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2012年 8月 29日 [ トピックス ]

No.570-1:これ一冊読めば、富山の建造物博士!? 『ロカルちゃ!富山』発行

毎号、話題騒然のディープな富山情報誌『ロカルちゃ!富山』。の第7号(建造物編)が発行された。五箇山の合掌造りや中島閘門、富山県庁、瑞龍寺など県内の建造物、美しいまちなみをクローズアップ。クロスランドタワーや高志の国文学館、富山国際会議場など現代の建造物も紹介している。『ロカルちゃ!富山』片手に富山の建造物巡りはいかが!?


●暮らし、匠の知恵が詰まった名建築を訪ねて

 毎号、話題騒然のディープな富山情報誌『ロカルちゃ!富山』。の第7号(建造物編)が発行された。五箇山の合掌造りや中島閘門、富山県庁、瑞龍寺、富山城など県内の建造物、美しいまちなみをクローズアップ。クロスランドおやべや高志の国文学館、富山国際会議場など現代の建造物も紹介している。『ロカルちゃ!富山』片手に富山の建造物巡りはいかが!?

 どっしりとした切妻茅葺きの大屋根が緑の山に映える―。表紙を飾るのは、世界遺産・五箇山の合掌造り。手のひらを合わせた形に似ていることからこの名前が付けられたという。眺めていると、五箇山民謡・こきりこの情緒ある調べが聞こえてきそうだ。ページをめくると、“自然と調和した生活の場”として、合掌造りを構造図、間取り図入りでわかりやすく紹介。雪の重みに耐えられるようにハネガイ(湾曲させた筋違い)、チョンナバリ(曲梁)などを用いた独特の構造を解説している。火事の際に素早く仏壇を運び出せるように仏壇スペースが外にはみ出していることや、屋根裏スペースの「アマ」を使って、昔は養蚕、地下では火薬の原料となる塩硝が作られたとは驚きだ。

 信仰の山として崇められた立山。雄山山頂(3003m)には、ご神体を祀る峰本社が建つ。立山町芦峅寺の雄山神社中宮祈願殿、岩峅寺の雄山神社前立社壇、参拝者を迎えた宿坊、室堂小屋など、立山信仰に由来する特徴のある建造物を紹介している。

 “産業の歴史を訪ねて”のコーナーでは、東京駅を設計した辰野金吾氏が監修した赤レンガの富山銀行本店、井波彫刻や漆喰の鏝絵(こてえ)が細部に施された旧中越銀行本店(砺波郷土資料館)、米騒動ゆかりの旧十二銀行、パナマ運河と同じように水位を調節する中島閘門など近代産業史を物語る建造物をはじめ、戦火を耐えた富山電気ビルディング、和洋折衷の学校建築・巌浄閣、シンメトリーが美しい富山県庁などを取り上げている。昭和10年に建造された富山県庁と昭和13年建造の和歌山県庁は同じ人が設計に携わったことから見た目がそっくりだとか。また、富山県庁正面玄関の階段手すりの大理石にはアンモナイト (!?)などの化石が見られるという。

●近世から現代の建造物までいろいろ

 “色あせない先人たちの技術” のコーナーでは、近世禅宗建築の代表作として国宝に指定されている瑞龍寺、鏡石という陰陽の巨石が使われている富山城(富山市郷土博物館)、井波彫刻を施した瑞泉寺など、匠の技を今に伝える建造物を紹介。瑞龍寺では、左右対称に配置された伽藍様式、山門・仏殿・法堂の3棟が一直線に並ぶ美しい空間が広がっている。一般の民家の石垣では、県東部は小さい石、西部では大きい石を使った石垣が多いことや、肥料になる灰を収納するために造られた灰納屋が県西部でよく見られるといったトリビア的なネタも満載だ。

 “日本を支える立役者” のコーナーでは、高さ日本一の黒部ダムや巨大なアーチ橋・跡曳水路橋、ヨーロッパの古城を思わせる新柳河原発電所など、電源開発を目的に黒部川に建設されたユニークな建造物を取り上げている。昭和11年に完成した黒部川第二発電所は近代日本建築運動のリーダーの一人、山口文象氏の設計。ドイツのバウハウス派の影響を受け、直角で単純な箱型のデザインが目を引く。

 建造物と道筋に焦点を当てた“まちなみ散歩” のコーナーでは、高岡鋳物発祥の地で、千本格子の家並みと石畳が続く金屋町(高岡市)、江戸時代に北前船の寄港地として賑わった岩瀬(富山市)、越中と越後の国境にあたり、旧北陸道の風情が漂う境(朝日町)などを紹介。通りに建ち並ぶ建造物が醸し出す風情や情緒を存分に感じることができる。

 このほか、高さ118mのクロスランドタワー、ロマネスク様式の入善コスモホール、ガラスカーテンウォールと木製の格子スクリーンを組み合わせた富山国際会議場、立山曼荼羅の世界を体感できる立山博物館・まんだら遊苑、日本海側最大級の斜張橋・新湊大橋など現代の建造物も解説している。

 『ロカルちゃ!富山』はA4判、オールカラー、12ページ。東京、大阪、名古屋の富山県事務所、東京・有楽町の「いきいき富山館」、中京・北信越の一部の大学、県内ではいきいきKAN(富山駅前CiCビル5階)、道の駅、サービスエリア、観光協会などで配布中。とやま観光ナビでは、ウェブ版も配信。ホームページからPDFデータをダウンロードして、スマートフォン、タブレットでも楽しめる。

 富山県観光・地域振興局観光課では、「建造物の研究者などからアドバイスを受けながら、掲載内容を決め、取材を進めた。富山の自然や気候・風土、歴史を背景に生まれた建造物、県東部・西部の違いなどを紹介することができた。今夏開館した高志の国文学館、9月に開通する新湊大橋も取り上げている。いろいろな建造物を訪ね、その魅力に触れてほしい」と話している。



問い合わせ
●富山県観光・地域振興局観光課
TEL.076-444-3517
FAX.076-444-4404
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1401/
http://www.info-toyama.com/

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