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2007年 5月 9日 [ 特産品 ]

No.299-1:産学連携で「蓮の三具足」を商品開発


 小型の仏壇に合わせてデザインされた小型の仏具が、高岡仏具卸業協同組合と富山大学高岡短期大学部との産学連携で商品開発され、このほど全国に向けて販売が始まった。仏具は花立、香炉、火立が1セットなった「蓮の三具足(みつぐそく)」。家具調仏壇の雰囲気に合った蓮をモチーフにしたデザインが特徴。

●蓮をモチーフにしたデザインが印象的

 小型の仏壇に合わせてデザインされた小型の仏具が、高岡仏具卸業協同組合と富山大学高岡短期大学部との産学連携で商品開発され、このほど全国に向けて販売が始まった。
 
 同協同組合は、和から洋への住空間・生活様式の変化などに対応した新しいデザインの仏具開発を模索するなか、学生の斬新なアイデアや若い感性に期待して、平成16年度から産学連携に取り組んできた。商品化されたのは、初年度に当時の国立高岡短期大学産業造形学科の学生が産学連携授業のなかで「故人をしのぶ調度品」としてデザインした「蓮の三具足(みつぐそく)」。三具足とは、花立、火立、香炉が各1点で1セットになった仏具の一種で、本尊に向かって左に花立、真ん中に香炉、右に火立が置かれる。同協同組合では、仏教と関連深い蓮をモチーフにしたデザイン案を高く評価し、コスト面、市場性などについても判断しながら商品化を決定。製作したモックアップ(実物模型)に組合員が修整を加えながら、ようやく商品開発にこぎつけた。
 
 花立は蓮が浮かぶ水面の波紋、香炉は蓮のつぼみ、火立は蓮の花をイメージしており、眺めていると気持ちが落ち着いてくる。真ちゅう製で、高さは従来品の約半分の7〜9cmほど。大都市圏のマンションや住宅などに多い小型の仏壇や洋間などに調和したシンプルなデザインが特徴で、若い世帯にもアピールできる。青銅や黒、金メッキ、漆などの表面仕上げがあり、組合加盟店で独自に行われる。価格は、三具足1セット40,000円前後に設定されており、全国の主要仏壇・仏具店で取り扱われる。なお、同協同組合は高岡市内で製造された仏具を全国の仏壇・仏具店に卸す業界の組合で、市内31社が加盟している。

●高岡は金物の仏具製造で日本一

 このほど商品化された三具足をはじめ、五具足(花立2、火立2、香炉1)、お鈴(りん)、輪灯、梵鐘といった銅合金の仏具の生産は、高岡銅器が出荷額、販売額ともに全国90%以上のシェアを占め、日本一を誇っている。高岡銅器の源流は、慶長16年(1611)、加賀藩二代藩主前田利長が近郷の砺波郡から鋳物師7名を招き、高岡・千保川沿いで開業させたことにある。その後、江戸時代後期には、仏具師、彫金師、鋳物師などの職人たちが技を磨きながら、仏具や仏壇装飾、装身具など小型銅器を盛んに生産するようになり、全国へ販路が拡大。そして、明治時代以降、原型、鋳造、仕上げ、研磨、着色、彫金などに専門化、分業化されて技術がより高まり、揺るぎない地位を築くことにつながっていく。

 高岡銅器とともに高岡の伝統産業として知られる高岡仏壇についても触れたい。高岡仏壇は、元和年間(1615〜24)の興りとされ、真宗王国という土地柄を背景に需要が拡大。天保年間(1830〜44)には手広く扱われるようになったとされる。仏壇は木地師、塗師、彫刻師、蒔絵師など、専門の技術者の手による総合技術工芸品といえ、高岡仏壇は高岡銅器、高岡漆器と交流を続けながら伝統の技と心を磨いてきた。その製造工程は、木地、塗箔、彫刻、金具、組立に大別される。国産材のイチョウ、クサマキを使用した木地に下地を施し、本うるしを用いて中塗り、上塗りしたあと、箔押し職人が純金厚箔を入念に張り込み、堅牢優美に仕上げる。欄間などの彫刻は繊細な手彫り。金具は厚い銅板と真ちゅう板を手打ちで仕上げ、表金具は煮出しして格調高い赤味色に。最後の組立はほぞ組によって、接着剤を使わないのが特徴だ。こうして出来上がった高岡仏壇は、荘厳華麗な雰囲気を漂わせ、祈りの世界へと人を導く。一方、近年では、シンプルな装飾の小型の仏壇やフローリングの洋間などに合った家具調仏壇の需要も高まっており、それに合ったデザインを施した仏具の開発が市場から求められている。
 
 高岡仏具卸業協同組合では「産学連携で誕生した蓮の三具足で仏具の市場に新たな風を吹き込みたい。ヒット商品につながれば」と話している。



問い合わせ
●高岡仏具卸業協同組合
TEL&FAX.0766-24-3383

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