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2014年 10月 15日 [ イベント ]

No.679:高志の国文学館へ!企画展「川の文学」や「竹久夢二展」など旬な催し続々と

 10月30日(木)から企画展「川の文学―うつりゆく富山の歴史の中で―」が始まる<12月23日(火・祝)まで>。富山の川にゆかりのある文学作品を鑑賞しよう。開催中のミニ企画「竹久夢二展」<10月26日(日)まで>では、夢二と富山との関わりを紹介。「朗読と音楽の夕べ」<10月24日(金)、11月16日(日)>も楽しみだ。秋の夜長、虫の音を聞きながら文学に親しむ時間を!

●川にゆかりのある文学作品をテーマに


▲「企画展「川の文学―うつりゆく
富山の歴史の中で―」(左)
▲歌川広重「六十余州名所図会 
越中 富山舟橋」(中央)
▲竹久夢二「宵待草」(右)

 3,000m級の山々からの雪解け水を集め、急流となって大地を流れ下り、富山湾へと注ぐ、富山の川。神通川、常願寺川など富山の七大河川は流域に独特の風土、文化を育んできた。奈良時代、国守として越中国に赴任し、川に魅了された大伴家持、江戸時代に神通川に架けられた舟橋を浮世絵に描いた歌川広重ら、文学者や芸術家の心を魅了し続けている。

 企画展「川の文学―うつりゆく富山の歴史の中で―」では、川にゆかりのある文学作品を通して、七大河川をめぐる風土や文化を紹介し、富山の自然や歴史、そこで暮らす人々の心と知恵を紐解いていく内容だ。

 取り上げる文学作品は、大伴家持が詠んだ越中万葉歌、「めずらしや かかるはや瀬を 舟ばしの 自由自在は 神通の川」と狂歌に詠んだ十返舎一九の『金草鞋』(かねのわらじ)、イタイイタイ病の原因を突き止めた医師を描いた新田次郎の『神通川』、宮本輝の芥川賞受賞作品『螢川』、詩人・高島高の『常願寺川』、前人未到の難工事となった黒部ダム建設を描いた木本正次の『黒部の太陽』など。作品を通して、富山の川を身近に感じてみよう。

 関連イベントとして、11月8日(土)に記念講演「“クロヨン”が遺したもの―怯まず、諦めず、そして謙虚に―」<講師:大田 弘氏(熊谷組代表取締役会長)、参加無料>、30日(日)に記念講演「『川』をめぐる物語」<講師:山田 和氏(作家、講談社ノンフィクション賞・大宅壮一ノンフィクション賞受賞、『瀑流』著者)、参加無料>が開催される。

 12月13日(土)の文学講座「神通川の怪異―泉鏡花『蛇くひ』『黒百合』『鎧』を中心として―」<講師:立野幸雄氏(射水市大島絵本館館長)、参加無料>、11月22日(土)のフィールドワーク「『崩れ』をめぐって」<講師:是松 慧美(これまつ えみ)氏(立山カルデラ砂防博物館学芸員)、参加費3,000円、行程:高志の国文学館、本宮堰堤(えんてい)、立山カルデラ砂防博物館など>も楽しみだ。関連イベントは、すべて事前に申し込みが必要となっている。高志の国文学館(TEL.076-431-5492)へ問い合わせを。

●美人画が並ぶ、夢二の世界へ


▲「竹久夢二展」

 竹久夢二(1884~1934)は大正ロマンを代表する富山県ゆかりの画家。今年が生誕130年にあたり、夢二作品を多数収蔵する朝日町立ふるさと美術館の協力で、文学館での「竹久夢二展」が実現した。エントランスロビーを会場に、夢二が手がけた装幀本や表紙絵、絵画作品、木版画、絵葉書など約100点を展示。夢二と富山の関わり、文学との関わりについて紹介する。

 長いまつげに憂いを帯びた大きな瞳をたたえる美人画……夢二は妻だった「たまき」をモデルに“夢二式美人”と称される独特の美人画のスタイルを確立した。

 夢二は美人画を描く一方、詩や童話なども創作。『夢二画集 春の巻』の序文に「私は詩人になりたいと思った。…ある時、私は文字の代りに繪(え)の形式で詩を描いて見た。」と書くなど、文学はその画業に重要な役割を果たしていたとされている。詩「宵待草」には曲が付けられて、全国的な愛唱曲ともなった。

 会場に展示された『Toyama画帖』は、夢二が1915年(大正4年)に泊町(現 朝日町)で画会、富山市内で展覧会を開催した際、泊町の海岸や富山市内の街並みなどをスケッチしたもの。『幻の華』は、大正時代の歌人、柳原白蓮の歌集で、夢二が装幀を手がけている。

●企画いろいろ、文学にふれるひとときを


▲佐竹美保『雨月物語』

 11月2日(日)には、トークイベント「挿絵のこだわり」<講師:佐竹美保氏、参加無料>が開かれる。佐竹氏は、富山県生まれの挿絵・装画家。富山県が、越中万葉や大伴家持の世界を子どもたちに知ってほしいと、2012年に発行した絵本『春の苑(その) 紅(くれない)にほふ―はじめての越中万葉』をはじめ、『雨月物語』(岩崎書店)、『魔女の宅急便3~6』(福音館書店)、『魔法使いハウルと火の悪魔』(徳間書店)、『千の風になって』(理論社)などの挿絵を描いている。児童書、ファンタジー、古典など、ジャンルにこだわることなく、さまざまなタッチで挿絵を描く佐竹氏。挿絵に対するこだわり、制作への思いを聞いてみよう。

 県内のアナウンサーによる朗読と、音楽演奏を組み合わせた「朗読と音楽の夕べ」。9月から5回シリーズで始まり、今年は10月24日(金)、11月16日(日)の2回を残すのみになった。24日の朗読作品は木崎さと子氏(高岡市出身の芥川賞作家)の『青桐』(あおぎり)。朗読は船岡未沙希氏(FMとやま)。演奏は渋谷優花氏(ヴァイオリン)、中野悠里氏(ピアノ)。16日の朗読作品は小泉八雲の『耳なし芳一』。朗読は小西政親氏(NHK富山放送局)。演奏は太田豊氏(おりん、琵琶)、細川文氏(チェロ)。朗読と音楽のコラボレーションを楽しみたい。

 高志の国文学館では、「エントランスロビーでのミニ企画“竹久夢二展”は開幕したばかり。夢二の美人画にぜひ逢いにいらしてください。富山の街並みなどのスケッチも必見です。富山ゆかりの文学者や作品をクローズアップする“文学講座”は11月16日(日)に<Hearnの五高時代の講義ノート新発見>、12月7日(日)に<堀田文学の基底『上海』>、1月11日(日)に<堀田文学の基底『乱世』>をテーマに開講します。定員は各100名(先着順)、受講料は無料です。ぜひ受講ください」と話している。

問い合わせ
●高志の国文学館
TEL.076-431-5492
FAX.076-431-5490
http://www.koshibun.jp/

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