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2012年 4月 11日 [ 特産品 ]

No.552-1:富山湾の春の味覚・ホタルイカに脂肪肝改善効果

漆黒の海に青白い光を浮かび上がらせるホタルイカ。“富山湾の神秘”とも呼ばれるホタルイカに脂肪肝の改善効果があることを、富山短期大学食物栄養学科の竹内弘幸准教授らの研究グループが動物実験で初めて確認、実証した。有効成分の特定など、今後の研究に期待が集まっている。

▲竹内弘幸准教授

●血中コレステロール濃度も減少

 漆黒の海に青白い光を浮かび上がらせるホタルイカ。“富山湾の神秘”とも呼ばれるホタルイカに脂肪肝の改善効果があることを、富山短期大学食物栄養学科の竹内弘幸准教授らの研究グループが動物実験で初めて確認、実証した。スルメイカには血液中の脂質を下げる効果のあるタウリンが含まれているが、富山特産のホタルイカの健康機能についてはこれまでほとんど研究が行われていなかったという。ホタルイカが肝臓の脂質低下に作用することを明らかにしたのは初めて。

 研究は、昨年4月から香川大学農学部、富山県農林水産総合技術センター食品研究所との共同研究でスタートした。実験では、生後4週間のラット21匹を7匹ずつ3つのグループに分け、凍結乾燥させたホタルイカの粉末を5%混ぜた飼料、スルメイカの粉末を5%混ぜた飼料、通常の飼料をそれぞれのグループに2週間与えた後、6時間絶食させてから血液と肝臓を調べた。その結果、ホタルイカを与えたラットは、通常の飼料を与えた場合に比べ、肝臓の中性脂肪量が平均で3割減少した。スルメイカの場合は1割減にとどまった。血中コレステロール濃度も、ホタルイカでは2割減り、スルメイカでは1割減となった。さらに、最新の遺伝子解析技術を用い、ラットの肝臓の全遺伝子4万種以上を解析したところ、ホタルイカの摂取により脂肪合成に関係する遺伝子の働きが抑制されることも明らかになった。

 脂肪肝とは、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足などによって、中性脂肪やコレステロールが溜まった肝臓のことで、動脈硬化などさまざまな生活習慣病を引き起こす恐れがあるとされる。研究成果は、5月18日(金)~20日(日)に東北大学で開かれる日本栄養・食糧学会大会で発表される。

 富山短期大学の竹内弘幸准教授は「ホタルイカの摂取が脂肪肝の改善につながった。ホタルイカにもタウリンが含まれているが、量的に少ないので、どういった成分が関係しているかはわからない。有効成分の特定が今後の研究課題。また、将来的に人への効果も実証したい。そのためには研究費の支援も受けたい。富山特産のホタルイカは、見て楽しく、味わってもおいしい。人の脂肪肝の治療などにつながれば、その魅力は一層高まる。大きなポテンシャルを持った食材といえる」と話している。

●ホタルイカの神秘に触れる富山の旅へ

 ホタルイカは体長4~6cmの小型のイカ。春の産卵期を富山湾沿岸で迎えたホタルイカは、日中は深い海に生息しているが、夜になると浮上し岸近くに寄り、夜明けまでに産卵を終えて沖合の深い海へ戻る行動を繰り返すとされている。体(胴、頭、腕)に1,000個余りの発光器を持ち、幻想的な光を放つ。定置網でのホタルイカ漁を観光船から見学できるのが、「滑川ほたるいか海上観光」<5月6日(日)まで>。網の引き上げ時に、ホタルイカが網に触れることで刺激を受けて発光する様子を楽しめる。なお、今シーズンの海上観光は現在、満席の日が多いが、キャンセルが出る場合もあるので、滑川市観光協会のホームページで確認したい。

 富山湾沿いの砂浜では、発光の様子を間近で見られることがある。富山湾特有の現象として、波にさらわれたホタルイカが砂浜に打ち上げられるもので、「ホタルイカの身投げ」と呼ばれている。3月~5月、海が穏やかで月明かりのない新月前後の深夜に起きやすいとされ、そんな日には懐中電灯や網、バケツを持った人が砂浜に大勢集まる。ただし、ホタルイカに確実に出会える日、富山湾沿いのどこの砂浜に打ち上げられるかはわからない。波打ち際に青白い光が続くファンタジックなシーンを観賞できる幸運にめぐり会いたいものだ。

▲砂浜に打ち上げられたホタルイカの発光の様子


問い合わせ
「ホタルイカに脂肪肝改善効果」について
●富山短期大学食物栄養学科
TEL.076-436-5146(代表)
FAX.076-436-0133
http://www.toyama-c.ac.jp/

「滑川ほたるいか海上観光」について
●滑川市観光協会(ほたるいか海上観光部)
TEL.076-475-0100(海上観光専用ダイヤル)
http://www.namerikawashikankou.com/hotaruika/

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