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1998年 4月 10日 [ トピックス ]

No.019-1:昭和期の土木構造物では全国で初めて重文指定!


■水閘施設「中島閘門」の概要
 富山市の富岩運河は、昭和5年に着工して同9年に竣工。富山港からJR富山駅北の西宮町までを結ぶ全長5.1km、幅42〜50mと、全国でも有数の規模を誇る。「中島閘門」(なかじまこうもん)は閘門、放水路、道路用けた橋、操作室、量水計などの諸施設で構成されている。水閘(すいこう)施設とは、水位を調整して船を通すもの。長さ60m、幅9mで、河口から3kmの中島地区に建設されている。2.5mある水位差を上流と下流の扉で仕切り、200t級の船を通す、全国でも珍しいパナマ運河方式の閘門を採用している。

■重文指定について

* 都市計画史上、貴重
 日本の都市計画史上の貴重な遺産として、文化庁から昭和期の土木構造物としては全国で初めて、昭和期の構造物としては全国で2件目の重要文化財の指定を受けた。昭和初期の高度な建築技術を示すものであることと、動態的な保存状態が評価された。
* 高度な土木建築技術
 閘門本体をコンクリート造りにし、底板部を鉄筋コンクリートで補強して耐震性を高めている。また、通水口のまわりや水圧のかかる扉付け根部には、強靭で磨耗に強い自然石が使われている。この3つの建築材を使い分けた建築技術は、日本の昭和初期の土木技術の高さ示す貴重な遺産である。
* 利用しながら保存
 可動状態で保存されている水閘施設は全国的にも珍しく、歴史的価値が高い。また、老朽化が進んだことにより、「中島閘門」は、平成8・9年の改修事業で、建設当時の姿に復元された。郷土の遺産を利用しながら保存に努めてきた富山県の熱意が、高く評価された。

■今後の展開
 富山県の近代化に大きな役割を果たした富岩運河は、今新たな観光資源として、また市民の憩いの場として、環境整備が進められている。その中で「中島閘門」を中心としたエリアは、遊歩道や運河公園、運河歴史館などの建設が予定されている。また、重要文化財の指定を受けたことにより、富山県土木部港湾課では、まちづくりに利用するための具体的な方法を検討する協議会を、平成11年度に富山市と共同で発足させることにしている。

●富山県土木部港湾課
〒930-8501 富山市新総曲輪1番7号
TEL 0764-31-4111

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