トピックス

アーカイブ

2015年 10月 28日 [ トピックス ]

No.729:「ノーベル街道」から5人目の受賞者!ノーベル物理学賞に梶田隆章氏

 東京大学宇宙線研究所長・梶田隆章(かじた たかあき)氏が2015年のノーベル物理学賞を受賞することが決まった。県ゆかりの人物としては田中耕一氏(2002年:化学賞)以来13年ぶりの受賞に県内は喜びに沸いている。梶田氏を含む5人のノーベル賞受賞者にゆかりのある「ノーベル街道」や、沿線の名所を歩く「ぶり・ノーベル街道ウオークツアー2015」について紹介。秋空に誘われて、ノーベル賞にも思いを巡らせながらウオークを楽しもう。

●素粒子物理学を飛躍的に発展させる画期的な発見


▲ノーベル街道のシンボルモニュメント
「縄魂弥才」(左)
▲道標(中央)
▲ノーベル街道沿線を代表する
観光名所・神通峡(右)

 梶田隆章氏は、富山との県境に近い岐阜県飛騨市神岡町・神岡鉱山跡の地下約1,000mにあるニュートリノ観測装置「スーパーカミオカンデ」で、地球の大気で生じる「大気ニュートリノ」を観測。ニュートリノが別の種類のニュートリノに変身する「振動」という現象を発見し、98年の国際会議で「ニュートリノ振動の発見」として発表した。振動はニュートリノに質量がある証拠とされ、質量がゼロと考えられてきた従来の理論に修正を迫る歴史的な成果と評価された。梶田氏の発見は、宇宙の成り立ちや構造の解明につながる画期的な発見といえるのだ。

 ニュートリノは宇宙に存在する最も基本的な粒子の一つで、どのような物質でもすり抜けるため、観測が難しく、謎が多い。スーパーカミオカンデでは、高さ41m、直径39mの円筒形タンクに入れた約5万tの超純水のなかで、ニュートリノがごくまれに水にぶつかって発生する光を約11,000本(1本:直径50cm)の光電子増倍管でとらえる。

 梶田氏は1959年、埼玉県に生まれ、埼玉大学理学部卒業後、81年に東京大学大学院の小柴昌俊氏(2002年、ノーベル物理学賞受賞)の研究室に進み、ニュートリノを観測するカミオカンデ(岐阜県飛騨市神岡町)の実験に加わった。その後、カミオカンデの能力を高めた後継機、スーパーカミオカンデの建設に携わり、ここで研究するため、1995年に富山市大沢野地域に家族で移り住み、2年後に自宅を構えた。富山に住んで20年となる。富山の自然を愛し、立山の景観が好き。ブリやホタルイカ、シロエビといった富山湾の味覚や地酒もお気に入りのようだ。富山の子どもたちには、自然に親しみ、自然の不思議を感じてほしいと願っている。

●ノーベル街道とはなに?

 富山湾で獲れた寒ブリを富山から飛騨、そして信州へと運んだ歴史をもつ「ブリ街道」は、その一部が現在の国道41号線とほぼルートを同じくする。そして、国道41号線の富山から高山までの約90kmの沿線は、日本のノーベル賞受賞者のうち田中耕一氏(2002年:化学賞)、利根川進氏(1987年:医学・生理学賞)、小柴昌俊氏(2002年:物理学賞)、白川英樹氏(2000年:化学賞)の4人にゆかりがあることから、この道は「ノーベル街道」と呼ばれている。5人目となる梶田隆章氏のノーベル物理学賞受賞によって、この街道が、世界的な頭脳を育む道であることが再び広く認められたといっても過言ではないだろう。


▲ノーベル街道の案内パネル

 富山市の富山県民会館前には、ノーベル街道の案内パネルとステンレス製の道標が設置されている。街道の由来やこれまでの4人の受賞者(※梶田氏についての記載等は、現在作業中)をはじめ、沿線の地図や見どころを紹介。そばには、シンボルモニュメント「縄魂弥才(じょうこんやさい)」も建立されている。「縄魂」とは自然と共生し、循環の世界観のなかで生きていた縄文人の魂を表現し、「弥才」とは外国のすぐれた文化を理解し、移入し、自分の頭で考える弥生人の才能を意味している。作者は、本県出身で金工作家として活躍した故・大角勲(おおかどいさお)氏。ノーベル街道の案内パネルを参考に、沿線の旅を考えてみてはいかがだろう。

 富山県観光課では、「日本人受賞者24人のうち、5人が国道41号線の約90kmにゆかりがあります。ノーベル街道をもっと全国に発信していきたいですね。世界レベルの業績に思いを馳せながら、沿線の名所をめぐってみませんか」と話している。

●ぶり・ノーベル街道ウオークツアー2015へ

 祝賀ムードに包まれるなか、「ぶり・ノーベル街道ウオークツアー2015」が11月3日(火・祝)、富山市細入地域で開催される。主催は、富山県、富山市、富山商工会議所、北日本新聞社などでつくる実行委員会。年に3回の実施で、今回は6月の富山市中心市街地(富岩運河環水公園、松川など)、10月の岐阜県飛騨市神岡町(大津神社、神岡城など)に続く第三弾となる。

 コースは、割山森林公園「天湖森(てんこもり)」(富山市割山)→畠山重忠の墓→上行寺→観光橋→「天湖森」。距離は約6km、2時間ほどの行程。10:00までに「天湖森」に集合、10:10にスタートする。参加費は大人1,000円、小学生以下無料(保護者同伴で参加)。参加者全員にもれなく地元細入のお土産がプレゼントされるので、ぜひ一緒に歩いてみよう。


▲割山森林公園「天湖森」

 スタートとゴール地点の「天湖森」は、神通峡を見下ろす割山にある、芝生広場や土田池、水辺植物園、パークゴルフ場、コテージ、オートキャンプサイトなどが広がる水と緑にあふれた公園。ウオークツアーの参加者には、パークゴルフ場の利用券のプレゼントもある。また、ニジマス釣り体験(有料)もできるので挑戦してみてはいかが。

 同日はノルディックウォーク体験会も同時開催される。ノルディックウォークとはフィンランド発祥で、2本のポールを使ったウォーキング。ポールによって両足にかかる負担を軽減できるため、スポーツが苦手の人にもおすすめ。参加は先着80名。当日はポールを無料レンタルしてくれる。

 なお、「ぶり・ノーベル街道ウオークツアー2015」の事前申込はすでに終了しているが、当日現地での参加も受け付ける。問合せは北日本新聞社営業局企画事業部(TEL.076-445-3326 ※平日9:00~17:00)。

問い合わせ
「ノーベル街道」について
●富山県観光・地域振興局観光課
TEL.076-444-4116
FAX.076-444-4404
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1401/
http://www.info-toyama.com/

「ぶり・ノーベル街道ウオークツアー2015」について
●北日本新聞社営業局企画事業部
TEL.076-445-3326(※平日9:00~17:00)
FAX.076-445-3338
http://webun.jp/

コメント

その他のトピックス

ページの先頭へもどる↑