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2013年 3月 21日 [ イベント ]

No.598-1:アニメ映画ファン必見! 「おおかみこどもの雨と雪」全国初の特別展開催

高志の国文学館特別展「おおかみこどもの雨と雪―大自然に生きる母と子の物語」が3月20日(水・祝)、同文学館(富山市舟橋南町)で開幕した。富山県上市町出身の細田守監督が手がけたアニメ映画の制作過程で描かれた背景画や絵コンテなどを通して、「おおかみこども」たちと母の成長、自立の足跡を探る。同映画の企画展は全国初<6月3日(月)まで>。

▲花のコーナー

●貴重な背景画や絵コンテなどを展示

 アニメ映画「おおかみこどもの雨と雪」は、“おおかみおとこ”と恋に落ちたヒロイン“花”が彼を亡くした後、厳しくも豊かな自然の中で“おおかみこども”の“雪”と“雨”を育てていく13年間を描いたドラマ。“親と子”という普遍的なテーマと向き合った作品は幅広い世代から共感を集め、昨年7月の公開以来、344万人の観客を動員する大ヒットとなった。第36回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞するなど、国内外で高い評価を得ている。

 親子が都会の雑踏を逃れて移り住む田舎町は、細田守監督のふるさと上市町の里山がモデルだ。剱岳や称名滝、みくりが池など立山黒部アルペンルートの雄大な風景を象徴するシーンも随所に登場する。親子が暮らす家は、実際に上市町の山奥にひっそりと佇む築120年を超える古民家をモデルにしている。母親の花は廃屋のような家の修繕に取り掛かり、古民家は少しずつ輝きを取り戻し、3人の新しい生活の場となっていく―。

 特別展の主題は、親から子への「いのちのつながり」。会場は花、雪、雨のそれぞれの生き方を紹介したコーナーで構成されている。人間とおおかみの狭間で生きる宿命を背負った雪と雨がどのように自らのアイデンティティーを見出していったのか、そして、子どもの選択を見守る花の強さ、決断をクローズアップしている。

 花のコーナーでは、おおかみおとことの出会いから恋愛、出産、子育てまでを紹介。子育ての喜び、苦難など、映画のメッセージが伝わってくる。「好きになった人が、おおかみおとこでした」、「花のように笑顔を絶やさない子に育つようにって」といったセリフも印象的だ。雪のコーナーでは、おてんばの雪がクラスの子どもたちとの違いを感じ、悩んだ末に“人間”として生きることを決意する過程を紹介。ターニングポイントを象徴する青いワンピースが再現・展示されており、それまで赤い服を着た野生児のような雪から、花に縫ってもらった青いワンピースに着替えることで、別の雪にシフトしていく映画のワンシーンがよみがえってくる。雨のコーナーでは、引っ込み思案で内気だった雨が、厳しい自然の中で狩りの先生となる老アカギツネと出会い、たくましく成長し、“おおかみ”として生きることを決断するまでの心の軌跡を紹介している。「急に、なんでもできる気がしたんだよ」、「おおかみって どうしていつも悪者なの?」、「おもしろいんだもん。山。知らないこといっぱいあるから」というセリフが心に迫ってくる。

●古民家のジオラマで記念撮影

 会場で目を引くのは、親子が暮らした古民家の縁側を設計図をもとに原寸大で再現したジオラマ。瓦屋根の庇や障子戸、縁側と、臨場感もたっぷり。雨と雪の身長を刻んだ柱も設けられており、映画の世界に入り込んだような気分になれる。ジオラマを背景に記念撮影ができるのもうれしい。

 背景画の展示コーナーには、花が最初に見た古民家の姿や、雑草に覆われた古民家の前の棚田、3人がバスを待つ根雪の残るバス停、山頂に広がる葦原に佇む枯れ木、断崖から流れ落ちる大量の雪解け水、老アカギツネと雨が駆け抜ける高原の花畑など、写真と見間違えるほど緻密に描かれた18枚の背景画が展示されており、映画の世界を追体験できる。“この背景画は映画のどのシーン?”と、親子で会話しながら見ていくのも楽しい。

 絵コンテを拡大した「キャラクターボックス」、雪の中の森を駆け抜ける雪と雨の静止画を、パラパラ漫画のように重ねた「動画」も見ごたえがある。9秒ほどの映像に、62枚の動画が用いられており、映画制作の大変さが実感できる。また、花の19~26歳、27~32歳の表情、外出着のバリエーションなども紹介されており、キャラクターの成長に合わせた工夫がよくわかる。このほか、上市町から交付された花、雪、雨の特別住民票やアフレコ台本、文庫本、富山地方鉄道の記念乗車券(電鉄富山駅~上市駅)なども展示されている。

 関連イベントとして、「アニメ映画の継承と発展―アニメ監督・細田守の仕事」<3月30日(土)>、「みんなで子育て、一緒に成長!」<4月21日(日)>、「アニメのふるさと/ふるさとのアニメ」<5月6日(月・振休)>、「オオカミと人」<5月18日(土)>をテーマにした講演会が開かれる(受講料/無料、事前申込み不要)。細田監督作品の「サマーウォーズ」<4月20日(土)>、「時をかける少女」<5月3日(金・祝)>、「おおかみこどもの雨と雪」<5月12日(日)>の記念上映会も予定されている。詳しくは高志の国文学館のホームページ(http://www.koshibun.jp)にて確認を。

Ⓒ2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会、スタジオ地図作品


▲背景画を展示・古民家のジオラマ・雪のワンピース

問い合わせ
●高志の国文学館
TEL.076-431-5492
FAX.076-431-5490

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