特産品

アーカイブ

2012年 6月 6日 [ 特産品 ]

No.559-2:フルーティーな香りと味!「とやま産まれの酵母」から純米酒開発

富山県立大学と南砺市の酒造メーカー・成政酒造(株)は日本酒「尾仲(おなか) 大学の酒 富山県立大酵母」を共同開発した。同日本酒は、工学部生物工学科の尾仲宏康准教授(応用微生物学)が高岡産の六条大麦から発見した酵母「とやま産まれの酵母」で仕込んだ無濾過原酒の純米酒。アルコール度数は17~18度で、同酵母特有の華やかでフルーティーな香りが特徴だ。

▲尾仲 大学の酒 富山県立大酵母

●富山県立大学と酒蔵の産学連携の地酒

 富山県立大学と南砺市の酒造メーカー・成政酒造(株)は日本酒「尾仲 大学の酒 富山県立大酵母」を共同開発した。同日本酒は、工学部生物工学科の尾仲宏康准教授(応用微生物学)が高岡産の六条大麦から発見した酵母「とやま産まれの酵母」で仕込んだ無濾過原酒の純米酒。アルコール度数は17~18度で、同酵母特有の華やかでフルーティーな香りが特徴だ。

 尾仲准教授が酵母の管理や提供、清酒製造に関する企画立案を担当し、成政酒造(株)が醸造、評価確認を行った。「とやま産まれの酵母」、酒米は南砺市産の五百万石、水は医王山から流れ出た伏流水「槍の先の水」と、酒造りの素材はすべて富山産。大麦由来の酵母を使った日本酒造りは全国的にも珍しいという。

 「とやま産まれの酵母」は、県立大学と、立山黒部アルペンルートを運営する立山黒部貫光(株)が昨年、共同開発した地ビール「星の空」にも使われている。同酵母は、県商工連携ファンド事業を活用した地ビール研究の中から4カ月ほどかけて発見した。酵母は花や果実から発見されることが多く、県産のリンゴやイチジク、柿、ツバキの花などから約100種類の酵母菌を分離して遺伝子解析を行ったが、ビール醸造に適した発酵力が得られなかった。そこで高岡産の六条大麦を調べたところ、発見した酵母によって、素材の持ち味を引き立て、ビールの魅力の一つであるきめ細かな泡とまろやかな風味を生み出すことに成功した。

●甘みと酸味のバランスのよさ

 地ビール開発後、「とやま産まれの酵母」のほかの食品への利用も検討するなかで、尾仲准教授は日本酒もできないかと成政酒造に連携を呼びかけた。仕込みは今年2月から成政酒造の酒蔵で始まった。酒造りには、日本醸造協会から購入した酵母菌を使うのが一般的で、大麦由来の酵母は成政酒造では初めて。ビールと比べて、日本酒に適した高いアルコール度数まで発酵するか心配されたが、17~18度まで上がったことから商品化への道が開けた。

 誕生したオール富山産の日本酒は、無濾過原酒の搾りたての美味しさが堪能できる。酵母特有の臭みが少なく、フルーティーな味。雑味が少なく、「とやま産まれの酵母」が素材の味や香りを引き立てている。甘みと酸味のバランスがよく、口に含むと華やかな味がふわりと広がる。味のキレもよく、ワインのような口当たりも印象的だ。今回は試作としての醸造のため、500本限定販売。価格は、720ml入りで1,500円。お問い合わせは、成政酒造(株)<TEL.0763-52-0204>へ。

 なお、尾仲准教授は、平成22年度、富山県ひとづくり財団の第27回とやま賞(発明発見部門)を受賞している。この賞は、富山県の置県百年を記念して昭和59年に創設されたもので、学術研究、発明発見、芸術文化、スポーツの分野において顕著な業績を挙げ、将来の活躍が期待される県出身者や県内在住者に贈呈されるものだ。

 尾仲准教授は、「県立大学と成政酒造の産学連携の地酒。酵母、酒米、水と、素材もすべて富山生まれ。一献味わうごとに富山の良さが感じられる。酵母を別の商品に生かせないか、今後も研究を続けていきたい」と話している。

▲とやま産まれの酵母


問い合わせ
●富山県立大学事務局教務課
TEL.0766-56-7500
FAX.0766-56-6182
http://www.pu-toyama.ac.jp/

コメント

その他の特産品

ページの先頭へもどる↑