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2016年 8月 3日 [ イベント ]

No.767:演劇の聖地・利賀から世界へ発信!「SCOTサマー・シーズン2016」

 毎年恒例となった「SCOTサマー・シーズン2016」が平成28年は8月26日(金)~9月4日(日)、南砺市利賀村の富山県利賀芸術公園で開催される。晩夏の夜、漆黒の山々を背景に色とりどりの花火が打ち上がる「世界の果てからこんにちは」や、ダンス満載の喜劇「愛は病院―カチカチ山より―」など、演劇の聖地ならではの演目が楽しみだ。

●今年も上演、壮大な花火劇

 世界の演劇ファン、お待たせ! 緑深い山々に囲まれた南砺市利賀村で繰り広げられる「SCOT サマー・シーズン2016」の開幕が目前に迫ってきた。古代ギリシャに原型を求めた野外劇場、日本最大級の合掌造りの劇場など、世界に類を見ない舞台芸術施設群のある県利賀芸術公園は、国際的に活躍する劇団SCOT(Suzuki Company of Toga 鈴木忠志氏主宰)の活動拠点。今年はどんな舞台が見られるのか期待も高まる。7月16日からの受付開始で、すでに満席の公演も出てきた。観劇の申込みは、ぜひお早めに。


▲「世界の果てからこんにちは」

 演目を紹介しよう。鈴木忠志氏の演出作品は5つ。「世界の果てからこんにちは」は、水面に緑を映す池と山を借景にした野外劇場ならではの舞台を生かした花火劇。利賀の雄大な自然と壮大な花火をコラボさせ、日本の歴史と現在を顧みる。

 太宰治の『お伽草紙』に描かれるタヌキとウサギの物語をモチーフにした「愛は病院ーカチカチ山よりー」は、日中伊3カ国語版の舞台。多国籍の俳優が入り乱れて、愛のエネルギーを爆発させる。

 「ニッポンジン―瞼の母より―」は、長谷川伸原作の「瞼の母」を通して、日本人がどこから来て、どこへ行くのかを問う作品。失われた日本の心情が、孤独な老婆の幻想をとおして、新利賀山房の闇に蘇える。

 第2次世界大戦をはさんで芸一筋に生きた女優の物語「幻影日誌」。明治、大正、昭和の日本近代史の一面が、時代時代の流行歌の生演奏にのって浮かび上がる。

 「ディオニュソス」は鈴木忠志氏演出のギリシャ悲劇の代表作を中国、韓国、日本の俳優によって披露する3カ国語版。狂信的な宗教集団と権力者の闘争の狭間で犠牲になる母親の姿がどう描かれるか。

 このほか、アジア演出家フェスティバルとして、アジア各国から選ばれた若手演出家たちが課題戯曲の「椅子」(ウージェーヌ・イヨネスコ作)を利賀山房、岩舞台、リフトシアターの各劇場空間で演出するプログラムもある。上海、ソウル、台北、ランプン、静岡のアジア5都市の演劇人の競演が楽しみだ。

 演劇に加え、関連企画も充実している。8月27日(土)と9月3日(土)にはシンポジウム「現代演劇の役割と課題」が演劇評論家や演劇ジャーナリストらの参加で行われる。このほか、磯崎新氏が建築家の視点から現代社会の問題について語るインタビュー「<建築=都市=国家>その在り方」、鈴木忠志氏が観客からの質問にこたえる「鈴木忠志トーク」、利賀でのSCOTの活動を記録した映像を公開する「ドキュメンタリー上映会」といったさまざまなプログラムが予定されている。利賀での活動が、より深く、立体的に理解できそうだ。

 なお、利賀におけるSCOTの公演では入場料という考えをとっておらず、利賀村での活動を応援したいと思ってくださる方からお志を“ご随意に”いただくこととしている。満席の公演が出ているが、まだ観劇可能な公演や追加された公演もある。詳細は劇団SCOT(TEL.0763-68-2216)へ確認を。

●世界の演劇ファンと演劇談義

 「SCOT サマー・シーズン2016」に併せて、今年も「TOGAサマー・フェスティバル 天空と星空のシアター・ヴィレッジ」が開催される。TOGA屋台村やキッチン・カー、Cafe&Barなどが登場。日時は8月26日(金)~9月4日(日)8:00~23:00(金曜、土曜は24:00まで。8月26日のみ15:00開始)。詳しくは、「NANTO LIFE」のHP(http://www.nantolife.jp)へアクセスを。

 グルメ館に開設される「TOGA屋台村」では、そばやイワナの塩焼き、どぶろく、ジビエカレーなど、利賀や南砺、富山の味覚が楽しめる。Cafe&Bar「NANTO LIFE」では山のカクテルや地酒を飲みながら、国内外から集まった演劇ファンと演劇談義で盛り上がるのもいいだろう。このほか、クラフトやアート作品の展示・販売も予定されている。


▲野外劇場(左)
▲利賀山房(中央)
▲新利賀山房(右)

 宿泊して、演劇や自然を親しむのも利賀でのいい過ごし方。今年は利賀国際キャンプ場にテント村が新たに開設される。また、元小学校を改修したスターフォレストや庄川峡長崎温泉の宿、瞑想の郷、民宿などの宿泊施設もある。

 航空路はもちろん、北陸新幹線で近くなった富山へ。富山駅や高岡駅・新高岡駅から利賀までのバスも運行されるのでご利用を。連絡バスや宿泊、朝食の予約・問合せは劇団SCOT(TEL.0763-68-2216)へ。

 いく夏を惜しみながら、ちょっと感傷的になりがちな季節。利賀の自然に囲まれて演劇を鑑賞する時間が感性を刺激し、心身を元気にしてくれるだろう。

問合せ
●劇団SCOT
TEL.0763-68-2216
http://www.scot-suzukicompany.com/sss/2016/

●富山県利賀芸術公園
TEL.0763-68-2028
http://www.togapk.net/

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