トピックス

アーカイブ

1997年 9月 22日 [ トピックス ]

No.010-3:水辺の魅力いっぱいの「十二町潟水郷公園」


 万葉の昔、大伴家持が船を浮かべて遊び、美しい景色を歌に詠み込んだ布勢の水海。その面影を残す富山県氷見市の十二町潟に、昭和51年から整備が進められてきた「十二町潟水郷公園」が、8月27日完成した。
 全面積11.5ヘクタール(内潟面積6.0ヘクタール)のこの公園は、十二町潟をはさむ両岸に、水生植物の池、オニバスの池、花菖蒲園、万葉植物園などが整備されており、潟や池に集まる魚、水生小動物、水鳥などと共に、水辺の動植物を観察できる公園として、すでに多くの市民に親しまれている。
 なかでも直径1mを超えるオニバスは、この公園を代表する植物。大正時代から昭和初期の頃、十二町潟ではオニバスが一面に群生しており、「オニバス発生地」として国の天然記念物に指定された。日本でも一、二を競う群生地で、稲を運ぶ笹舟の行く手をはばむほどだったという。それが環境の変化でほとんど姿を消してしまい、昭和62年から始まった市内小学校の生徒らによる保護活動でようやく復活。たくさんのとげがある葉の形から“地獄の釜の蓋”とも呼ばれるいかつい葉の上に、この夏も紫色の花を見せてくれた。
 一方、水生動物では、国の天然記念物であり絶滅危惧種ともなっているイタセンパラが確認されている。また、潟や池に遊ぶ水鳥も多く、葦を背景にシラサギが群れをなしている様子なども観察できる。
 そして、豊かな自然のなかにモダンな施設が配されているのも、この公園の特徴の一つ。潟に架かる横断橋は、ロンドン在住のカルロス・ヴェラヌエバ・ブラント氏による設計。昭和20年代までこの潟で行われていた「アド」と呼ばれる漁法をイメージしたもので、ダイナミックな幾何学模様の景観が公園のシンボルとなっている。ほかにも、潟面に虹を浮き上がらせる「虹の噴水」や、花を霧で彩る「霧の花噴水」などが30分ごとに作動するようになっている。
 こうした水を使った新鮮な演出と、水辺に息づく動植物たちとのふれあいに、水郷のすがすがしい魅力を再発見できる公園である。

問い合わせ
●氷見市建設部都市開発課
〒935 氷見市丸の内1-1
TEL 0766-74-8075

コメント

その他のトピックス

ページの先頭へもどる↑