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2013年 7月 3日 [ イベント ]

No.613-2:高志の国文学館開館1周年、新たに瀧口修造、新田次郎ら紹介

 7月6日(土)に開館1周年を迎える高志の国文学館。このほど常設展を一部展示替えし、瀧口修造、新田次郎など新たに9人の富山ゆかりの作家等の紹介を始めた。開館1周年を記念して、7月7日(日)~29日(月)、特別企画展「立山曼荼羅を文学する」を開催する。展示する立山曼荼羅は「吉祥坊本」と「宝泉坊本」。また、7月7日(日)、朗読劇「天の夕顔」を富山国際会議場で開く。

●開館以来初めての展示替え、魅力もアップ


▲新田次郎の直筆原稿などが並ぶ

高志の国文学館(富山市舟橋南町)は富山県ゆかりの作家や文学作品をはじめ、映画、漫画、アニメーションなどを幅広く紹介するユニークな文学館。「大伴家持と越中万葉」、「富山が育んだ少年時代」、「おおかみこどもの雨と雪」など、これまで開催した企画展も注目を集め、来館者は1年で約16万人に達している。

常設展の「ゆかりの文学者たち」に翁久允(小説家、評論家、ジャーナリスト)、瀧口修造(詩人、美術評論家)、新田次郎(小説家)、角川源義(俳人、国文学者、角川書店創設者)、遠藤和子(作家、児童文学者)、「ゆかりの漫画家」に花咲アキラ(漫画家)、「越中の先人」に石黒信由(和算家、測量家)、林忠正(美術商)、藤井能三(実業家)の紹介を加えた。

『劔岳 点の記』を書いた直木賞作家・新田次郎のコーナーには『夢に見たアルプス』の直筆原稿、富山市の作家・遠藤和子のコーナーには『家光大奥・中の丸の生涯』の直筆原稿が展示されており、筆を走らす音、息遣いが聞こえてきそう。遠藤の原稿用紙は、罫線の書かれていない、自由な用紙が印象的だ。瀧口修造のコーナーでは、スケッチブックに描かれた線描と水彩の作品を見ることができる。落ち着いた色合いの水色に線描が何を意味しているのか、興味をそそられる。

巨大書架の展示ケースには、歌人で作家の故辺見じゅん氏が所蔵していた松尾芭蕉直筆の軸を展示。「うたがふな潮の花も浦の春」の文字があり、奥の細道の旅に出る直前に書かれたものとされている。

●皇女和宮寄進の立山曼荼羅「吉祥坊本」展示


▲立山曼荼羅を文学する(左)
▲朗読劇「天の夕顔」(右)

特別企画展「立山曼荼羅を文学する」では、越中人の精神文化としての「立山信仰」の世界観について、佐伯有頼の立山開山縁起や地獄・極楽浄土の様子を「立山曼荼羅」という掛軸式絵画の絵解きで紹介する。立山山中を舞台に地獄や極楽浄土の様子を網羅的に描いた立山曼荼羅は、そのビジュアル的なインパクトと立山衆徒(立山信仰にかかわった立山山麓の芦峅寺村と岩峅寺村の宗教者たち)の巧みな絵解きで、多くの人々を魅了した。国文学界では古くから、説話・物語、説話画、絵解きなども着目されてきた。立山曼荼羅は現在、「吉祥坊本」など49点が確認されている。

今回展示する「吉祥坊本」(絹本4幅、内寸:縦128.5cm×横147.0cm、慶応2年作 富山県[立山博物館]所蔵)は、仁孝天皇の第八皇女として生まれ、江戸幕府第14代将軍徳川家茂の正室となった和宮が、急逝した家茂に対する追善供養として寄進したもので、「静寛院宮御寄附」の識札が表の上部に張り込まれている。7月13日(土)、17日(水)には文学館で、米原寛・前立山博物館長が立山曼荼羅の解説会を開く。

朗読劇「天の夕顔」は7月7日(日)16:30~、富山国際会議場で開催。「天の夕顔」は昭和13年に発表された中河与一の小説。有峰や飛騨などを舞台に、男女の20年以上にわたる純愛の物語。ゲーテの『若きウェルテルの悩み』と比較される浪漫主義文学の名作といわれ、6カ国語に翻訳されている。朗読劇には、女優の竹下景子さん、俳優の山口馬木也さんが出演する。なお、前売りチケットは完売したが、当日チケットの販売を行う。

高志の国文学館では、「新たに富山ゆかりの作家らの紹介を加え、常設展がますます充実してきました。“立山曼荼羅を文学する”では、貴重な立山曼荼羅を鑑賞できる絶好の機会。朗読劇「天の夕顔」は開催が迫っています。当日チケットなど詳細は文学館にお尋ねください」と話している。

問い合わせ
●高志の国 文学館
TEL.076-431-5492
FAX.076-431-5490
http://www.koshibun.jp/

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