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2015年 11月 18日 [ トピックス ]

No.732:「とやま未来創生戦略」策定、魅力と活力ある持続可能な“元気とやま”へ

 県は、人口減少を克服し、富山の自然や文化、産業などを活かした持続可能で活力ある未来創造を目的とした富山県版総合戦略「とやま未来創生戦略」を策定した。人口減少が進む中、2060年に総人口80.6万人を目指し、少子化対策や産業の振興、労働生産性の向上、地域の基盤強化などさまざまな施策に取り組み、今年3月に開業した北陸新幹線と地方創生の2つのフォローの風を最大限に活かし、「とやま新時代」にふさわしい未来創生を目指す。

●2060年に80.6万人とする人口目標


▲県民希望出生率1.9を数値目標に

 「とやま未来創生戦略」は、2014月11月に制定された「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、国が全国の自治体に策定を求めていた地方版総合戦略として位置付けられる。人口の将来展望を提示した「富山県人口ビジョン」とともに10月30日に策定し、公表した。同戦略では、地方創生を掲げる国の総合戦略を勘案しながら、今後5年間(2015~2019年度)に取り組むべき施策を盛り込んでいる。

 県内人口は、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、出生率1.45(2014年)や転出超過などがこのまま続けば、2060年には現在より42万人少ない65万人になるとされる。県では、合計特殊出生率を2030年までに県民希望出生率である1.9へ引き上げ、2040年以降は人口置換水準(将来的に人口が減少しない水準)2.07を維持。また、東京圏等への転出超過が目立つ、若者世代(15~34歳)の社会移動を2020年までに均衡させることで、2040年に91.5万人、2060年に80.6万人の人口を目指す。


▲富山県人口ビジョン

 「富山県人口ビジョン」では、県内の全市町村ごとに1平方km単位で2010年と2050年の人口分布図を明示した。また、より実効性のある戦略とするために、県全体と県内3地域別の地域経済構造を分析したことも特徴だ。

●富山県の魅力、さらにブラッシュアップへ

 富山県には、勤勉で進取の気性に富む県民性、豊かで美しい自然環境、良質な水と新鮮でおいしい食材、長年にわたって受け継がれてきた歴史・文化、全国トップクラスの生活環境や教育環境など、さまざまな魅力がある。総合戦略では、これらの富山の良さや強みを最大限に発揮し、さらなる飛躍・発展を目指すことを策定のポイントとして挙げている。

 また、赤ちゃんから高齢者まで、障害の有無にかかわらず、誰もが一緒に過ごしながらケアを受けられる富山型デイサービス、全国初の県下全域でのレジ袋無料配布廃止、とやま起業未来塾等による戦略的人材育成など全国モデルとなってきた取組みや、最先端ものづくり産業クラスターの形成、「世界で最も美しい湾クラブ」への加盟が認められた富山湾のブランドの活用など、富山ならではの先駆的事業をさらに拡充するとしている。

●4つの基本目標、10本の柱、182の重要業績評価指標(KPI)設定

 総合戦略の基本目標は、1:「結婚・出産・子育ての願いが叶う環境整備」、2:「産業の振興、雇用の創出、県外からの移住促進」、3:「女性・高齢者など多様な人材の確保と労働生産性の向上」、4:「地域の基盤強化・魅力向上」の4つで、各基本目標の下に産業・地域経済の活性化や、女性が輝いて働ける環境づくり、交通ネットワーク整備と活力あるまちづくりなどの10本の柱からなる。さらに、結婚を希望する男女の出会いの場の提供や最先端ものづくり産業の育成、女性の活躍促進・女性人材育成の推進、安心で質の高い医療サービス提供体制の整備・充実など130の施策を盛り込んだ。施策ごとの進捗状況を検証するため、182の重要業績評価指標(KPI)を設定している。

 具体的な施策と数値目標を見てみよう。基本目標1では県民希望出生率1.9を数値目標に掲げる。結婚を希望する男女に出会いの場を提供する県の「とやまマリッジサポートセンター」を通じた結婚支援の取組みなどで、平均初婚年齢を夫31.0歳、妻29.2歳(2014年)から1歳程度引下げ。多様な保育・子育て支援サービスの充実により、病児・病後児保育実施箇所数を82カ所(2014)から130カ所への増加。仕事と子育ての両立支援に向けた職場環境の整備促進などで、一般事業主行動計画を策定し国に届け出た企業数を1,502社(2014)から2,150社への増加などを目指す。

 基本目標2では、若者・女性の転入増、転出減を数値目標に掲げる。「薬都とやま」の産業集積を活かしたライフイノベーションの推進により、医薬品生産金額を6,089億円(2013)から9,000億円まで拡大。航空機産業やロボット産業、次世代自動車など最先端ものづくり産業の育成により、従業員1人あたりの付加価値額(製造業)を985万円(2013)から1,100万円へ。全国初の医薬品工学科新設など県立大学の教育研究体制の充実と地元定着の環境整備により、県立大学卒業生の県内企業就職率を42%(2014年度)から55%以上に引き上げる。「くらしたい国、富山」の魅力発信・相談体制の充実により、県・市町村の相談窓口などを通した移住者数を411人(2014)から700人へ。移住希望先ランキングを9位から5位以内へとしている。

 基本目標3では、1人あたりの県民所得の維持・向上を目指す。企業等における女性の活躍促進や女性人材育成の推進により、研究者・技術者における女性の割合を11.8%(2010)から14.1%へ引き上げる。アセアン地域等からの外国人留学生の受入れ促進により、アセアン地域からの年間留学生受入数を19人(2013)から24人へ。チューリップ球根栽培用ロボット開発など、ものづくり・ICT技術等を活用した生産性の高い農業展開により、農業産出額の643億円(2013)から698億円への引上げを掲げている。

 基本目標4では、健康寿命の延伸と将来も富山県に住みたいと考える高校生の割合の増加を目指す。地域医療を担う人材の確保・育成により、人口10万人あたりの救急科専門医数を1.9人(2012)から3.0人へ増加。富山型デイサービスなど地域ぐるみで支え合う仕組みづくりにより、富山型デイサービス施設設置件数を111カ所(2014)から176カ所へ。世界に誇ることのできる質の高い文化の創造・発信により、芸術文化活動に参加する外国人アーティストを約400人(2014)から約500人へ引き上げる。

 また、地方版総合戦略は、県内すべての市町村でも10月末までに策定されている。10月末までに全市町村が戦略を策定したのは、全国でも富山県を含め2県だけであり、いち早い地方創生・人口減少対策への取組みが期待でき、評価したい。

 「とやま未来創生戦略」と「富山県人口ビジョン」はHP(http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1400/kj00015864.html)で見ることができる。

 富山県地方創生推進室では、「このままでは人口減少がさらに進み、2060年には現在の人口の約6割になってしまいます。今が踏みとどまる最後のチャンスだと言えます。県民の知恵とパワーを結集し、新幹線開業と地方創生という2つのフォローの風で人口減少を克服して魅力と活力ある持続可能な“元気とやま”を目指します」と話している。

問い合わせ
●富山県観光・地域振興局 地方創生推進室
TEL.076-444-4069
FAX.076-444-8694
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1400/

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