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2013年 8月 7日 [ イベント ]

No.618-1:歌人の顔、作家の顔―「辺見じゅんの世界」に触れる

高志の国文学館開館1周年特別展「辺見じゅんの世界」が前期8月10日(土)~9月23日(月・祝)、後期9月27日(金)~11月11日(月)の2期方式で、展示室の一部を展示替えして開催される。歌人、作家辺見じゅんが作品を通して伝えようとしたメッセージ、文学の力を探る企画。寄贈された貴重なコレクションの展示や、映画上映会(男たちの大和/YAMATO)、講演会などもある。今夏、今秋、辺見じゅんの世界へ。

●短歌、ノンフィクション作品の両面にアプローチ


▲辺見じゅん自筆色紙

 辺見じゅんは、昭和14年、富山県中新川郡水橋町(現、富山市)に生まれ、幼少期を過ごした。父は角川書店創業者で俳人、国文学者の角川源義。早稲田大学文学部を卒業後、出版社勤務を経て、39年に『花冷え』を刊行。50年の『呪われたシルク・ロード』から本格的な作家活動に入り、59年に『男たちの大和』で新田次郎文学賞を受賞。その後、63年に『闇の祝祭』で現代短歌女流賞、平成元年に『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』で講談社ノンフィクション賞、翌年には大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。高志の国文学館の初代館長に就任する直前の平成23年9月に急逝した。

 特別展の前期「辺見じゅんが見た風土」では、日本の自然、風土、民俗についてまとめた随筆、短歌を取り上げ、自らを育んだ北陸や富山の風土をどのように捉えたのかを探る。プロローグでは“娘にとっての「父」―辺見じゅんの文学の原点”として、源義が辺見の作品世界に与えた影響を考察する。

 後期「辺見じゅんが語り継ぐ父たちの世紀」では、『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』、『男たちの大和』など太平洋戦争をテーマにしたノンフィクション作品の世界を豊富な取材資料から読み解く。辺見は、一兵卒として戦地に赴いた源義の死をきっかけに、戦死者たちへの鎮魂を文学によって果たそうとしていたという。辺見の言葉や歌などをパネルで紹介し、現代へのメッセージやふるさと富山への思いを探る。また、高志の国文学館に寄贈された辺見コレクションの中から、近代文学に関する貴重な資料や、富山出身作家の堀田善衞、源氏鶏太に関する資料、辺見じゅん自筆色紙、岸田劉生「武者小路実篤像」などを紹介する。

●お盆の帰省時に辺見原作の映画上映会へ


▲『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』取材ノート

 特別展に合わせて開催される関連イベントも楽しみだ。8月14日(水)10:00~&14:00~、県教育文化会館で辺見作品の映画上映会が開催される。上映作品は「男たちの大和/YAMATO」(監督:佐藤純彌、出演:反町隆史、中村獅童、松山ケンイチ、蒼井優など)。映画は『決定版 男たちの大和』を原作に、平成17年、終戦60年を記念して制作。沖縄への特攻作戦に出撃した戦艦大和の過酷な戦いと、その乗組員、家族、恋人たちの生き方を描いている。

 講演会は8月10日(土)13:00~14:00、俳人・角川春樹氏<演題:夕鶴の家>、18日(日)14:00~15:30、宮中歌会始選者の歌人・岡野弘彦氏<角川家の文学>、9月23日(月・祝)10:00~11:30、俳人・有馬朗人氏<芸術と対称性―東西文化の違い>、10月14日(月・祝)14:00~15:30、直木賞作家・西木正明氏<作家辺見じゅんのまなざし>をそれぞれ迎えて開かれる。会場は県教育文化会館(9月23日(月・祝)のみ富山県民会館)。

 朗読と音楽の夕べは9月27日(金)18:30~19:30、高志の国文学館にて。朗読作品は辺見じゅんの『ダモイ 遙かに』。朗読はNHKアナウンサー・中條誠子氏、ピアノ演奏は冬乃柚実氏。

 特別展関連イベントはすべて入場無料。映画上映会、講演会は事前申込制で、締切日を過ぎた直近のイベントもあるが、席に余裕がある場合もあるので、参加希望者は高志の国文学館へ問い合わせを。

 高志の国文学館では、「辺見じゅんの歌碑「海鳴りは 人恋ふるかな 古志といふ まぶしき山河 われの故郷」(第4歌集『幻花』より)を文学館に建立します。設置場所は、メインアプローチ東側の庭園です。9月23日(月・祝)12:00から歌碑除幕式を催します。来館時に歌碑をご覧ください」と話している。

問い合わせ
●高志の国(こしのくに) 文学館
TEL.076-431-5492
FAX.076-431-5490
http://www.koshibun.jp/

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