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2016年 5月 25日 [ トピックス ]

No.757:富山発!ロングヒットの「逆さ地図」、販売店舗拡大!

 県が発案し、南北を逆転させ、大陸から日本を見た地図「環日本海・東アジア諸国図」(通称「逆さ地図」)。従来の富山県刊行物センターに加え、平成28年4月から県立近代美術館、高志の国文学館などのミュージアムショップ、東京・有楽町のいきいき富山館などでも販売が始まった。また、この逆さ地図の発想を原点にして生まれた「日本海学」を学べる講座や親子教室に参加し、環日本海地域の自然や文化、歴史に触れてみてはいかが。

●南北をくるりと回転、ユニークな地図

 日本海側のほぼ中央に位置し、対岸諸国との交流・交易の歴史を生かして、早くから経済や文化などさまざまな分野で国際交流などに取り組んできた富山県。「逆さ地図」は、中国、ロシアなどの対岸諸国に対し、日本の重心が富山県沖の日本海にあることなどを強調するため、北と南を逆さにしたユニークな地図だ。


▲「環日本海・東アジア諸国図」
(通称「逆さ地図」)

 県が、国土地理院の正式な承認を得て1994年に初版として「環日本海諸国図」(縮尺350万分の1)を作成し、2012年には、トピックス(http://www.toyama-brand.jp/TJN/?tid=103422)でも紹介したとおり、県と近隣諸国との交流圏拡大や交通網の整備状況などを反映させた改訂版「環日本海・東アジア諸国図」を発行している。初版の発売から20年以上経過しているが、年間1,800部ほどの販売部数があり、ロングヒットとなっている。サイズはB1判で、縮尺450万分の1、4色刷り、正距方位図法(富山県庁中心)。国土地理院の地図「500万分の1日本とその周辺」をベースにしている。

 これまで富山県刊行物センター<富山県民会館1階「D&DEPARTMENT TOYAMA」内>で販売していたが、北陸新幹線開業で首都圏からの観光客が増加したことや、新アンテナショップ「日本橋とやま館」が6月4日(土) 東京・日本橋にオープンすること、また県内でも人気が高いことなどから、販売店舗を増やし、県の取組みの一層の普及を図る。

 販売店舗は、県刊行物センター、県立近代美術館、高志の国文学館、県水墨美術館、立山博物館展示館の各ミュージアムショップ、物産センター富山(CiC5階)、県アンテナショップ いきいき富山館(東京・有楽町)、日本橋とやま館<東京・日本橋>、海王丸パークに隣接する新湊きっときと市場<射水市>。価格は1枚300円(税込み)。

 逆さ地図を眺めていると、日本列島が日本海を囲んでユーラシア大陸、朝鮮半島とつながる環の一部のように見えてくる。日本海が大きな湖のようだ。“環日本海”という言葉も納得できるだろう。富山県庁を基点に同心円が引かれ、500km圏、1,000km圏などがわかるようになっている。ロシアのボストーチヌイ港、シベリア鉄道、韓国の光陽、台湾の台北、高雄、中国の香港、西安、重慶……地名を追っていくと、極東ロシアから韓国、中国西部・南部までの北東アジアの広がりが感じられる。

 富山県建設技術企画課では、「近隣諸国との交流圏拡大を背景に、逆さ地図が改めて国内外から注目されています。大陸から日本を眺めていると、これまでとは違った、新しい発想が浮かぶかもしれません。ぜひお手元に」と話している。

●環日本海地域の未来を構想

 南北を逆さにすると、日本は大陸から遠く離れた島国ではなく、大陸や朝鮮半島とつながっているように見えてくる……逆さ地図の発想を原点にして生まれたのが、総合的な地域学ともいえる「日本海学」。県では、1997年から日本海学を推進している。“環日本海地域で人々はどのように交流してきたか?”、“海と地球環境を守るには?”…日本海とその周辺及び関連地域全体を、生命の源である海を共有する一つのまとまりとしてとらえ、海との関わりを軸にその自然・文化・歴史・経済などを総合的に研究し、地域の交流を促進して生命の輝きが増す未来を構想する取組みだ。

 富山から「日本海学」を発信する意義として、富山県には、富山湾から立山連峰まで高度差4,000mに及ぶ森、里、海を結ぶ水の循環システムや、豊かな森をはじめとする自然の恵みを受けて、多彩な生物が生息する共生のシステムがあること、日本海固有水(深層水)と対馬暖流が織り成す豊饒の海・日本海に面し、その縮図ともいえる富山湾を有していることなどが挙げられる。

 県では、日本海学の普及・推進のため、これまでに『日本海学の新世紀』や『ジュニア版 日本海読本』、『富山湾読本』などを刊行。近年の日本海学研究叢書『うたわれた富山湾-「渋谿」から「有磯海」へ』(新谷秀夫 高岡市万葉歴史館学芸課長 著)や、『高志国 海と山のこころ文化』(米原寛 元富山県立山博物館館長 著)では、富山湾と万葉集や立山信仰との関係にも注目している。


▲日本海学研究叢書
『うたわれた富山湾』と
『高志国 海と山のこころ文化』(左)
▲「富山湾の魅力体験親子教室」の
海洋実験の様子(2015年8月)
深層水採取・水温測定(中央)と
透明板実験(右)

 「日本海学シンポジウム」や「日本海学講座」も毎年開催されている。2016年度の日本海学講座は「TPPと北東アジア」<7月9日(土)>、「沈み込むプレートと日本海の形成」<9月10日(土)>、「弥生時代後半期の日本海沿岸地域」<11月12日(土)>、「とやまの漁撈用具と和船」<2017年1月14日(土)>をラインナップ。夏休み中には、「富山湾の魅力体験親子教室」を8月6日(土)、7日(日)の各日開催。富山高等専門学校の練習船に乗船し、新湊大橋をくぐって富山湾へ。富山湾上で、深層水やプランクトンの採取、水圧実験、蜃気楼実験などを体験しながら、富山湾の自然を学べる教室で、県外からの応募も大歓迎。詳細は、日本海学ホームページ(http://www.nihonkaigaku.org/)へアクセスを。

 富山県地方創生推進室では、「日本海学は“日本海”、“循環”、“共生”の3つを視点とした総合的な地域学。海からの目線で地域への理解を深めながら、地球全体の将来を展望する取組みです。環日本海地域にどのような自然や文化があり、交流の歴史があるのか、学んでみませんか。また、親子体験教室に参加し、“世界で最も美しい湾クラブ”加盟の富山湾の魅力に触れてください」と話している。

問合せ
「逆さ地図」について
●富山県土木部 建設技術企画課
TEL.076-444-3312
FAX.076-442-7954
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1510/

「日本海学」について
●富山県観光・地域振興局 地方創生推進室
TEL.076-444-3339
FAX.076-444-8694
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1400/
日本海学ホームページ http://www.nihonkaigaku.org/

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