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2014年 7月 23日 [ イベント ]

No.667:8月22日(金)開幕!「SCOTサマー・シーズン2014」

演劇の祭典「SCOTサマー・シーズン2014」&「利賀アジア芸術祭」が8月22日(金)~9月3日(水)、南砺市利賀村の県利賀芸術公園で開催される。SCOT(Suzuki Company of Toga)主宰による鈴木忠志氏演出の「シラノ・ド・ベルジュラック」、「トロイアの女」など4作品、中国の劇団による「マクベス」、「梨園劇『大悶(だいもん)』」、韓国の劇団による「真夏の夜の夢」の3作品などを観劇できる。シンポジウムやアジア演出家フェスティバルなども行われる。観劇の申し込みはお早めに。

●大自然の懐に抱かれた演劇の地で、思い出に残る夏を!


▲シラノ・ド・ベルジュラック

 標高約500m以上、大自然に囲まれた利賀村を舞台に、生身の人間と現代演劇のエネルギーがほとばしる――真夏の祭典「SCOTサマー・シーズン2014」&「利賀アジア芸術祭」<主催:富山県、県文化振興財団、企画:SCOT、共催:TOGAアジア・アーツ・センター、舞台芸術財団演劇人会議>の開催が約1カ月後に迫った。7月13日から観劇の申し込みが始まっている。

 注目の上演作品を紹介しよう。「シラノ・ド・ベルジュラック」は、フランスの劇作家、エドモン・ロスタンの同名の戯曲が原作。長鼻で醜い容姿のシラノは従妹のロクサアヌを愛していたが、彼女は美貌のクリスチャンに魅かれていた。シラノは自分の想いを伝えるため、クリスチャンの恋文を代筆。ロクサアヌは恋文によってクリスチャンを深く愛するようになるのだが……。悲恋に苦しむ男が示した心意気とは何かを、ヴェルディ作曲のオペラ「椿姫」の華麗な音楽にのせて描く。物語はフランス的、音楽はイタリア的、演技は日本的といった組み合わせの妙。利賀の野外劇場ならではの花火劇で、クライマックスの花火が観る者の心を鮮やかに彩ることだろう。

 「トロイアの女」は1974年に東京の岩波ホールで初演された作品。同ホールの総支配人で、富山県黒部市ゆかりの高野悦子氏から芸術監督を要請された鈴木氏の就任第1回の公演だった。今回、25年ぶりに新演出で登場する。ギリシャ悲劇の舞台を戦後の日本に置き換え、戦争の犠牲になった人々を描く。西洋と日本、空間と時間を越えて存在する人間の不変性が二重写しとなる。

 「からたち日記由来」は、昨年11月に亡くなった島倉千代子氏の大ヒット曲「からたち日記」の架空の誕生秘話を作品化。鈴木氏は、花火を組み込んだ野外劇「世界の果てからこんにちは」で同曲を使っており、SCOTファンにとっては馴染み深い曲だろう。「からたち日記由来」では、大正時代の心中事件と絡めながら、大衆歌謡の歌詞に隠された真実に迫る。

 「シンデレラ」は、中国の上海戯劇学院とSCOTの共同制作。もともとは、鈴木氏が親子で楽しく観劇できる芝居として2年前に創った舞台。今回は、中国全土からオーディションで選ばれた俳優で上演する。利賀で1カ月稽古したあと、5月に上海で初演し、反響を呼んだ。

 鈴木氏が考案した訓練法「スズキ・トレーニング・メソッド」で稽古を積んだ外国人俳優と演出家でつくる「インターナショナルSCOT」は、「建築家とアッシリアの皇帝」(演出:マティア・セバスティアン氏)を上演する。文明から隔絶した孤島に住む原住民の“建築家”と、島に墜落した飛行機事故でただ一人生き残った“皇帝”。二人が繰り広げる奇妙な“ごっこ遊び”の行き着く先は……。

●アジアと世界を演劇で結ぶ利賀

 今夏が第1回の開催となる「利賀アジア芸術祭」。アジアからは中国の劇団による「マクベス」、「梨園劇『大悶』」、韓国の劇団による「真夏の夜の夢」の3つが参加。「マクベス」は、シェイクスピア作品を中国期待の演出家・黄盈(フォン・イイ)氏が冬の利賀で創り上げた舞台で、中国人俳優5人が人間の悲喜劇を演じる。

 「梨園劇『大悶』」は、中国の名女優・曽静萍(ジェン・ジン・ピン)氏が恋しい男を想う女心を踊りで表現するひとり舞台。梨園劇とは、800年以上前に中国福建省泉州で生まれた中国最古の伝統劇だ。

 シェイクスピア作品を韓国の演出家、ヤン・ジョンウン氏が舞台化した「真夏の夜の夢」は、韓国の伝統的な楽器のリズムと踊りが印象的。真夜中の森で、妖精と人間が繰り広げる一夜の大騒ぎを描く。

●アジア演出家フェスティバル併催


▲野外劇場(左)▲利賀山房(右)

 半円すり鉢型の利賀の野外劇場などを設計した建築家・磯崎新氏をコメンテーターに迎えたシンポジウム「私たちは、どこに向かうのか?!―“戦後レジームからの脱却”と“ニッポン”の前途」、鈴木忠志Q&A「利賀から世界の現在・未来を語る」、アジアの若手演出家が課題戯曲に挑む「アジア演出家フェスティバル」もぜひ観てほしい。同フェスティバルの課題戯曲は、テネシー・ウィリアムズの「二十七台分の棉花」。ミシシッピの棉花工場を舞台に性と人種差別を描いた同作品を、日本、台湾、中国、韓国の演出家がどのように表現するか楽しみだ。

 「SCOTサマー・シーズン2014」&「利賀アジア芸術祭」の観劇の申し込みは、SCOT倶楽部の会友を対象に受け付ける。SCOT利賀事務所へ(TEL.0763-68-2216)。申し込みのときに会友登録もできる。申し込みは電話か、直接利賀事務所へ。FAX、メール、ウェブサイトからはできない。なお、“すべての人に開かれた公演”として、一律の入場料は設けず、趣旨に賛同する会友がSCOTへの活動支援金として随意に「志」の金額を決めて支払う方式になっている。

 富山県文化振興課では、「緑濃い山々を背景に繰り広げられる国際色豊かな舞台は、演劇ファン必見。大都市、街なかでの舞台とはひと味もふた味も違います。ぜひ利賀村に観劇にいらしてください。利賀国際キャンプ場グルメ館では、TOGA夏まつりを開催。利賀そばや清流そうめん、山菜、岩魚の塩焼き、どぶろくなど山里の素朴な味覚が揃っています。お楽しみに」と話している。

問い合わせ
●SCOT
TEL.0763-68-2356
http://www.scot-suzukicompany.com/

●富山県利賀芸術公園
TEL.0763-68-2028
FAX.0763-68-2926
http://www.togapk.net/sss/2014/

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