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2021年 2月 10日 [ トピックス ]

No.987:富山のガラスの魅力に触れるひとときを

富山ガラス工房(富山市古沢)のショップがリニューアルし、記念企画展「富山曼陀羅彩展」を開催中。越翡翠硝子、越碧硝子、越琥珀硝子の神秘的な色合いの花器、鉢などがずらりと並ぶ。人気を集める吹きガラス体験にも注目だ。

●富山ガラス工房、新たな装いに


▲富山ガラス工房のイベントゾーン。
越翡翠硝子などを素材にした作品を展示

 “ガラスの街とやま”をサポートする存在といえるガラス造形作家の活動拠点となっている富山ガラス工房。ショップのリニューアルは1994年の開館後、初めてで、東証アローズを手掛けたインテリアデザイナーの近藤康夫さんがデザインを担当した。企画展や個展などの展示に使用できるイベントゾーン、酒器や皿などテーマ性をもったゾーン、グレーを基調にした商品棚ゾーンの3つのゾーンに大きく分かれている。フロアやテーブルには木を採用し、温かみのある雰囲気を醸し出している。

 イベントゾーンで開催中の記念企画展「富山曼陀羅彩展」<3月31日(水)まで>では、越翡翠硝子(こしのひすいがらす)、越碧硝子(こしのあおがらす)、越琥珀硝子(こしのこはくがらす)を素材にした神秘的な色合いの花器、鉢、酒器など約80点がずらりと並ぶ。

「洋食×ガラス」、「和食×ガラス」、「中華×ガラス」、「和菓子×ガラス」、「衣×ガラス」「花×ガラス」「照明×ガラス」と、×(かける)をキーワードに用い、衣食住のテーマで、各ジャンルのプロフェッショナルがガラスの使い方の可能性を探っている。テーブルウェアなど実際の使い方をイメージしやすい展示でわかりやすい。

●富山で生まれた色で花器やグラス、ブローチ


▲温かみのある空間に
ガラス作家の作品が並ぶ(左)
▲透明感や清涼感がガラスの魅力(右)

 越翡翠硝子、越碧硝子、越琥珀硝子の3色は同工房が開発したオリジナルの色。翡翠は、県東部の朝日町などで採掘されてきた宝石だが、宝石になる部分以外は廃棄されてきた。1990年代末、ケイ素が主成分である翡翠と、ガラスの調合実験を始め、2001年、緑色翡翠色をガラスで表現し、同工房では、「越翡翠硝子」と名付けた。2018年には、紫苑色硝子と青磁色硝子の調合を試み、翡翠3色が揃った。

 越碧硝子は、富山の気候、風土、文化に合った青緑色のガラス。2007年、富山大学理学部で実験後の金属化合物「遷移金属」を活用することから始まった。

 越琥珀硝子は、越の国の大地に輝く稲穂の波色をイメージした黄金色。正倉院の宝物、白瑠璃椀、白瑠璃瓶を思わせる。溶解スラグ(可燃ごみを焼却した灰を1,200度以上の高温で溶解してできる人工砂)を活用した淡い茶色ガラスで特許承認を得た後、試行錯誤を繰り返し、2020年に作業性のよい琥珀色ガラスが完成した。

県内でガラス制作に携わる作家は120人ほど。若手作家に工房や炉などを備えた設備を貸し出すことで定住化につながっている。創作活動を支える環境は充実し、ガラスアートの拠点として富山は世界トップレベルだ。また、来館者向けのガラス体験教室なども行っており、毎年12,000人ほどが吹きガラスなどを体験し、ガラスの魅力に触れている。

 富山ガラス工房の野田雄一館長は、「富山ガラス工房は、共同工房、創作工房、体験工房、ショップ、ギャラリー機能を備えたガラス文化の発信拠点。ブランド力を高めるために新素材の開発を進めてきました。今後、琥珀色ガラスに、2億2,900万年前のジルコン鉱物粒子を含んだ宇奈月花崗岩を用いる計画もあります。富山で生まれた色をお愉しみください」と話している。

問合せ
●富山ガラス工房
TEL.076-436-2600
FAX.076-436-5735
https://toyama-garasukobo.jp/


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