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2015年 6月 10日 [ トピックス ]

No.710:新近代美術館着工! 屋上庭園のコンセプトは「オノマトペの屋上」に!!

 富山駅近くの富岩運河環水公園西地区(富山市木場町)に平成29年に移転新築する新富山県立近代美術館(仮称)。安全祈願祭と起工式がこのほど現地で行われた。屋上庭園のコンセプトは「オノマトペの屋上」に決定。「ふわふわ」、「ぐるぐる」など8つのオノマトペ(仏語で擬態語・擬音語)から連想される遊具が設置される。開館が待ち遠しい。また、高志の国文学館(富山市舟橋南町)で開催中の特別企画展「『田園発 港行き自転車』藤森兼明挿絵原画展」、ギャラリー展「豊かなイマジネーション 妖怪がひそむ富山の民話」の話題も紹介しよう。

●平成29年夏後半から秋ごろに全面開館予定


▲屋上庭園「オノマトペの屋上」
(イメージ)(左)
▲立山連峰や富岩運河環水公園の眺望を
楽しめる新近代美術館(イメージ)(右)

 “アートとデザインをつなぐ”世界で初めての美術館を目指す新近代美術館(仮称)<トヤマ・ジャスト・ナウ1月14日配信記事参照>。富岩運河環水公園の建設予定地でこのたび起工式が行われ、開館に向けて大きく動き出した。建物の完成予定は平成28年12月中旬。29年春にレストランやカフェなどが先行オープンし、ゴールデンウイークまでに屋上庭園がオープンする。全面開館は同年夏後半から秋ごろになる見込みだ。

 新近代美術館は地上3階建て・鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造)で、延床面積14,990㎡(うち、美術館用途9,965㎡)。ガラスを多用した開放感あふれる建物から富岩運河環水公園や立山連峰、神通川など四季折々の自然豊かな眺望が楽しめる美術館となる。

 ピカソやミロなど20世紀の名画をはじめとする世界的なコレクションを新たな切り口で紹介するほか、アトリエやギャラリーを設けることで、子どもや親子連れらが“見る、創る、学ぶ”といった双方向の美術を体験できる。ポスターと椅子のデザインコレクションは、タッチパネル式の大型ディスプレイなど体感型の展示を導入。また、新たなデザインによる工芸品や、伝統工芸とコラボした土産の開発なども目指す。地方初出店となる老舗洋食店「日本橋たいめいけん」やカフェのほか、デザイン性の高いグッズ・文具、子どもの創造性を育む玩具、アート・デザイン関連の専門書籍などを扱うミュージアムショップなども備える。


▲起工式で挨拶する石井知事

 起工式で石井知事は、「先日、富山県の伝統工芸品のPR展示会でニューヨークを訪問した。芸術文化の振興がその都市のステータスや賑わいづくり、人々の心の元気につながるということが印象に残った。県民の心の元気、精神の元気につながるよう、芸術文化の振興、新近代美術館の整備にしっかり取り組んでいきたい」と述べた。

●言葉・芸術・遊びが融合!「オノマトペの屋上」


▲「オノマトペの屋上」の遊具
(イメージ)

 屋上庭園のコンセプトは「オノマトペの屋上」。「ふわふわ」、「ぐるぐる」、「あれあれ」、「ひそひそ」、「つるつる」、「うとうと」、「ぷりぷり」、「ぼこぼこ」の8つのオノマトペ(仏語で擬態語・擬音語)から連想される遊具を設置する。身体を動かしながらアートやデザインを体感できるこれまでにない空間となる。たとえば、「ひそひそ」は長い管を通して会話ができる遊具。「うとうと」では、ハンモックのように寝そべることができる。「ふわふわ」は元々、公園の西地区にあった大人気の遊具で、トランポリンのように飛び跳ねて遊べる。遊具の形状やデザイン、遊具の持つ機能(遊び方)については、今年度実施設計を行い、具体化していく。

 コンセプトは、屋上全体のデザイン監修と遊具のデザインを担当するグラフィックデザイナー、佐藤卓氏が考案した。「日本は、オノマトペが世界でもっとも豊かな国。楽しい遊具をまず作る発想ではなく、楽しい擬音語・擬態語を思い浮かべてから遊具を考えるというアプローチ。他にない発想で楽しい空間にできないだろうかという思いがこのようなアイディアにつながった」と佐藤氏はコメントを寄せている。

 富山県文化振興課 新近代美術館整備班では、新近代美術館の公式Facebook(https://facebook.com/shinkinbi1)とtwitter(https://twitter.com/shinkinbi)を開設した。「開館に向けたニュースや美術館の紹介、コレクション、建設現場の状況などの情報をタイムリーに掲載していきます」と話している。

●高志の国文学館「『田園発 港行き自転車』藤森兼明挿絵原画展」


▲藤森兼明氏の挿絵原画が並ぶ(右)
▲「鶯姫」の展示パネル(左)

 高志の国文学館では、北日本新聞に2012年1月1日から2014年11月2日まで毎週日曜、計150回にわたって連載された宮本輝氏の小説『田園発 港行き自転車』の単行本化を記念し、連載時に挿絵を手掛けた洋画家、藤森兼明氏の挿絵原画展を開催している。6月29日(月)まで、企画展示室にて。

 藤森氏は日本藝術院会員で砺波市庄川町出身。挿絵の制作にあたり、小説の舞台となった県内各地に何度も足を運ぶなど、入念な取材を基に作品を仕上げた。同展では、立山連峰や黒部川扇状地、黒部川に架かる愛本橋、ますの寿し、富山ライトレール 岩瀬駅、登場人物など、挿絵の中から50点を選りすぐって紹介している。風の匂い、水のきらめき、夕日の輝き―水彩の淡いタッチを生かした作品はいずれも透明感があり、叙情豊か。自在な色と線で富山の風土を描いている。眺めていると、富山・京都・東京の三都市の家族の運命が交錯する小説のワンシーンを想像してしまう。挿絵のモチーフに最も多く取り上げられたのが立山連峰。季節や表情が異なっており、挿画集で見比べてみるのも楽しい。

 ギャラリー展「豊かなイマジネーション 妖怪がひそむ富山の民話」<7月6日(月)まで、ロビーにて>は、襲いくる困難を妖怪などにたとえて表し、自然への敬虔な畏怖の念を育んできた富山の民話をクローズアップ。古木への畏怖を表した「十六人谷」(宇奈月)、「いかりのどぶ」(魚津)など、妖怪を題材にした県内に伝わる5つの民話を、漫画家・今市子(いま いちこ)氏の書き下ろし作品とともに展示パネルで紹介している。「鶯姫」(細入)と「七山長者とおろち」(砺波)のパネルにタブレットやスマートフォンをかざすと、イメージ映像が動き出すAR(拡張現実)体験もできる。今さんは氷見市出身の漫画家で、妖魔を見る力を持った主人公を描いた『百鬼夜行抄』などの作品で知られる。会場では、『百鬼夜行抄』第1巻「精進おとしの客」、第21巻「招かなかった客」などの原画も展示しているので見てみよう。

 高志の国文学館では、「雑誌『Nemuki+(ネムキプラス)』で人気の今市子さんの迫力ある原画を間近で見られる、またとない機会。7月4日(土)・5日(日)には高さ3mの巨大な“お光姫大蛇化身之図”(清河北斗氏作品)なども展示します。ギャラリー展は入場無料。ぜひご来場ください」と話している。

問い合わせ
「新富山県立近代美術館(仮称)」について
●富山県生活環境文化部 文化振興課 新近代美術館整備班
TEL.076-444-8928
FAX.076-444-8900
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1718/

特別企画展「『田園発 港行き自転車』藤森兼明挿絵原画展」、ギャラリー展「豊かなイマジネーション 妖怪がひそむ富山の民話」について
●高志の国文学館
TEL.076-431-5492
FAX.076-431-5490
http://www.koshibun.jp/

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