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1998年 4月 10日 [ トピックス ]

No.019-2:小回り性に優れた画期的な電動車椅子を開発!


■開発の意図
 日本の伝統的な寸法基準で設計された住宅は、廊下や部屋の出入口が75cm前後と狭く造られている。そこで富山県立大学工学部の大島徹助教授ら研究スタッフは、この日本の住環境に適した屋内用電動車椅子の研究開発に、3年前より取り組んできた。そしてこのほど、小回り性に優れた画期的な試作車を完成させた。

■試作機の特徴

* 小空間で方向転換
 前輪と後輪の中間に中央輪を設けた6輪タイプで、中央輪を軸に回転する。そのため回転半径が36.5cmと、後輪軸で旋回する従来の車椅子に比べて約2分の1。小回り性の向上により、廊下やトイレといった狭い空間での方向転換が容易になった。
* 真横への移動も可能
 椅子部をそのまま固定しながら、中央輪(駆動部)だけを90度回転させ、真横への移動ができる。従って、キッチンカウンターで左右にスライドしながら調理をする横の動きにも、簡単に対応できるようになった。
* 上下に昇降する椅子
 昇降機によって、座席部を17cm上下させることができる。これでテーブル高に合わせて、椅子の高さを調節できるようになったほか、座席部が上昇することで、これまでは手が届かなかった高い位置の収納棚なども使えるようになり、作業空間が広がった。
* 持運びが容易
 座席部と駆動部分の二つに分解して持運ぶことができる。しかも、車体フレームにアルミニウム材を多用して軽量化を図っている。駆動部の重量が30kg、椅子部が20kgなので、乗用車があれば運搬も可能だ。

■試作機の仕様

* 全長:73.35cm、全幅:56cm、全高:80cm
* 座面高:45〜62cm
* 総重量:50kg(駆動部:30kg、椅子部:20kg)
* モーター:DC24V100W×2、バッテリー:12A12Ah×2
* 最高速度:5.6km、連続走行時間:1時間、登坂角度:4°
* 最小回転半径:36.5cm、段差乗り越え高:3cm
* 横移動機能搭載、椅子昇降機能搭載

■今後の展開
 大島徹助教授は、「車椅子の開発にあたっては、実用性や機能性の追求だけではなく、人が乗った状態での安定性を解析するなど、様々な実験を行ってきました。この試作車の完成により、基礎的な研究開発は終了、今後は実用化に向けて取り組むだけ」と話す。すでにメーカーなどからも問い合わが寄せられているこの車椅子。完成品としてお目にかかれる日も、それほど遠いことではなさそうだ。

●富山県立大学工学部機械システム工学科 大島徹助教授
〒939-0398 小杉町黒河5180
TEL 0766-56-7500

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