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2012年 9月 26日 [ トピックス ]

No.574-2:世界的名画をまちなかで―美術館「ギャルリ・ミレー」オープン

芸術の秋。ミレーなどバルビゾン派の絵画を中心に展示する美術館「ギャルリ・ミレー」が富山市中央通りに開館した話題や、富山県立近代美術館の企画展「デザインとしての椅子 アートとしての椅子」、県と富山大学芸術文化学部との連携事業「GEIBUNオープンエアミュージアムin環水公園」について紹介。富山でアートなひとときを!

▲「ギャルリ・ミレー」

●バルビゾン派の巨匠、ミレーの作品を収蔵・展示

 芸術の秋。ミレーなどバルビゾン派の絵画を中心に展示する美術館「ギャルリ・ミレー」が富山市中央通りに開館した話題や、富山県立近代美術館の企画展「デザインとしての椅子 アートとしての椅子」、県と富山大学芸術文化学部との連携事業「GEIBUNオープンエアミュージアムin環水公園」について紹介。富山でアートなひとときを!

 ギャルリ・ミレーは、中心市街地の賑わい創出と芸術文化の振興を図るため、街なかの再開発ビル「ルシーダタワー」に開設された。世界的な名画を街なかで気軽に鑑賞できることが大きな魅力だ。北陸銀行が作品と展示空間を提供し、富山県、富山市、中央通商店街振興組合、富山大学などによる運営委員会が運営を担当している。

 収蔵作品は、ミレーをはじめ、コロー、ドービニー、デュプレなどバルビゾン派の作品や写実主義の先駆者クールベの作品など53点。現在、メーンの展示室では、ミレーの大作「羊の毛を刈る女」や「鵞鳥番の少女」、「母と子」、クールベの「柳」、「岩山の風景、ジュラ」、コローの「森の中の水飲み場」など26点が、“ふるさとの風景”、“農民の生活”、“川のある風景”、“楽園の生活”、“動物のいる風景”、“森の中”、“風車のある風景”の7つのコーナーに分けられ展示されている。照明を抑えた、ほどよい広さの空間に身を置くと、名画と作者がそっとささやきかけてくるようだ。

 ミレー(1814~1875)はバルビゾン派を代表するフランスの画家。「種をまく人」、「落ち穂拾い」など農民を主題にした作品で知られる。バルビゾン派はパリ近郊、フォンテーヌブローの森の入り口にある小さな村、バルビゾンで真摯に創作活動を行った風景画家のグループで、村の豊かな自然や働く農夫の姿に魅せられ、盛んに絵筆をふるった。

 ギャルリ・ミレーでは、ミレーの作品14点を収蔵する。「羊の毛を刈る女」は、女性が羊をいたわるように手で押さえ、注意を払って毛を刈っている様子を描いた作品。弱きものに対する、ミレーの限りない愛情が感じられる。「鵞鳥番の少女」は、後から後から水辺に向かって走ってくる鵞鳥と一人の少女を描いている。鵞鳥の羽音や鳴き声など、画面から音が聞こえてきそうだ。「母と子」は子を胸に抱く母らを描いた小品。牧歌的で、橙を基調にしたあたたかい雰囲気が心に沁みる。

 ギャルリ・ミレーでは、「中心商店街に洗練された空間、都会的な雰囲気を伝える美術館。街なかでのデート、買い物とともに、気軽に美術鑑賞を。特に子どもたちに名画を鑑賞して感動してもらい、本物をみる目や豊かな感性を養ってほしい。企画展として、棟方志功や中川一政、宮本三郎ら北陸ゆかりの芸術家の作品も展示している」と話している。

●デザインとしての椅子 アートとしての椅子

 富山県立近代美術館では、企画展「デザインとしての椅子 アートとしての椅子」を開催中<11月4日(日)まで>。同館では、椅子を通して20世紀のデザインを概観することを目指し、1990年から国内外のデザイナー、建築家のデザインによる椅子の収集を行っている。本展では、椅子コレクションを通して20世紀デザインの歴史をたどると同時に、椅子を美術作品と共に紹介することで、アートとデザインの関連から20世紀デザインの展開に迫っている。

 会場は、「近代デザインの夜明け~工芸からデザインへ~」、「モダニズムのデザイン~合理性と機能の追求~」、「北欧の椅子~伝統と革新のデザイン~」、「アメリカの椅子~ミッド・センチュリーのデザイン~」、「ポスト・モダンのデザイン~イメージの引用とオブジェ化する椅子~」、「日本デザインの近代化~生活革命と和洋の融合~」の6つのテーマで構成されており、合わせて126脚が並ぶ。そのうち34脚は実際に座って感触を確かめることもできる。見て、触れて、座って、さまざまな角度から椅子のデザインが楽しめるという趣向だ。

 「モダニズムのデザイン」で展示されている“ワシリー・チェア”(マルセル・ブロイアー作)は、鋼管を使用したデザイン。光を反射するフレームと、座面と背もたれに用いられた皮革部分がシャープで軽やかな印象。画家ワシリー・カンディンスキーがこの椅子を賞賛したことから、彼の名前が冠されるようになった。会場では、背後にカンディンスキーの“コンポジション”などが飾られているので鑑賞したい。

 「ポスト・モダンのデザイン」の“椅子の椅子”(倉俣史朗)は、黒の椅子の上に黄色の椅子が座ったユニークなデザインで、配色も鮮烈だ。実用性を越えた、詩的で幻想的な家具や室内空間を数多く生み出した倉俣史朗の独特の感性に触れることができる。“モンロー・チェア”(磯崎 新)は、背もたれにマリリン・モンローの曲線美から着想を得たラインを採用。遊びに満ちた装飾を取り入れたデザインが目を引く。

 11月3日(土・祝)・4日(日)には、アートライフ楽しみ講座「ダンボールで椅子をつくろう!」が開催される。世界的な建築家、フランク・オーウェン・ゲーリーもダンボールを使って椅子をデザインしているが、そのアイデアを参考に、自分だけの椅子を作ってみよう。対象は高校生以上(定員20名)。事前に申込みが必要(県立近代美術館普及課TEL.076-421-7111)。

●パブリックアートの“野外ミュージアム”出現

 街なかのオアシス、富岩運河環水公園では、県と富山大学芸術文化学部とのコラボレーション企画「GEIBUNオープンエアミュージアムin環水公園」が10月14日(日)まで開かれている。教員・学生の芸術作品約68点が公園内に展示されており、緑豊かな公園はさながら屋根のない美術館といった趣。作品の展示によって、富山の新しい魅力の創出、賑わいづくりにつなげるのが目的だ。
 巣のような流木ドーム、御影石を彫って仕上げた頭部など、さまざまな形をした造形作品が芝生に点在していたり、木彫の鳥(幸せの鳥)や県産杉を使ったベンチが飾られていたりと、眺めているだけで心が癒される。このほか、天門橋展望塔の中では、透明なアクリルのショーケースに入れられた作品が展示されている。9月30日(日)、10月14日(日)13:30~17:00の「夢りんごプロジェクト」ではりんごの絵馬に夢を描き、公園の木に吊るしていく。それぞれの夢や想いを絵馬に託してみたい。10月7日(日)18:00~21:00の「メディアインスタレーション展」では、幻想的な光が人の心にどのように映るか楽しみだ。


▲企画展「デザインとしての椅子 アートとしての椅子」(富山県立近代美術館)(左)▲「GEIBUNオープンエアミュージアムin環水公園」(右)
問い合わせ
「ギャルリ・ミレー」について
●ギャルリ・ミレー
TEL&FAX.076-423-7220
http://www.gmillet.jp/ ※HPは10月1日より公開予定

「デザインとしての椅子 アートとしての椅子」について
●富山県立近代美術館
TEL.076-421-7111
FAX.076-422-5996
http://www.pref.toyama.jp/branches/3042/3042.htm

「GEIBUNオープンエアミュージアムin環水公園」について
●富山県観光・地域振興局観光課
TEL.076-444-4116
FAX.076-444-4404
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1401/

●富山大学研究振興部社会貢献グループ芸術文化系研究協力チーム
TEL.0766-25-9139
http://www.tad.u-toyama.ac.jp/news/news496.html"

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