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1999年 4月 8日 [ イベント ]

No.038-1:湊町・岩瀬の心意気をしめす、勇壮な祭り


■豊漁や商売繁盛を祈願する祭り
 富山市の北部、神通川(じんづうがわ)の河口に位置する湊町・岩瀬(いわせ)。江戸時代から明治時代にかけて北前船の寄港地として賑わったこの町では、毎年5月17日・18日、諏訪神社春の例大祭に「岩瀬曳山車(ひきやま)祭」が行われる。山車(やま)が激しくぶつかり合うことから、別名“ケンカ祭り” ともいわれ、浜っ子たちの血を騒がせる。
 曳かれる山車は14基。車輪やそり台、梶棒などで構成した地山車の上に、高さ4メートルほどのたてもんがそびえる。たてもんは毎年作り直されるもので、鯛や鶴など縁起や時事にちなんだ判じ絵を飾る。夜には灯が入り、美しいあんどんになる。

■祭りの華、山車の曳き合い
 17日と18日の日中には、大人と子供が一緒になって全町で山車を曳きまわす。「ヨーホイトコナー、ヤッサヤッサ……」と木やりを歌いながら、山車が曳き出される。小学生や園児も参加してロープを曳くため、ゆっくりとした巡行だが、街角では勢いよく曲がる姿が印象的だ。
 夜に入ると、曳き手は大人だけとなり、山車の動きも勇壮になる。町は次第に熱気を帯びはじめ、祭りの華ともいえる「曳き合い」に突入。午後10時ごろから深夜0時すぎまで、双方の山車を変えながら一対一の曳き合いが4〜5番ほど行われる(17日/諏訪神社前の県道、18日/忠霊塔前の道路)。勝敗は、向かい合った山車を衝突させ、進行方向に伸ばした引き綱(長さ40メートル×2本)を両者が曳き合い、後退した方(山車)が負けというものだ。
「ひかんか、ひかんか」の観客の掛け声のもと、重さ5トンもある山車が大きなあんどんを揺らしながら激突するさまは迫力満点。山車の梶棒や台木、心柱が折れたり、引き綱が切れたりするなど、その衝撃はすさまじく、ときには曳き手にケガ人が出ることもある。岩瀬に生きる男たちの曳山祭にかける熱き思いが、山車の激突の瞬間に見る者にも強烈に伝わってくるようだ。

■運河の川面にきらめく、たてもんの灯
 勇壮な曳き合いは迫力に満ちているが、祭りでは静的な面も観賞したい。17日の午前10時から、神の御霊代を神輿に移して町内を巡る「神輿(みこし)の渡御(とぎょ)」が行われる。夜、金刀比羅神社から諏訪神社への還御では、雅楽の演奏のなか、神輿や高張提灯、山車の長い行列が続き、情緒ある風景を見せる。また、高張提灯やたてもんが岩瀬運河の川面に明かりを映し、ひときわの風情を漂わせる。海風を浴びて、湊町のこんなワンシーンにも心を遊ばせてみたいものだ。

問い合わせ
●岩瀬曳山車祭実行委員会(岩瀬地区センター内)
TEL 0764-37-9715

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