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2002年 5月 8日 [ トピックス ]

No.093-3:ホタルイカの幻想的な発光を全国へ


●麻酔で眠らせて動きを抑制

 富山湾の神秘、ホタルイカのシーズン最盛期。今年は大漁の日が続いており、定置網によるホタルイカ漁が行われている滑川市では、例年以上に市場も活気づいている。そんななか、富山県食品研究所では、硫酸マグネシウムなどを使い、生きたホタルイカに麻酔をかけて動きを抑制し、東京や大阪などへの遠距離輸送でも鮮度を保つ技術を確立した。
 この技術は、マグネシウムが軟体動物の神経系に作用して代謝を抑制することに着目したもの。ホタルイカの場合でも体力の消耗や排泄物を抑え、体のなかのエネルギーを保つ役割を果すことが実験で解明され、海水10リットルあたり49.6グラムの硫酸マグネシウムが麻酔の適正量として割り出された。

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●従来の3倍ものホタルイカを発送  

 これまで生きたホタルイカを発送する場合、海水(深層水など)だけを入れた袋のなかで泳がせたまま梱包する方法が主に用いられていた。この方法ではホタルイカが出すスミやアンモニアで海水が濁りやすく、海水10リットルあたり30匹しか袋詰めすることができなかった。だが、硫酸マグネシウム入りの海水にホタルイカを入れて麻酔をかけた場合、動きを鈍らせて海水の濁りを少なくすることで、海水10リットルあたり90匹と3倍ものホタルイカを輸送できるようになった。
 輸送後、通常の海水に戻すと、ホタルイカは再び活発に動き始める。特に、口上部の漏斗(ろうと)と呼ばれる部位などの動きが活発で、これまでの発送法によるホタルイカと比べると、活きのよさの違いが一目でわかる。
 鮮度の維持と輸送コストの削減につながるこの麻酔の技術。幻想的な青白い光を放つ、活きのよいホタルイカの割合も高まることから、ホタルイカを扱う活魚業者や飲食店などから注目されている。

問い合わせ
●富山県食品研究所
TEL076-429-5400

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