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2004年 9月 1日 [ トピックス ]
No.159-1:富山県工業技術センター 国内初、電気炉で電子回路を自動的にハンダ付けできる導電塗料を開発
●電子回路の配線工程の効率化へ
富山県工業技術センター(高岡市)とマクセル北陸精器(八尾町)は共同で、携帯電話やパソコンなどの電子回路の基板に部品を搭載する際、工場の電気炉で自動的にハンダ付けできる低温硬化型の導電塗料を、国内で初めて開発した。
導電塗料とは、銀粉末などの金属粉末と樹脂などを混合させてつくるもので、液(ペースト)状の時は導電性はないが、乾燥もしくは焼き付けて硬化させると電気を通すようになる塗料のこと。電子回路の平面的な配線などに、リード線に代わって使用される。
電子回路の基板に配線を印刷する際、これまでの導電塗料では基板に部品を搭載してハンダ付けするのが困難だったため、代わりに800℃前後の高温で焼成する銀系や金系のペーストなどを使用したり、基板上に貼り付けられている銅箔などの金属箔を薬剤で加工して利用したりしてきた。このため、電気回路の表面に実装できる低温硬化型の導電塗料の開発が望まれていた。
このたび開発された導電塗料は、まさにこのニーズを実現したもの。部品をハンダ付けする部分に塗料を印刷塗布したあと、コンデンサーや抵抗などのチップ部品を装着し、電気炉内で加熱、溶解させて自動的にハンダ付けする(リフローハンダ付け)ことができるため、電子回路の配線工程が効率化できるほか、環境に配慮した作業や生産コストの抑制にもつながるものと期待されている。
●化学薬品を使わずに基板両面に部品をハンダ付け
この新しく開発された導電塗料は、高耐熱性のエキポシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂にオレイン酸などの不飽和脂肪酸、ニッケル系粉末及び銀粉末を配合したもの。フェノール系樹脂などを配合したことで耐熱性も高められている。また、低温硬化型塗料のため、樹脂基板においてもエッチング液などの化学薬品を使わずに基板両面に部品をハンダ付けできる。
県工業技術センターとマクセル北陸精器は、7月中旬に特許を出願。マクセル北陸精器では実用化と量産化に向けた研究を行っており、来春を目標にサンプル出荷を計画している。
谷野克巳富山県理事・工業技術センター次長(工学博士)は「20年越しの研究でようやくここまできた。2年前に開発した手ハンダ付けできるニッケル系粉末を用いた導電塗料を改良し、今回ニッケル系に銀粉末を加えて成果を出すことができた。生産現場でのメリットは大きく、大きな需要が見込めるだろう」と話している。
問い合わせ
●富山県工業技術センター
TEL.0766-21-2121
FAX.0766-21-2402
http://www.itc.pref.toyama.jp/