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2015年 1月 14日 [ トピックス ]

No.691:新近代美術館(仮称)、実施設計まとまる!

 ピカソ、ミロなどの世界的な名画を収蔵・展示する富山県立近代美術館が、富山駅に近い富岩運河環水公園に移転新築する。平成28年度中の開館に向けて、実施設計がまとまった。“アートとデザインをつなぐ”美術館を目指し、遊びの中でアートに出会える空間などが設けられる。

●アートとデザインをつなぐ、世界で初めての美術館


▲新近代美術館(仮称)の完成予想図

 1981年に開館した富山県立近代美術館は、ピカソ、ミロ、デルヴォー、棟方志功などの20世紀の代表的な名画や名作のほか、12,000点を超えるポスターや約240点の椅子を中心としたデザイン作品など、世界に誇れるコレクションを保有し、国内外から高く評価されている。

 しかし、現在の建物は、開館から33年が経ち、耐震性の不足や消火設備がスプリンクラーであるなどにより、美術品政府補償制度に対応できず、国内外の美術館連携から孤立することにならざるを得ないことから、富山駅に近い富岩運河環水公園西地区に移転新築することになった。

 新近代美術館(仮称)のコンセプトは、“アートとデザインをつなぐ、世界で初めての美術館”。来館者に楽しんでもらえるよう、世界的コレクションの展示に工夫を凝らし、新しい切り口やテーマ、見せ方で紹介。また、アトリエやギャラリーを設けることで、鑑賞するだけでなく、“見る、創る、学ぶ”といった双方向で美術を体験できる施設となる。

 県内には、高岡銅器や井波彫刻など優れた伝統工芸がある。新しい美術館は、新たなデザインによる工芸品や、伝統工芸とコラボした土産の開発など、芸術文化やデザインの振興のみならず、産業振興に寄与する役割も期待される。

 地方創生、人口減少など時代が大きく変わりつつあるなかで、県内外、世界から親しまれ、愛され、時代ととともに成長して価値が高まっていくような美術館を目指している。

●アート、建築、デザインが響き合う美術館


▲ポスター展示の操作イメージ(左)
▲椅子の展示イメージ(中央)
▲ワークショップの様子(右)

 新近代美術館(仮称)は、ちひろ美術館(東京)や海の博物館(三重)、リバーリトリート雅樂倶(富山)などを手掛けた建築家の内藤廣氏が設計を担当。地上3階建で、ガラスを多用した開放感あふれる建物となる。屋上や館内からは富岩運河環水公園や立山連峰、神通川など四季折々の自然豊かな眺望が楽しめる。環水公園から屋上庭園へとつながる緩やかな大階段が設けられ、子どもから大人まで誰でも気軽に訪れられる設計となっている。

 各階を紹介しよう。1階は“世代を超え人々が集い交流する場”。県民の創作活動の発表の場となるギャラリーをはじめ、魅力あるカフェやミュージアムショップを配置。カフェにはベーグル専門店など(とべーぐる、ぷちロールなど)を県内展開する地元の「(株)オオサワ」が出店する。デザイン性の高いグッズ・文具や、子どもの創造性を育む玩具、アート・デザイン関連の専門書籍などを扱うミュージアムショップも配置される予定だ。

 2階は、“新しい切り口で来館ごとに発見がある場”。フレキシブルな展示ができるよう企画展示室と常設展示室を同フロアに配置。常設展示室では、20世紀美術の名品など日本有数のコレクションを新しいテーマや切り口で紹介する。企画展示室は現在の美術館の2倍弱の広さとなり、これまでにない超大型企画展の開催が可能になる。このほか、吹き抜け空間の「ホワイエ」では、コンサートやトークショー、ファッションショーなどのイベントも開催できる。

 3階は、“アートとデザインをつなぐ場”。富山県出身の著名な美術評論家で詩人の瀧口修造や、晩年を立山山麓で過ごした世界的バイオリニスト、シモン・ゴールドベルクの美術コレクションを展示する。アートとデザイン、そして音楽などの融合を考えた瀧口の書斎の雰囲気を醸し出す展示は魅力的。ミロ、草間彌生、池田満寿夫など瀧口を慕う美術界の巨匠から贈られた作品の展示も楽しみだ。

 また、この美術館の特徴である、ポスターや椅子を中心としたデザイン展示室では、実物に加え、ポスターコレクションの質量を体感できるタッチパネル式の大型ディスプレイによる展示を行う。ユニークな形、鮮やかな色の椅子を積層で展示したり、実際に椅子に座ることができるコーナーも設けられる。

 このほか、創作体験やワークショップが楽しめるアトリエでは、作家の公開制作も行われ、作る喜びの体感と、体験の共有による新たな交流の場となる。

●屋上庭園にはデザイン性の高い造形遊具を設置


▲老舗洋食店「たいめいけん」の
タンポポオムライス(左)
▲子どもたちに大人気の遊具
「ふわふわドーム」(中央)
▲「ふわふわドーム」
で遊ぶ子どもたち(右)

 3階の環水公園側のレストランには、行列ができることで有名な東京の老舗洋食店「日本橋たいめいけん」が地方初出店。新鮮な魚介など富山の食材を生かしたオリジナルメニューも登場する予定だ。「東京で2時間待つなら、新幹線に2時間乗って、富山へ。」素晴らしい立山連峰と環水公園の絶景を楽しみながら料理を味わえる。

 屋上庭園は“子どものスペースとし、親子がアートやデザインを体で感じ取れる場”。子どもスペースとして、グラフィックデザイナー・佐藤卓氏が屋上全体のデザインを監修。子どもたちに大人気のふわふわドームのほか、佐藤氏が手掛ける造形遊具が設置され、親子でアートやデザインを感じ取れる場となる。凧揚げ大会など、環水公園のイベントとの連携も図られる。

 富山県文化振興課 新近代美術館整備班では、「平成28年度中の開館に向けて整備を進め、屋上庭園については、28年夏頃の先行オープンを目指しています。公園を散策するように気軽にお越しいただき、世界的名画だけでなく、環水公園や立山連峰の眺望も楽しんでほしい。富山に来たら、ぜひこの美術館に立ち寄りたいと思っていただけるよう、子どもから大人まで楽しみ、学び、親しむことができ、訪れた方々が元気になっていただけるような美術館にしたい」と話している。

問い合わせ
●富山県生活環境文化部 文化振興課 新近代美術館整備班
TEL.076-444-8928
FAX.076-444-8900
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1718/

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