳型に触れてみたくなる。小学校の理科教材などにも活用できそうだ。


▲商品化された「ARMADILLO」

 受賞作品は今後、県内企業とのマッチングを経て、商品化が検討される。なお、昨年グランプリを受賞し、No.880でも紹介した「ARMADILLO」<インテリアに馴染む美しいダンベル 作者:阿部憲嗣さん(工業デザイナー)>は精密鋳造を手掛ける有限会社中村製作所(高岡市)の協力を得て、ロストワックス精密鋳造技術によって商品化。10月に東京で開催されたイベント「DESIGNART2019」から展示販売が始まった。

 富山県総合デザインセンターでは、「このコンペティションにはこれまでに延べ約8,000人のデザイナーが参加し、企業とのマッチングを図っています。総合デザインセンターでは、県内のものづくり産業と多彩なスペシャリストが集う、クリエイティブ・デザイン・ハブを開設。イノベーション型ものづくり産業の創出を目指しており、今回のコンペでは、プロジェクトプランも応募対象にしました。今後もデザイナーや企業の皆さまとともにデザインで富山を元気にする様々な取り組みを行います」と話している。

問合せ
●富山県総合デザインセンター
TEL.0766-62-0510
FAX.0766-63-6830
http://www.toyamadesign.jp/

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