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2018年 10月 31日 [ トピックス ]

No.880:富山からデザインを発信!「富山デザインコンペティション2018」受賞作品が決定

若手デザイナーの登竜門として全国に知られる「富山デザインコンペティション2018」の受賞作品がこのほど決定した。25回目を迎えた今年のテーマは「素材と加工とデザイン―この先にあるプロダクト」。今後、商品化に向け、県内企業とのマッチングが予定されている。また、2018年11月15日(木)~27日(火)には、歴代受賞者の中から選抜した25名(組)による最新のプロダクトを紹介する「富山デザインコンペティション25周年特別展」が富山県美術館・TADギャラリーで開催される。

●富山の産業の新たなビジネスチャンス創造へ


▲とやまデザイン賞「ARMADILLO(アルマジロ)」(左)
▲準とやまデザイン賞「Colonia(コロニア)」(中央)
▲黒木靖夫特別賞「actex」(アクテックス)」(右)

 富山県では、デザインの振興に早くから着目し、富山県総合デザインセンターを中心に、県内企業のデザインを活用した商品の共同開発や販路開拓の支援、デザイン人材の育成など、幅広い取り組みを進めてきた。

 なかでも、“富山から世界に発信するデザインムーブメント”をキャッチフレーズに1990年から始まった「富山デザインウエーブ」(富山県、富山市、高岡市で構成するデザインウエーブ開催委員会が主催)は、「デザイン」「企業」「人」を結ぶ活動が評価されてグッドデザイン賞を受賞するなど、国内外で高い評価を得ている。その中核事業である「富山デザインコンペティション」は、富山県の産業を活かした新しいデザインの商品化を目的に、全国のデザイナーから作品を公募するコンペティション。これまでデザイナー、企業、総合デザインセンターが共同で賞作品の商品化に取り組み、生まれた商品は35点にのぼる。

 今年のコンペティションでは、さまざまな素材(紙、繊維、樹脂、ガラス、金属等)の新たな魅力や価値を創造し、人々にデザインで感動を生むような「素材と加工とデザイン―この先にあるプロダクト」をテーマに作品を募集した。審査評価基準は、独創性(斬新でデザイナーの個性が反映されたものであるか)、市場ニーズ(今の時代に適合し、市場が求めているものであるか)、美的価値(形として美しいものであるか)、商品化の可能性(製造方法が現実的なものであるか)の4点。


▲第2次審査でのプレゼンテーションの様子(左)
▲富山県民会館(1Fロビー)で開催された
「富山デザインコンペティション2018作品展」
(10月4日~9日)(右)

 全国から228点の応募があり、第1次審査を通過した12点が第2次審査へ。模型を使ったプレゼンテーションを行い、公開審査で、最高賞のとやまデザイン賞に阿部憲嗣さん(東京都)の「ARMADILLO(アルマジロ)」、準とやまデザイン賞に松下陽亮さん(東京都)の作品「Colonia(コロニア)」、黒木靖夫特別賞にyonanp(ヨナンぺ)(京都府)の「actex」(アクテックス)」が決定した。これらの作品は、今後、県内企業とのマッチングを経て、商品化が検討されるので、楽しみにしてほしい。

●従来からある素材にデザインの力で価値を加える

 各賞に輝いた作品を紹介しよう。東京を拠点に活動するインハウスデザイナー・阿部憲嗣さんの作品「ARMADILLO」は、ロストワックス鋳物で製作されたインテリアに馴染む美しいダンベル。掴む、腕に通す、足にかけるなどのウェイトトレーニングができる。また、起き上がり小法師のように自立する。鏡面仕上げとサンドブラスト加工を組み合わせることで、金属の二つの表情が楽しめる。使い込んでいくほどに素材の色合いが変化し、独特の味わいが出てくる。

 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科在学中の松下陽亮さんの作品「Colonia」は、イヤリングやアクセサリーなどの小物入れ、花立、眼鏡トレー、ソープトレーなどになる。古来より使われてきた松脂をメラニンスポンジに浸透させて形を生み出す、新しい製作プロセスによるプロダクトを提案。オリジナリティのある製品が生み出されることが難しくなっている時代に、昔からの素材と現代の素材を掛け合わせ、人の手でコントロールできる部分とできない部分によるディテールが個性として存在するデザインをめざしたという。

 2013年から活動を開始したデザインユニット・yonanpの作品「actex」は、機能性と装飾性を併せ持つ青竹踏み。素材、加工法、デザインの共通項となるテクスチャーに注目し、自宅のリビングルームから仕事場まで、幅広い場所で使うことができる。左右に分かれた本体は、マグネットでつなげることはもちろん、場所を取らない収納も可能。色の組み合わせにより、プレゼントするのも楽しくなりそうだ。

●富山県美術館・TADギャラリーで25周年特別展

 富山デザインコンペティションは、今年で25回という節目を迎えた。総合デザインセンターではこれを記念し、11月15日(木)~27日(火)、「富山デザインコンペティション25周年特別展」を富山県美術館・TADギャラリーで開催する。これまでの受賞者の中から、コンペから羽ばたきデザイン界で活躍する25名(組)を選抜し、最新のデザイン性あるプロダクトを中心に紹介する。

 総合デザインセンターでは、「富山デザインコンペティションは、全国で初めて“商品化”を支援するコンペとして25年前にスタートしました。人気商品としてロングセラーを続けているものも多くあります。このコンペティションは、これまで延べ約7,900人のデザイナーが参画しており、若手デザイナーの登竜門としても知られ、多くの受賞者から『コンペ入賞を夢実現の第一歩と頑張ってきた』という声が聞かれます。また、コンペに参加し、入賞をきっかけにデザイナーとして大きく飛躍、今や国内外で活躍する方々も多数いらっしゃいます。25周年特別展では、そんな方たちの最新作品、デザインを展示し、創造の軌跡を探ります。ぜひご鑑賞ください」と話している。

問合せ
●富山県総合デザインセンター
TEL.0766-62-0510
FAX.0766-63-6830
http://www.toyamadesign.jp/

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