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1999年 4月 1日 [ トピックス ]

No.037-1:富山の食材シリーズ vol.4 食べて、観て楽しむ富山湾のホタルイカ


■富山湾の春の風物詩、ホタルイカ漁
 富山湾に春の訪れを告げる、ホタルイカ。普段は水深200〜600メートルの深海に生息するが、4〜5月の産卵期になると、夜から早朝にかけて浮上し、群をなして沿岸部に押し寄せる。獲れたてのホタルイカを刺身で、また湯にさっと通して酢みそでいただくと、何ともいえぬ甘みが口いっぱいに広がる。塩辛や甘辛く煮付けた甘露煮は、富山の辛口の地酒とも相性がいい。タンパク質とビタミンAが豊富で、タウリンやアミノ酸なども含有しているため、スタミナ面での効果も期待できるようだ。
 定置網漁の中心となる滑川市。ここに店を構える料亭・料理旅館「海老源」では、地の利を生かしたキトキトのホタルイカ料理が堪能できる。


■赤ワタのうまみと甘みが冴える
【刺身】
 新鮮なホタルイカならではの持ち味を生かした逸品。目と内臓、軟骨を取り除いたホタルイカが器に盛られる。生でいただくと、独特の歯ざわりと、つるりとすべる感触がおもしろい。好みだが、ワサビよりもショウガ醤油を添えたほうがよりおいしくなる。特に足の刺身は「竜宮そうめん」という粋な名前がつけられている。
【ポンポン揚げ】
 串に刺したホタルイカに小麦粉・パン粉をまぶし、熱した油でその場でカラッと揚げ、抹茶を付けていただく。適度な塩味とカキフライにも似た柔らかな食感がたまらないと、食通に人気が高い。ホタルイカのほか、ナスやチーズ、しいたけ、アスパラを串に刺し、一緒に揚げる。
【塩辛】
 ホタルイカの一匹一匹から丁寧に取り出した赤ワタ(肝臓)をすり鉢でつぶし、頭や胴と一緒に和えてねかせたもの。他のイカの塩辛と比べて、生臭みの少ないのが特徴で、あたたかいご飯の上にのせていただくと、食が一段とすすむ。また酒の肴としても喜ばれる。
【昆布じめ 】
 ホタルイカの頭と胴を離し、内臓と目を取り除き、昆布に挟んでしめたもの。ホタルイカと昆布、針生姜のうまみがほどよく調和し、生臭みのない繊細な味わいが楽しめる。
【釜あげ 】
 身が透きとおるほどの新鮮なホタルイカを、昆布と塩を入れた熱湯でさっと茹であげると、鮮やかな桜色に変身する。これをウド、ミョウガ、ワカメ、ワケギと一緒に酢みそでいただく。口にした瞬間に、温かくて張りのある身の感触を堪能できる。また、赤わた(肝臓)のねっとりとした独特の風味もいける。
 これらのホタルイカ料理は5,000円〜6,000円のコース料理の一部として、3月から6月末まで、賞味できる。

■体表面に多数の発光器を持つ
 ホタルイカは、ホタルイカモドキ科に属する体長4〜7センチ、重さ約10グラムの小型のイカ。日本海では新潟県沖から兵庫、島根、鳥取県沖まで、太平洋では駿河湾などに広く分布する。しかし、大群をなして岸近くまでやってくるのは富山湾だけで、これは海底地形と流れ込む冷たい川水などの影響であるといわれる。波打ち際に大量に打ち上げられることがあり、地元では「ホタルイカの身投げ」と呼ぶ。富山市水橋の常願寺川河口から魚津市までの約15キロ、沖合 700メートルまでの海面は、「ホタルイカ群遊海面」として国の特別天然記念物に指定されている。

■海に浮かぶイルミネーション
 その名のとおり、体が青白く光る。生態については不明な点がまだまだ多いが、一対の腕の先端に大型の発光器がそれぞれ3つあり、刺激を受けると強く発光するので、外敵から身を守るのに役立つとされる。このほか、目や頭部を中心とした皮膚に発光器を持ち、その数は800〜1,000個にものぼる。
 ホタルイカの幻想的な発光シーンを満喫できるのが、ホタルイカ海上観光(4月17日(土)〜5月9日(日))だ。早朝、滑川漁港沖合約1キロの定置網まで観光船で出掛け、網にかかって青白い光を発するホタルイカを観賞するもので、大群が入り乱れて発光すると、海面が暗闇に浮かび上がるほど。あまりの美しさに誰もが驚嘆の声を上げずにはいられないだろう。また、昨春オープンした「ほたるいかミュージアム」でも、5月31日(月)まで、発光の様子を間近に見ることができる。

問い合わせ
《ホタルイカ料理について》
●料亭・料理旅館 海老源
〒936-0053 富山県滑川市上小泉2155
TEL 0764-75-5656

《ホタルイカについて》
●富山県水産試験場
〒936-0011 滑川市高塚364
TEL 0764-75-0036(代)

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