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2013年 9月 18日 [ トピックス ]

No.624-1:ヒラメで美味なかまぼこ、食欲の秋にぜひ

富山生まれ、富山育ちのヒラメを使った新かまぼこ「海竜ひらめ蒲鉾」が商品化され、販売が始まった。蒲鉾製造の麻善蒲鉾(高岡市)とヒラメの養殖を県内で唯一手掛ける堀岡養殖漁業協同組合(射水市)が共同開発したもので、富山の新たな味として注目されている。このほか、八尾産の黒ごまと五箇山産のハチミツを使った「富山ブラック蒲鉾」なども紹介しよう。

●日本酒に合う、繊細な味わい


▲海竜ひらめ蒲鉾

 ヒラメといえば、白身で繊細な味わいが特徴。刺身や昆布締めといった食べ方が定番で、かまぼこに使われるのは珍しい。「海竜ひらめ蒲鉾」では、ヒラメの上品で繊細な味を生かすため、身をさばき、昆布締めにした後の白身を使用。また、脂分が少ない白身のぱさつきを解消するため、ヒラメのひれ部分のエンガワを魚肉(タラ、グチ、トビウオ)に練りこんだ点も特徴だ。おぼろ昆布仕立てで、ヒラメ、魚肉本来の旨みを生かすため、化学調味料・合成保存料は使用していない。上からおぼろ昆布、ひらめの白身、エンガワのかまぼこ、おぼろ昆布、ひらめの白身、エンガワのかまぼこの6層になっており、独特の柔らかな食感が食欲を高めてくれる。味わうときは、わさびや塩をつけていただくのもいい。吟醸酒などの日本酒にもよく合う。

 堀岡養殖漁協では、隣接する近畿大学水産研究所の富山実験場で産卵、孵化したヒラメを、富山湾の水深100mから汲み上げた冷たくて清浄な海水で時間をかけて丁寧に育て、「近大・堀岡ヒラメ」の名称で販売している。ヒラメの飼育は高温になると難しく、夏場に富山湾の冷たい海水を使えることで、通年安定した飼育が可能になった。天然ものに比べて価格を抑え、安定供給できる点も特徴だ。


▲海竜ひらめ蒲鉾のパッケージ

 富山の食材を使った富山の味のブランド化を目指している麻善蒲鉾では、新しいかまぼこづくりにこの養殖ヒラメに着目。堀岡養殖漁協とともに開発に取り組み、東京での試験販売を通してリサーチを進め、味を改良してきた。堀岡養殖漁協のある射水市海竜町にちなんで「海竜ひらめ蒲鉾」とネーミング。今後、販売に力を入れ、ブランド化を進めていく考えだ。

●目に新鮮! 八尾産の黒ごまを使った「富山ブラック蒲鉾」


▲富山ブラック蒲鉾

 「海竜ひらめ蒲鉾」とともに販売が始まった「富山ブラック蒲鉾」の話題も紹介しよう。近年、全国的に注目されている“富山ブラックラーメン”ならぬ、ブラックな蒲鉾。八尾産の黒ごまをすりつぶして魚肉と混ぜ合わせているために、その名称の通り、身は真っ黒。白いすり身のイメージを打ち破るユニークなかまぼこなのだ。味に深みを与えるため、五箇山産のハチミツを配合。いただくと、ほのかに甘みも感じられる。歯応えのある“サクッ”とした食感も新感覚だ。「海竜ひらめ蒲鉾」と同様にこちらも魚本来の旨みを生かすため、化学調味料・合成保存料は使用していない。いずれもインターネットで購入できる(http://www.asazen.co.jp/)。価格は「海竜ひらめ蒲鉾」が700円、「富山ブラック蒲鉾」は350円。

 麻善蒲鉾では、「北陸新幹線の開業が迫るなか、県産食材、富山らしい食材を生かした特産品の開発、伝統産業、工芸品とかまぼこのコラボレーションも進めていきたい。かまぼこは低脂肪、低カロリーで、良質な蛋白源を含む健康食品。全国の方に伝統のある昆布巻かまぼこなど富山のかまぼこを味わってほしい」と話している。


▲昆布巻、赤巻かまぼこ(左)
▲細工かまぼこ(右)

 富山のかまぼこといえば、板付きではないのが特長。すり身を薄くのばし、だし巻き卵のように巻いたものを蒸して仕上げる。赤、青、黄色に着色した薄いすり身と一緒に巻いてつくる「色巻きかまぼこ」は見た目にも鮮やかだ。すり身を昆布で巻きこんだ「昆布巻きかまぼこ」はすり身の白と昆布の黒のコントラストが美しい。「巻きかまぼこ」は、江戸時代後期、北前船によって北海道から運ばれた昆布でニシンなど甘く煮付けた魚を巻き込んだ「昆布巻き」が起源とされる。独特の歯ごたえと海の幸の風味がたまらない。

 富山のかまぼこについては、「細工かまぼこ」にも注目したい。色づけをしたすり身を鯛や松竹梅、鶴亀、宝船、富士山にかたどったもので、婚礼や祝いの席の引き出物に欠かせない。なかでも鯛は細工かまぼこの代表格。柔らかく練ったすり身を絞り出す独自の技法によって、職人が1つひとつ手づくりしており、鯛の表情やヒレの形などが一店ごとに異なる。祝いの席で重宝される本物の鯛が不足した際に、かまぼこで代用したことがはじまりとされる。本物の鯛と違い、かまぼこは頭や尾を切り分ることができ、かつ日持ちがすることから、当初は代用品だったかまぼこが、持ち帰りを前提としたものへと発展し、次第に祝いの席で引出物の定番となったと考えられる。持ち帰ったかまぼこを切り分け親戚や近所の人々に「おすそ分け」として配るという風習には、幸せを皆で分かち合いたいという富山の人々の思いが込められている。

 富山のかまぼこ業者は、伝統を守るだけでなく、常に研究開発を続け、新しい味も次々と生み出している。今回紹介した「海竜ひらめ蒲鉾」、「富山ブラック蒲鉾」以外にも、さまざまな食材と組み合わせたかまぼこなど、多彩にある。多種多様な魚から作られたすり身のうま味を昆布によって引き出し、また色彩を施すことで見た目も楽しむ富山のかまぼこ文化は、これからも受け継がれていくだろう。行楽の秋、富山を観光の際には、かまぼこ文化に触れ、お土産にしてはいかがだろう。

問い合わせ
●麻善蒲鉾
TEL.0766-63-4848
FAX.0766-63-4849
http://www.asazen.co.jp/

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