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2017年 10月 18日 [ イベント ]

No.828:「宮本 輝―人間のあたたかさと、生きる勇気と。」高志の国文学館開館5周年記念特別展開催中!

 富山ゆかりの作家、宮本輝氏の全国初となる大規模な企画展が高志の国文学館(富山市舟橋南町)で開幕した<平成29年12月4日(月)まで>。最後の直筆となった「田園発 港行き自転車」の原稿の本邦初公開を目玉に、各作品の関連資料、愛用の万年筆、フィルムカメラなど約200点を通して、宮本文学の世界を紹介する。

●「人間の幸福とは何か」を問い続ける


▲珠玉のフレーズを紹介した
タペストリーが迎えてくれる

 宮本輝(みやもとてる)氏は、父の事業に合わせて大阪から転居し、小学4年の1年間、富山市・旧八人町小学校に通った。1977年にデビュー作の『泥の河』で太宰治賞、78年に『螢川』で芥川賞、87年に『優駿』で吉川英治文学賞、09年に『骸骨ビルの庭』で司馬遼太郎賞を受賞。現代の最も優れたストーリーテラーの一人として知られる。

 本展では、会場を7つのテーマに分け、デビューから今日までの40年にわたる創作活動を紹介する。「人間が生きること」とはどういうことなのか―人とは何か、生きるとは何か、生きる上で大切なことは何かという、宮本作品に通底する、人生に対する深い洞察について解き明かす。「『出会い』とは、決して偶然ではないのだ。どんな人と出会うかは、その人の命の器次第なのだ」といった珠玉のフレーズを紹介したタペストリーや、実物大に引き延ばした自宅・書斎の写真など、ユニークな展示も見どころの一つだ。

 冒頭のコーナー「小説家になるまで」では、宮本氏が影響を受けた『あすなろ物語』(井上靖)、『貧しき人々』(ドストエフスキー)、『美徳のよろめき』(三島由紀夫)、『青春』(コンラッド)などの作品や宮本氏の年表、写真を通して、これまでの道のりをたどる。

 「川三部作」コーナーでは、直筆原稿などとともに初期の代表作『泥の河』、『螢川』、『道頓堀川』を紹介。大阪の場末の川の畔で過ごした幼年期、富山で送った孤独な少年期の短い生活など、宮本氏の人生の数々の節目にあった川の畔での暮らしが作品世界に色濃く映し出されているという。三作はいずれも映画化されており、上映ポスターやスチール写真などを展示している。


▲「川三部作」コーナー

 「短編・随筆」コーナーでは、中国・西安からパキスタン・イスラマバードまで、約6,700kmに及ぶ道のりを、車で約40日間かけて走破した旅の紀行文『ひとたびはポプラに臥す』の直筆原稿や、現在なかなか読むことができない短編『手紙』の一部分をパネルで紹介する。

 「長編」コーナーでは、『錦繡』や『青が散る』、『ドナウの旅人』、『骸骨ビルの庭』などの関連資料が並ぶ。注目は、富山を舞台に、北日本新聞に3年にわたって連載された『田園発 港行き自転車』の直筆原稿(1,200枚)。以降はワープロ原稿となるため、本作が直筆原稿として最後の原稿となる。洋画家・藤森兼明氏の水彩の挿絵も鑑賞できる。


▲「長編」コーナー

 35年にわたって書き続けられている自伝的大河小説『流転の海』シリーズのコーナーでは、主人公の家系図や人物相関図、映画ポスターなどを展示。戦後の復興から高度成長期へ、幾多の困難を乗り越えてきた登場人物たちの生きざまに迫る。

●講座や読書会、映画上映会に参加を

 2012年、創価大学での講演「文学を生む力」をショートムービーで表現した「小説ができるまで」も鑑賞できる。「自分の見たもの、聞いたもの、あるいは経験したこと、味わったこと、それらの“点”がこっちから出てきたり、あっちから出てきたり」、「その“点”と“点”を自分で結んでいく これが小説家が小説を書く 唯一の方法です」と、宮本氏は強調する。

 関連イベントとして、10月22日(日)に連続講座「宮本輝の世界」①(講師:大割範孝氏<北日本新聞社論説委員>、演題:シルクロード6,700km~「ひとたびはポプラに臥す」の旅路)、11月11日(土)に連続講座「宮本輝の世界」②(講師:田中和生氏<法政大学文学部教授>、演題:富山を描いた宮本輝文学)をはじめ、11月19日(日)に連続読書会①「はじめての宮本輝 短編小説教室」、11月26日(日)に連続読書会②「はじめての宮本輝 富山小説教室」、11月3日(金・祝)にDVD映画上映会①(道頓堀川)、11月23日(木・祝)にDVD映画上映会②(流転の海)を開催する。申込みなど詳しいことは、高志の国文学館HPへアクセスを。

 また、高志の国文学館では、特別展を記念し、宮本輝作品の中から好きな作品を1点選び、150字以内でまとめる推薦文を全国の読者から公募。優秀賞2作、準優秀賞3作、入賞20作の計25作を選んだ。受賞作は、特別展のゲート前に全文を紹介している。また、ライブラリーコーナーでは、エッセー「本をつんだ小舟」で紹介された愛読書32作品をそろえている。宮本輝氏へメッセージを寄せるコーナーもあるので、ぜひ訪問して想いを綴ってほしい。

 高志の国文学館では、「企画展示室、常設展示室を使った開館以来の大規模な企画展です。直筆原稿や愛用品、パネルなどを通して、作家と作品に迫ります。文学ファン、宮本ファンをはじめ、全国からのご来場をお待ちしています」と話している。

 なお、本展のチケットを抽選でペア5組10名様にプレゼントします。プレゼント応募フォームに、プレゼント内容「高志の国文学館企画展チケット」・氏名・郵便番号・住所・メールアドレス・電話番号・記事を読んでの感想をご記入のうえ、お送りください。<10月22日(日)締切。発表は発送をもってかえさせていただきます。>

→プレゼント応募フォームはこちら

問合せ
●高志の国 文学館
TEL.076-431-5492
FAX.076-431-5490
http://www.koshibun.jp/

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