トピックス

アーカイブ

2014年 4月 2日 [ トピックス ]

No.651:春の輝き、富山湾のホタルイカに会いに来て!

ホタルイカのシーズン到来。産卵のため、深海から群れをなしてやってくるホタルイカは青白い光を放ち、「富山湾の神秘」とも称されている。湾岸に位置する「ほたるいかミュージアム」では“ほたるいか発光ショー”が人気。蛍烏賊御膳やほたるいかバーガーなども味わえる。「魚津水族館」では“ホタルイカ発光実験”に誰もが目を奪われるに違いない。ザラビクニンやオオグチボヤなどの深海生物にも出会える。春風に誘われて、富山湾の不思議に触れてみよう。

●富山湾の独特の地形がホタルイカを育む


▲ホタルイカの発光の様子
(写真提供:魚津水族館)

 生態がいまだ多くの謎に包まれているホタルイカ。寿命は約1年と短く、春に卵から生まれ、翌年の春に卵を産んでその生涯を終える。日本海全域の水深200~600mの深海に生息しているが、なぜ富山湾でまとまって獲れるのか。富山湾が岸近くから急に深くなる独特の地形をしており、ホタルイカが産卵のために岸近くまで大群で押し寄せるためだ。ホタルイカは体長4~7cm。 1日で約300mもの距離を垂直移動するが、これを人間に置き換えると、約4,800mの高さの山を登り下りしていることと同じになるというから驚きだ。

 新湊から滑川、魚津にかけてが主な漁場で、常願寺川の河口から魚津市に至る約15kmの海岸線、沖合1.3kmの海域は「ホタルイカ群遊海面」として、国の特別天然記念物に指定されている。

 漆黒の闇にきらめく幻想的な光……ホタルイカはその小さな体に腕発光器(2本の腕先に各3個)、眼発光器(眼の回りに5個)、皮膚発光器(腹側の皮膚全体に約1,000個)を持っている。どうして発光するのか。強い光で敵の目を惑わせたり、自分の影を消して敵から身を隠したり、仲間とのコミュニケーションのためともされている。

●ホタルイカの発光をライブで


(左から)▲ほたるいか発光ショー
(写真提供:ほたるいかミュージアム)
▲「深海不思議の泉」
▲蛍烏賊と竹の子のポッラータ
仕立てスパゲッティー
▲蛍烏賊のバジルきのこピザ
▲ほたるいかバーガー

 陸の上でホタルイカの幻想的な光を観賞するとなれば、ホタルイカの生態を紹介する体験型の博物館「ほたるいかミュージアム」(滑川市)を訪ねてみてはいかが。定置網で捕獲されたホタルイカを特殊飼育水槽へ移し、ライブシアターで「ほたるいか発光ショー」を行っている(5月下旬まで)。照明をおとした薄暗い空間で半円形の水槽に張られた網を引き寄せると、網に触れて刺激を受けたホタルイカの体が青白く光る。宝石箱をひっくり返したような美しい光は圧巻だ。

 滑川沖の水深333mより取水された富山湾海洋深層水が湧き出る「深海不思議の泉」では、ズワイガニやトヤマエビなど深海の生物たちを展示。水温5度と冷たい水槽に入れられたホタルイカに触れることもできる。ピュッと水を掛けられることもあるので注意しよう。同フロアでは、ネックレスのようにつながった透明な小さな卵も観察できる。展示ホールでは、ホタルイカをイメージした映像・体感装置でホタルイカの不思議を学べる。ダイオウイカのイラスト展示もあるのでお見逃しなく。

 ミュージアム2階の「パノラマレストラン光彩」は、眼前に広がる富山湾を眺めながら、ホタルイカの料理やカフェの時間が楽しめるとあって人気のスポット。「蛍烏賊 酢味噌和え」や「蛍烏賊刺身」といった定番の一品から、刺身や天ぷら、酢の物、沖漬などを組み合わせた「蛍烏賊御膳」、「蛍烏賊と竹の子のポッラータ仕立てスパゲッティー」、「蛍烏賊のバジルきのこピザ」といった洋のメニューなど、獲れたてのホタルイカを使った料理が5月下旬まで味わえる(※沖漬、ピザなど一部のメニューは通年で提供する予定)。

 ミュージアム1階の「みちcafe wave」では、ご当地バーガー「ほたるいかバーガー」を味わってほしい。バンズ(パン)にはさんであるのは、ふっくらとしたホタルイカのフライ。カリカリッとした衣とワタの旨味がオリジナルソースとマッチ。さっぱりとしたショウガも味のアクセントになっている。

 ほたるいかミュージアムでは、「4月26日(土)、「ホタルイカ祭り2014in滑川」を開催します。金魚すくいのホタルイカバージョンとなるホタルイカすくいコンテストや創作料理滑川グルメテント村、フリーマーケットなど、春の滑川ならではのイベント。ぜひ、ご参加ください」と話している。

 なお、ホタルイカの神秘的な光を観光船から見学できるのが、「ほたるいか海上観光」<4月3日(木)~5月6日(火・振休)>。早朝3:00(乗船受付:ほたるいかミュージアム2:00~2:50)に滑川漁港を出港し、沖合の定置網まで行き、漁船のすぐ横でホタルイカの幻想的な光を堪能しようというもの。春ならではの観光だけに大変な人気。現状、予約で満席だが、キャンセルがあるかもしれないので、滑川市観光協会(TEL.076-475-0100)に確認してみよう。

●ホタルイカやザラビクニン、ノロゲンゲを観察


▲ホタルイカ展示コーナー(左)
▲ザラビクニン(中央)
▲オオグチボヤ
<写真提供:魚津水族館>(右)

 富山湾岸にある魚津水族館(魚津市)では、創立100周年を記念して製作されたホタルイカとマツカサウオの2体の愛らしいキャラクターモニュメントが玄関口で来館者を出迎えている。強化プラスティック製で、高さはホタルイカが1.25m、マツカサウオが1.15m。ホタルイカのモニュメントは大きな眼と皮膚発光器を表現したペインティングが印象的。長く伸びた腕と握手できるようになっている。訪れた記念に一緒に写真撮影というのもいいだろう。

 一方のマツカサウオのモニュメントは、イエローの配色が目を引く。マツカサウオとはキンメダイ目マツカサウオ科の魚で、大きくて硬いうろこをもつ。下あごの先に発光バクテリアが共生し、弱い光を出す。100年前の1914年8月の夜、嵐で停電となった魚津水族館で世界で初めて確認されたことから、水族館との関わりが深い魚なのだ。


▲ホタルイカとマツカサウオの
キャラクターモニュメント

 魚津水族館では、5月25日(日)まで館内の特別展示室にホタルイカ展示コーナーを設置。スポットライトを動かしながら、ホタルイカを照らして観察したり、薄暗い中で泳ぐ様子などを見たりすることができる。ホタルイカの腕発光器と同じほどの光量で活字を読めるかを体験するユニークな展示もある。レクチャーホールでは、「ホタルイカ発光実験」が期間中の日曜・祝日に1日5回行われる(輪くぐりなど、お魚ショー10:30、11:40、13:10、14:40、15:40の後)。腕、眼、皮膚の各発光器の違いや、発光の理由などの解説を聞き、暗さに目が慣れてきたころに、ホタルイカの青白い光を観察できる。

 ホタルイカがやってくる春は、富山湾の表層水温が低いため、低温の深海に生息する魚を捕獲し、水族館に輸送しやすい季節でもある。館内の深海生物コーナーでは、ゼラチン質の皮膚におおわれたピンク色のザラビクニンや、ヌルヌルとしたノロゲンゲの数が他の季節よりも多く、元気そうに泳ぐ姿を間近で眺められる。また、富山湾だけで群生が確認されている深海生物・オオグチボヤも必見。今回は刺し網に偶然かかった10体を展示。大きな口を開けているように見える入水孔など半透明な体が何とも神秘的だ。

 魚津水族館では、「神秘の海・富山湾の春の風物詩、ホタルイカ。発光は、小さな生物が生き残りのために身につけた特殊な能力といえるかもしれません。発光の様子や生態を間近で観察してください」と話している。

問い合わせ
「ほたるいか発光ショー」について
●ほたるいかミュージアム
TEL.076-476-9300
FAX.076-476-9301
http://www.hotaruikamuseum.com/

「ホタルイカ展示&発光実験」について
●魚津水族館
TEL.0765-24-4100
FAX.0765-24-4128
http://www.city.uozu.toyama.jp/suizoku/

コメント

その他のトピックス

ページの先頭へもどる↑